かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 1の59

2020-08-10 20:25:10 | 短歌の鑑賞
 ブログ版渡辺松男研究 ⑦(まとめ)(13年7月)『寒気氾濫』(1997年)
【八月十五日うつそみ、パーフェクト・エッグ】
     参加者:崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部慧子


59 トイレットペーパー白く垂れ下がり閻浮(えんぶ)に謎のなきような朝

 ★題に「八月十五日うつそみ」とあるので、敗戦の日の意味を考えて読むべきな
  のだろう。この世は謎にみちているのに、この朝は、まるでこの世に謎なんか
  ないように思われる。トイレットペーパーが白く垂れ下がっていることが日常
  のありふれたこととして提示されているが、一方ではこのトイレットペーパー
  こそが謎の入り口のようにも思われる。作者の手品の迷宮に引き込まれる感じ
  もする。(鹿取)


コメント
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