セブの片田舎で ひとりごと --- 途上国で暮らすとはこんなこと ---

はや18年。無垢と純朴を期待したが
粗野とたくましさと楽観のラビリンスだった。
田舎町ダナオで日々のオヨヨ。

123 汚職と一言で言うけど、そんじょそこらとはわけが違うよ

2018-07-09 | ダナオ/セブの人々
ドライブレコーダーがタクシーなどの乗客用車両に義務設置された。
ご存知の、カメラを前後に付けて始終記録するものだ。何かハイテクの雰囲気がある。
でもねー、乗客側からすれば、そんなことよりも、新聞が読める程度の静かな運転技術の指導とか、言葉づかいの指導とか、屋根につけてある空車表示を、まず先にしっかりしてほしいというところだ。

ドライブレコーダーを取り付けるよう指示したのは、LTFRB(Land Transportation Franchising & Regulatory Board) という、乗客専用の交通機関の許可・統制する政府機関だ。

乗ったタクシー運転手と話になって、ひどいもんだ、と運転手が言って請求書を見せてくれた。ドライブレコーダー本体とその設置費用の請求額がなんと73,000ペソだ。本体が3,000ペソとなっている。
実は私もドライブレコーダーの必要性を感じ、先日買ったばかりで、値段は1,000ペソだったのだ。

こういうカネを集めることができるアイディアを鵜の目鷹の目で探して、自分たちの収入を作る。そしてそのアイディアを考え出した者やそれを執行して親分に大きな収入を作った者が、取り巻きの中で地位を得て太っていく。もちろん親分が最大の取り分だ。こんな悪党集団が役所の、それもトップ集団にいて、強大なパワーを発揮して悪事を働いているのがフィリピンの実情だ。

以前ASEANの会議をマンダウエに誘致して、巨大な会場を新たに作った。会場の建物の前の広場を広く取り、各国の国旗を揚げるポールを並べ、国際会議場にふさわしい外観だった。しかし予算をたっぷりとったのに、業者をありったけ叩いて作ったらしく、もちろん大きな差額は権力者たちのポケットにごっそり。しかしすぐその仕掛けが会議が開かれる前に露見した。天井が落ちたり、ガラス窓が外れて落ちたり、雨漏りがひどかったりで、とうとう使えないで、会議を他のホテルで執り行った。
それと合わせて、参加代表たちが通過する沿道に延々と街灯をつけたけど、これも点灯しないものが多数あって、みっともない様を披露することになってしまった。一機設置するのに7,000ペソでできるのに5倍だか10倍だったかのひどい予算執行をしたと新聞種になり、マンダウエ市長がその黒幕だとして挙げられ、世間をバカにしたあまりにひどいむき出しのやり口に批難が大きくなり失職した。
その一方で、セブも一部の区間に同じ街灯を設置したのに、強大な力を持つオスメニア一族の市長がその執行者だから、裏の手が有効に働き、追及の手をうやむやにしてしまった。

こういった政治家たちや権力を握る機関が目に見える明らかな悪いことをしても、住民たちは選挙の時に、もらえる買収額の大きい方の立候補者に投票する。民主制など、ただの隠れ蓑にされているだけで、真の機能は全く働いていないのだ。

国が老人への生活費を扶助していると聞いた。60歳以上に毎月1,000ペソくれるのだ。なかなかいい福祉政策だ。と思うのはまだまだ早い。ダナオでは支給年齢を独自に70歳にしているんだそうだ。貧乏な自治体には裁量権が与えられているというのだろうか。そこらは政治に関心の薄いダナオ市民には興味のない話のようだ。もしかしたら国に虚偽の報告をしていて、報告を受ける側も虚偽であることを知っていて受け取り、何も不正はありませんって顔をするのかもしれない。とても奥が深くて、我々の常識では想像に至らない手段がのうのうと実行されるのだから。足跡をたどるにどこまでいったら突端に行き着くか先が見えないのだ。それに、いったいそのカネはどこに消えたんだ?
もっと想像を広げると、これはダナオだけではなく、強力な首長が牛耳る自治体ではどこでもやっていることなんだろうな。国ぐるみなのだから、置いていかれるのは庶民だけという図式だね。

フィリピンは強い者が弱い者いじめをするのが常軌で、国が先頭を切ってこの公式に乗っかっている。いじめられる側もその公式を納得して上の悪事を受け入れて、さらに下の者をいじめる。最後にいじめられる連中は返す手もないから、泥棒をしたり、乱暴をしたりの無作法・無法をして鬱憤を紛らわすのだ。



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