かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 57 中欧 410

2022-07-22 10:23:00 | 短歌の鑑賞
  馬場あき子の外国詠57(2012年10月実施)
    【中欧を行く カレル橋】『世紀』(2001年刊)P116~
      参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、藤本満須子、
         渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:崎尾 廣子 司会と記録:鹿取 未放

 
410 聖堂の薔薇窓にさす朝の陽のいつかしき暗き光を見たり

     (レポート抄)
 陰を意識することで光はより輝いて目に映ったのであろう。キリストを太陽になぞらえて造ったとも、奇(くす)しきバラの花とも言われる薔薇窓の精巧さに、光の美しさに心を打たれているのであろう。(崎尾)


      (当日発言抄)
★「いつかしき暗き光」の言葉につきるのかな。実感として分かる。(鈴木)
★この窓は19世紀作、直径は11メートルで世界最大、2万6千枚以上のガラスを使用。
   (藤本)
★聖ビート大聖堂の正面を飾るバラ窓は「天地創造」がテーマ。高さは33mで、柱と天井
 が一体となって美しい星型を作りあげているそうだ。これは塔の中に入って見ているので
 しょうね。ところで、ステンドグラスと薔薇窓は違うものだけど、この薔薇窓には実際の
 太陽光がさしている。そうすると409番歌(ステンドグラスの絵図にとこしへに苦しめ
 る人ありそこに光とどかず)の苦しめる人に届かない光と同じ太陽光かもしれない。もち
 ろんどちらも表の意味は太陽光で、裏に比喩的な「光」を暗示していると重ねているのだ
 ろう。(鹿取)
コメント
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