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シャープの不詳勘定 「きっと、うまくいく」?

2013-12-18 | 会計・株式・財務
毎度ご覧頂き、厚く御礼申し上げます。

まずは、年末ということですので、今年を振り返るお話を。
今年観た映画でイチバンのオススメはインド映画「きっと、うまくいく」
きっと、うまくいく [DVD]
 
Happinet(SB)(D)

インドの3バカトリオが繰り広げる笑いと涙の大傑作。私は映画館で11回観ました。ノリの良い主題歌には時折うなされます。インド映画は上映時間が長くこの作品も約3時間ですけれど、テーマは普遍的で中身は盛り沢山。私も会社の同僚十人ほどに薦めましたが皆、大満足でした。年末年始で何か映画でもという方、DVDも出ているので騙されたと思ってぜひご観賞下さい。


さて本題。
17日の日経コラム「記者の目」(有料会員限定)に「シャープ、見えにくいキャッシュフロー赤字の中身」 という、実に興味深いものがありました。
ポイントは以下の通り。

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●「『その他』の営業キャッシュフローにくくられる金額が大きすぎて、財務分析がしにくく、キャッシュフロー(現金収支)が一向に改善しない理由が分かりにくい。

●上期のキャッシュフロー計算書を見ると、「その他」として記載される営業キャッシュフローの赤字額が815億円と突出して多く、前年同期の2倍弱に拡大。営業損益が2000億円以上も改善したのに全体の営業キャッシュフローが200億円の赤字に沈む要因の1つ。

●シャープ広報の説明
「『その他』の営業キャッシュフローには細かいものがいくつか入っているが、米国で大規模な太陽光発電所(米リカレント・エナジー)を建設しており、その資金流出が数百億円を占める。貸借対照表ではその他の資産に算入している。細かい勘定科目までは言えない。

●リカレント社の建設関連の支出をシャープは営業キャッシュフローで処理。
だが、リカレント社のビジネス自体、シャープが説明会などで言及することはほとんどなく、有価証券報告書でも出資比率や資産額などわずかな情報が記載されているに過ぎない。
「その他の資産」にリカレントの棚卸資産が含まれているとしたら、(グループ全体で見れば)在庫の削減が見かけほど進んでいないことになる」との指摘あり。

●キャッシュフロー以外にも「前期には液晶パネルの在庫評価損を営業費用と特別損失に分けて計上しており、その基準が分かりにくい」などの声。
また「一般的には『その他』の金額が多額に上るのであれば、注記を付けるなどして補足説明することが望ましい」とのクレジットアナリストの声も。

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私はこれまで、9月30日11月4日シャープの「その他営業外費用」がわからん!利益は信用できないので、今後はキャッシュフロー計算書を観よう!という記事を入れております。日経の方も時折私のブログをご覧になっているようなので、少しは参考にしていただけたのではないかと思い、勝手に喜んでおりますし、やはり「おかしい」と思っているプロの方はそれなりにいらっしゃることも分かりました。
ただ、キャッシュフロー計算書も「その他」でワケわからんとなると・・・。相手の思うツボか?


今年は、楽天が適時開示情報で某アナリストを名指しで吊るし上げてしまい、アナリスト諸氏にとっては受難の1年だったかもしれません。
しかし、やはりプロとしての健全な懐疑心をもって、「おかしいことはおかしい!」とハッキリ物申すべきですし、ここまで書かれた以上、会社側(シャープ)も誠心誠意対応すべきではないでしょうか?

それでも開示姿勢に進展なければ、「何かある」と思って相応の投資判断をすべきではないでしょうか。

シャープの「不詳勘定」に頼る開示姿勢。きっと、うまくいかないと思う。

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1 コメント

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Unknown (特命希望)
2013-12-28 18:06:45
いつも興味深く読ませていただいております。
投資家に不親切な会社は、やはり投資するに値しない会社ということでしょう。
しかも該社は、勤めるに値しない会社のようです。

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