かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 64

2020-08-14 17:07:39 | 短歌の鑑賞
 ブログ版渡辺松男研究 ⑦(まとめ)(13年7月)『寒気氾濫』(1997年)
  【八月十五日うつそみ、パーフェクト・エッグ】
          参加者:崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
           レポーター:渡部慧子

64 つくづくとメタフィジカルな寒卵閻浮提(えんぶだい)容れ卓上に澄む

 歌集をいただいた時、この歌が扉に書かれていたので、作者も好きな歌なのだろう。第二歌集『泡宇宙の蛙』に「宇宙呑み蚊が重たそう 絶対矛盾の自己同一の西田幾多郎」と言う歌があるが、私も少しその辺を囓ったので、小さいものに大きなものが入るというのは自然に受け入れられる。卵が先か鶏が先かの論争もあるように、卵というのはものの創めの形だから、大根とか人参では代用できないアイテムである。楕円形をした寒の卵はこの世一切を容れた状態で卓上に澄んでいるという。この歌は『寒気氾濫』の自選5首に入っていて、作者が自歌自注しているので引用しておく。(鹿取)

        【渡辺松男の自歌自注】
メタフィジカルという語と卵とは矛盾するものです。それを一旦矛盾させておいて結句「澄む」 で解消させるのが味噌でした。そのためにはただの卵ではだめで、寒卵でなければなりませんで した。卵の中→黄身→浮という連想が働くことから、全世界や宇宙という言葉ではだめで、閻浮 提という語でなければなりませんでした。小に大を包含させる、極小に極大を見る、というのが わたしの好きな発想のパターンのひとつでした。      (「かりん」2010年11月号)

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