■財務アナリストの雑感■ シーズン8

会計士兼アナリストによる業界屈指の「脱力系」会計・財務・株式・金融ブログ。不正会計問題を受け、私も「覚醒」しました!

東芝はん、LNG損失はNGでっせ。

2017-01-22 | 会計・株式・財務
毎度ありがとうございます。
今回は久々に会計ネタ(といっても自分のための情報整理という位置づけですけれど)

からくり人形」で名を馳せた田中久重氏を創業者とする東芝が、会計士の想像を絶する「からくり会計」で窮地に追い込まれておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

メモリー半導体事業の分社化とか再建に向けた動きもみられておりますし、過去の経緯やFACTAの記事等を見ますと、国による支援の当否はともかく、さすがに何とかなるのではないかと、個人的には思ってはおります。


しかし、22日の日経で「半導体 出資にハードル」記事の下に、ひっそりとこんな記事が掲載されておりました。
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東芝の米LNG事業、東電・中部電系が販売支援

 東芝は米液化天然ガス(LNG)ビジネスで、東京電力ホールディングス(HD)子会社と中部電力が共同出資する燃料・発電事業者、JERA(東京・中央)と販売やマーケティング活動を支援してもらう契約を結んだ。東芝がノウハウの少ないLNGビジネスでJERAの助けを借り、販売先を確保する狙いだ。
 東芝は2013年、米フリーポートLNG社とシェールガスの液化加工契約を結んだ。テキサス州フリーポートでLNGを生産する。19年9月に設備稼働予定で、20年間にわたって東芝が引き取る。調達予定のLNGは年220万トン。
 火力発電設備と燃料のLNGをセット販売して稼ぐ狙いがあったが、LNGが割高となり、想定通りの販売が見込めるかは不透明だ。直近では調達量の半分程度の買い手を見つけている。
 全く売れない場合の損失額は最大で1兆円弱と試算する。運転開始の1年前から販売契約の未締結などで生じそうな損失相当額を引き当てることを検討する。JERAの支援で商談を進め売り先確保を急ぐ。
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要するに、まだ米LNG事業に火種が残っているんですよね。

東芝の2016年3月期有価証券報告書の141ページには、確かに、電力・社会インフラ部門に係る変動持分事業体の想定最大損失額が971,384百万円と記載されております。これが日経記事でいう「最大で1兆円弱」に当たるものであり、すにで開示済。急に出てきた話ではありません。

20日にはBloombergが「東芝:LNG販売でJERAが支援-最大1兆円の損失リスク回避で」という記事で状況をより詳しく整理しております(同社㏋ではこの記事はなぜか削除?されているようなので、NEWS PICKSに掲載されている記事をリンクしております)。
1兆円という金額の算定根拠については、Bloombergの記事で説明されてますので、以下に引用しますが、概ね妥当な金額のようです。

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米コロンビア大学グローバル・エナジー・ポリシー・センターが昨年11月に公表したリポートによると、東芝のように液化加工契約を持つ企業は、実際に液化した数量に関わらず契約数量分の液化費用を液化設備を保有する会社に支払う必要がある。その費用は一般的にLNG100万Btu(英国熱量単位)当たり2.25-3.5ドルとしている。この数値を基に東芝が支払う液化費用を試算すると最大で年間約4億ドル(約500億円)、20年間では約82億ドル(約9400億円)となり、同社が発表した想定最大損失額とほぼ符合する。東芝が契約している液化設備は19年8月に運転を開始する予定で、早ければ18年度から翌年度中に生じる損失相当額を引き当てる可能性がある。
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まぁ、2018年度にいきなり1兆円全額を損失処理するというのは現実的ではありませんが、LNG問題が長期的に再建の足かせとなる可能性は否定できず、契約状況についてもしっかり見ていくべきなんでしょうね。


次から次へと問題が飛び出る東芝。この本の続編が待たれます。
東芝 粉飾の原点 内部告発が暴いた闇
小笠原 啓
日経BP社

またいきます。

ありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。


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