◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

日経ヴェリタス4/20号に思う

2008-04-21 | 会計・株式・財務
p.1 特集・買収防衛 新日鉄の焦燥

・ 世界のライバル鉄鋼大手の株主構成、オーナー色がかなり強い。
同族企業で成り立ているんですね、鉄鋼業って。ガバナンス働いているんですかね。
新日鉄の買収防衛策ばかり責めるのもどうかと思いますけどね。

   アルセロール・ミタル 43%(ミタル一族)
   セベルスターリ 82%(モルダショフ氏) 
      ノボリペック     85%(オーナー系企業)



p.7 米銀そろってリストラモード本番

・ 米金融機関の生き残りのキーワードは「縮小均衡」と「連結外し」。
特に後者ではメリルリンチがファンドを活用する「パートナーシップ方式」により
一部の不動産事業や自己投資事業を非連結にしたとのこと。

・・・・・・でも、コレッってまさか「飛ばし」じゃないでしょうね?
先日の「金融負債の評価益」も決算を押し上げている可能性もあり、
決算の細部はよく見る必要がありそうです。



p.19 排出量ビジネス

(概要)
・ 日本は京都議定書で2008年から12年の温暖化ガス排出量を1990年比▲6%
削減する義務あり。しかし05年度の排出量は同+7.8%。

・ 国内での削減が厳しくなる中、途上国でガス削減事業を手がけ、
それによって排出枠を得るクリーン開発メカニズム(CDM)と呼ぶ取引が活発化。
CDMでは日本と途上国の両政府からの承認後、国連の認証・登録を経て
排出削減量(クレジット)が発効。
現在、政府承認CDM事業のシェアの半分以上を大手商社が担う。

・ 議定書目標と現状の排出実績の差は年間1億7,500万トンあり、
この差全てを排出量取引で賄うとすると、毎年35億ドル以上の新市場
(CO2,1トン当たり20ドルと想定)が創出される計算。

・ リスクもある。CDM事業はスタート後数年経たないと計画通り排出削減
できたか分からない。商社などが獲得している排出枠の大半は「削減予測量」に
基づいており、計画未達の場合は受け渡し時に取引価格急落のおそれがあること。
もう一つは、ロシア・東欧諸国の存在。
90年代の経済低迷で「ホット・エア」と呼ばれる排出枠の余剰分を大量保有。
これらが市場に出て取引価格を急落させるおそれも。

(感想)
・ 本文を見ますと丸紅が結構気合入れてやってるようですけど、昔、インドネシアで
大失敗したチャンドラアスリという著名なプロジェクトをふと思い出しました。
現在進めているCDMが現実的・保守的な削減計画であることを祈っております。


p.53 「景気vsアトリウム」vs 財務アナリスト

最近、日経新聞でもちょくちょく載っていた派手な広告。不動産活性化企業・アトリウム。
以下のコピー、田口トモロヲ調に読んで欲しいのかも知れません。


「資産デフレに、勝利した。

景気変動を、攻略した。

2007年度も、制覇した。

不動産のこれからを語れる実績がある。」

では今後は?ということで決算短信を見てみますと・・・・・・。 http://www.atrium.co.jp/upload/news/197.pdf

資産面では、前年7億円(短信p.35)に過ぎなかった求償債権が179億円へと急増。
不動産融資保証において保証先の顧客の資金繰りが悪化し、
代位返済率が4.6%に上昇(短信p.4)。

代位弁済に伴う担保不動産の取得もあってか、販売用不動産が大半を占めると
みられるたな卸資産が1,988億円(前期比+431億円)と大幅増。
営業キャッシュフロー赤字▲312億円の主因となっている。


でもマンション販売は急激に冷え込んでいるようですし、これらの物件が
経営の重荷にならないか気になります。


短信p.8「事業リスク」ではそんな投資家の不安を予想してかいろいろと
書いてありますのでご確認を。


しかしまぁ、私の感想としては

「2008年度は、ちょっと心配だ。」

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