かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺のⅠ首鑑賞 32

2020-07-09 16:05:28 | 短歌の鑑賞
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                          かりん鎌倉支部     


32 たのしみは年のはじめにあたらしき筆の穂先をねぶりおるとき
                 「かりん」95年3月号

 幕末の国学者、橘曙覧(あけみ)は「たのしみは○○するとき」の形で「独楽吟」題する和歌52首を残している。
 1994年、当時の天皇、皇后両陛下がアメリカを訪問した折、ビル・クリントン大統領が晩餐会の挨拶の中で、「独楽吟」の一首「たのしみは朝おきいでて昨日まで無かりし花の咲ける見る時」を引用してスピーチをしたことで、一般にも橘曙覧の名が知られるようになり、「独楽吟」も有名になった。  作者もこれを真似て一〇〇首くらいつくった歌の中の一部。
 年賀状を書くのであろうか。おろしたての筆の穂先をねぶって、書きやすいよう柔らかくしている。新鮮みもあるが、結句にはエロチックな味わいがある。

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