かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 399(中欧)

2020-04-17 20:02:55 | 短歌の鑑賞
   馬場あき子の外国詠55(2012年8月)
     【中欧を行く カレル橋】『世紀』(2001年刊)P113
     参加者:K・I、崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:曽我 亮子 司会と記録:鹿取 未放

       
399 ただ一日(ひとひ)見て別れなむカレル橋灯の入れば三十の彫像の翳 

          (レポート抄)
 たった一日だけ見て別れてきたカレル橋だが、今夜もまた黄昏れてランタンに灯がともれば三十体の彫像それぞれの長い陰影が橋上に伸びていることだろう。(曽我)

          (当日発言抄)
★レポートには「別れてきた」とあるが、解釈が違う。(慧子)
★そうですね。「なむ」の識別は難しいが、ここは完了の助動詞「ぬ」の未然形「な」+推量の助
 動詞「む」の終止形「む」で、たった一日だけ見て「分かれるのだろう」の意味ですかね。気分
 的には「分かれてしまうのだなあ」と惜しむ気持ちを込めて読みたいところですが。カレル橋に
 灯が入ったので三十体の彫像が翳を濃くしていて、それが魅惑的なのでしょうね。(鹿取)
★二句切れの限定が効いている。(鈴木)


コメント
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