かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞

2020-10-25 18:38:44 | 短歌の鑑賞
   ブログ版 清見糺の短歌鑑賞 10 スペイン・ポルトガル
                        鎌倉なぎさの会   


76 民族がかたみに〈神〉をおしたてて争いし跡なれど人住む
                   「かりん」95年10月号

 具体的にどこを歌ったものか定かではないが、意味はよく分かる。ユダヤ教・キリスト教・イスラム教はもともとは同じ神への信仰から派生した一神教である。ところが、わが神こそ本物と争ってきたし、今もその争いは続いている。ここでは「争いし」と過去形になっており、「なれど人住む」と結句を句割れにして諧謔みを出しているのが面白い。〈神〉をいいながら果てしない争いを繰り返す人間への哀しみ、争いを乗りこえて住まう人々のたくましさ、図太さへの同情と賛嘆であろう。



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