インテリア・家具 横浜元町[ダニエル] 家具店主 咲寿義輝のブログ

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イギリス便り2 アーコールのモノづくり

2012-09-13 | インテリアについて
前回から続いて、イギリスにウィンザーチェアの歴史と背景を訪ねて、島崎信先生と一緒に各地を訪ねています。

まず、今日おいてウィンザーチェアと言えば『アーコール』と言ってもよいほど、【アーコール=ウィンザーチェア】というぐらい、イギリスでも定着している。
アーコールは1920年 ルシアン・アーコラー二氏によって設立された老舗家具メーカーで、現在英国に残る数少ない生粋の英国人クラフトマンを多く抱えるメーカーの1つである。
では早速、アーコールの現社長エドワード氏と一緒に工場&オフィスの中へ。


入口入ってすぐは、ショールームになっています。この日も、お客様がお使いのダイニングチェアのクッションの交換に生地を選びに来たり、ダイニングテーブルとソファーの購入に数組入っていました。
 


工場の中は自然光を取り入れるように設計されているため、とても明るい。

一方は全面ガラス張り。また外に見えるのは、forest。緑が広がっています。この工場は森の中にたたずむ素晴らしい環境にあるのです。

以前私が訪れた春先には、シカやリスを見ることができました。

その恵まれた環境で働く職人たちは、一心不乱に木と対話しながらモノづくりに励みます。

これは、人気のアイテム<エバーグリーン・ラブシート>のフレーム。
曲げ木で作られた一本の長い背中のパーツを巧みに振り回しながら、ペーパがけをして、仕上げていく様子です。


ウィンザーチェアは各パーツが製作されたのち、一つに集められ、組み立て工程を行うです。
体格の良い、クラフトマンが、一つ一つのスポーク(背中の棒)を角度の異なる座面の穴に、丁寧にそろえていき、大きなハンマーで叩きながら組んでいく。


アーコールのウィンザーチェアが中古品(ビンテージ)でも、人気があるのは、その堅牢な作りで、30,40,50年経っても現役のチェアとして、存在するチェアであることが言える。その堅牢さを保っているのが、一つ一つのスポークの接着方法。
座面を突き抜けたスポークに『クサビ』を打ち込み、それを一つ一つ丁寧に鋸で切り落とし、綺麗に仕上げていくです。
この手間たるや物凄い時間がかかる仕事です。
通常は、座面の真ん中まで掘り込んだところに、接着剤を流し接着するのみ。だから、10年ぐらいでグラついてくるのです。




たまたまであるが、出来上がって塗装待ちの日本行(�ダニエルへの輸送品)が並んでいました。


次に覗いたのが、アーコールの最大の特徴で最大の魅力である『曲げ木』の現場。

大型のスチーム機で4時間ほど蒸した木材を、人の手で曲げていきます。


まだかなり熱い状態の木材を素早く取出し、

年季の入った型にはめていきます。

これを二入で、息を合わせて一気に曲げていきます。
 
大きな男性二人が、必死で力を加え曲げるのです。
 
ほんの一分前後の出来事。その位一瞬で曲げていかないと、木の戻ろうとする力に負けて曲がらないことがあったり、木目が割れたりするとのことで、この作業は毎回毎回、緊張していると、自慢げになしてくれました。


こうして出来上がったウィンザーチェアのパーツは組み立てをこのようにして待つのです。

組み立て終わった、ウィンザーチェア。


塗装が終わり、完成したウィンザーチェアはクッションが載せられ、ダイニングテーブルにセットされます。
 


まだまだ、細かいところが全く紹介できてませんが、このようにしてアーコール工場の視察を終えたのです。
視察を終えて、社長室に飾られた創業者ルシアン・アーコラー二氏の肖像画とその時座っていた椅子に、島崎先生も腰掛けていただき、記念写真。




<<つづく・次回 ウィンザーチェアの町・チェアミュージアムを訪ね>>

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