インテリア・家具 横浜元町[ダニエル] 家具店主 咲寿義輝のブログ

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『椅子の張替』 事例 イギリス製のソファ

2012-03-29 | 家具修理関係
先日のブログで紹介した椅子の張替がとても人気と評判が良かったのでもう少し詳しく事例を紹介させていただきます。

本日ご紹介するのは、1人掛けと2人掛けのソファ。
こちらは20数年前に、イギリスの老舗百貨店『リバティー』で購入し、日本に持ち帰られたモノ。


背中のボタン締めと、ハイバックのフォルムを拝見した時の私の感想は、『これはすごい!!』。『なかなか見られる代物ではない!』が感想でした。
しかも、さすがイギリス製。張られている布地が、とても素敵な『ウィリアム・モリス』の柄。

まず、このサイズでハイバックのソファや一人掛けはなかなか無い。また座面のスプリングは、上から確認するだけでも、その内容が一般的でない事は十分に理解できた。

もう1つ興味深いのは、編み物をする用の椅子(一人掛け)と言われるチェア。
それがこちら、

もう片方が普通の1人掛け。それがこちら、


  
お分かりいただけるだろうか?
編み物用のチェアの方のアームの部分が、すっきりとしている。!?なるほど!! 編み物をする時の肘が、ソファのアームに邪魔にならないデザインにしてあるのである。

これまた、興味深い。
『これは多分、現在は手に入らないようなソファセットですよ。』と一言付け加え、このような貴重なソファを拝見させていただけたことに、深く感謝。

その後、張替のお見積りを作成。
今回は、このソファセットを張り替える布地を、ご依頼主様のご意向で、ご本人がイギリスから布地を購入して、生地(布地)支給としてお持ち込み頂くことに。

その際に、イギリスの『リバティー』で、やはりこの手のソファはもう製作されてい無いとのことが確認された。
やはり、貴重な逸品である。

最近の傾向として、今回のソファのように少し凝った製品や、職人の技術が必要とされるような椅子やソファを極端に見ることが少なくなった。
内材や、スプリングも簡易的なモノに変わっている。
今回の、イギリス製のソファも、職人技術が随所に必要とされるため、コストが高くなることが考えられ、生産されなくなったのではないかと、考えられる。
とても悲しいこと。でも、これが現実か。

次に、張替作業をご紹介。
まずは、張替のために現在張られている布地を剥がす。

長年の使用によって、ウレタンが劣化。クッション性も損なわれてしまっている。

さらに、そのウレタンを剥がすとスプリングが出てくる。
  
これが、上記で記述した一般的でないスプリング。

こんなに細かく、また、コイルのスプリングが入っているモノを見られるのも最近はとても少ない。

スプリングは一部破損や緩みがあったために、今回は麻のテープを使用して固定、座り心地をより良くするために、補強に麻の帯テープを底張りし、強度と耐久性もUP。
  
この辺が、ダニエルの家具職人の技術と経験。
これを出来る椅子張り職人と、素材を兼ねそろえている家具メーカーは現在ではほとんど皆無。

座面の裏側からの写真。こちらが、麻の帯テープで底を補強。白いのは綿。スプリングの音鳴りを防ぐ。

そして、新しくウレタンをフレームに張りカタチを整えていく。


次に、張替用にご依頼主様がイギリスより購入されて来られた、布地の裁断。

今までソファに張られていた布地を綺麗に剥がし、それを型にして新しい布地を裁断する。
この作業をするために、どのような状態でも現在張られている修理前の布地や革を綺麗に剥がし、それを基に縫製や裁断が行われる。
新しいモノを作るより手間がかかる作業の一つである。

そして、完成したのがこちら。
    

    
修理前      修理後

少しくたびれていた椅子も、この通り。



張替が終わり、ご自宅に。
これでまた、何十年もご使用いただける。

今回のように、伝統的な技法が必要な張替を、技術が無く適当に張替られてしまい『ひどい状態になってしまった。』っと言うような、問題が消費者センターの相談でも増えているとのこと。

安心・安全の職人集団 ダニエルの『家具の病院』では、この他にも馬毛やワラ(シュロ)等の天然素材が使用されているような、アンティークに近い家具の修復も全て手掛ける。このために、それらの素材を海外から輸入し対応。
日本では既に手に入らないような素材(馬毛等)を、再度使うことで、『家具の寿命も座り心地も全て変わる。』っと語る、

ダニエル職人は常に本気で『本物の価値ある仕事』をしている。

家具修理のご相談・見積もりは無料。
まずはお気軽にご相談を。
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