かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

馬場あき子の外国詠274(中国)

2014年08月25日 | 短歌一首鑑賞

  馬場あき子の旅の歌【飛天の道】『飛天の道』(2000年刊)174頁
                参加者:曽我亮子、F・H、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
                レポーター:渡部 慧子
                  司会とまとめ:鹿取 未放

214 丹後風土記の小さき湖のかなしもよ老仙は樵(せう)となり飛天娶りき

     (まとめ)(2010年5月)
 私がネットで調べた丹後風土記は、いずれの記述もおおよそ「天女の羽衣を隠したのは老人だったので養女にした。天女は酒造りに才を発揮して養父母は大金持ちになるが、自分の本当の娘ではない事を理由に追い出し、天女は各地をさまよう」というものだった。この歌では老仙は天女をめとった。仙人のままでは飛天との結婚はタブーだったので、木こりに身を落として結婚したというのだろうか。湖はその天女夫婦が住んだ近くにあったのか。余呉の湖と天女の話は記憶にあるが、丹後風土記とこの湖の関係はよく分からない。(鹿取)


          (レポート)(2010年5月)
 風土記は713年詔により、地名の由来、旧聞、伝承について各国庁が報告したもの、出雲、常陸、播磨、豊後、備前の5カ国が完本として現存し、一方「釈日本紀」「万葉集注釈」などに逸文が収められている。そのなかに丹後風土記もある。
 掲出歌の丹後とは現京都府北部にあたる。そのあたりの「小さき湖」とはどこであろう。そこで「飛天」である天女は水浴びをしていたであろう。天女の水浴びは水遊びではなく、身を浄めるためであろう。そこからいつも物語が始まるのだが……。「老仙」というのも213番歌とは違った意味で詠われていよう。たとえば中国では道教に生きる人、日本では修験者、そんな匂いがするのだが、道を外れてしまったのか、とにかく「樵となり飛天娶りき」というお話が「小さき湖」のほとりに生まれ、風土記に伝えられている。夫婦となる二人の縁、その後を語らず、「かなしもよ」と全てを「小さき湖」に託して、余情漂う一首である。(慧子)

コメント