ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [9月15日(金)~9月17日(日)]

2017-09-19 22:41:28 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶やっぱりクストリッツァ監督は格が違う、と思ったのは新作「オン・ザ・ミルキー・ロード」を観ての感想。傑作「アンダーグラウンド」には及ばないにしても、現実と空想、悲劇と喜劇、人間と動物が入り乱れた狂躁の世界は健在。動物もわんさか出てきたかぞ。昆虫を抜いても10種類、かな? 折しも今YEBISU GARDEN CINEMAで<ウンザ!ウンザ!クストリッツァ!2017》という特集をやっていて、その中で「アンダーグラウンド 完全版」というのを前・後編に分けて上映中ですが、計5時間25分なんてねー。〈デジタル・リマスター版〉の3時間でも十分長いのに、どんな物好きな人が観に行くんだろ? (あ、観に行こうかな。)

「Viva!公務員」は、イタリア映画歴代興行収入歴代トップを記録したコメディとのことで、格の高さなどぜーんぜん関係ない作品ながらけっこう楽しめました。公務員の問題はほとんど各国に共通なんでしょうね。関係掲示物に載っていたグラフを見ると、2008年OECD加盟国の中で<労働人口に占める公務員の比率>で日本は36ヵ国中低い方から2つ目。(算定の仕方等々の問題はあるようですけど。) そして比率が一番低い国が韓国なんですね。ま、この件については今後の課題。

「ビアンカとギター弾き」はフィリピンについていろんなことを考えさせられました。(例の大統領に観てほしい。) 長谷井宏紀監督にとっても主演の女の子(サイデル・ガブテロ)も人生の中での貴重な一作となるでしょう。もちろん完成の直後に亡くなったギター弾きのおじいさんにとっても・・・。

▶伊勢佐木町の横浜シネマリンで9月23日~10月6日<ハートアンドハーツ・コリアン・フィルムウィーク>として「空と風と星の詩人 〜尹東柱の生涯〜」等4作品を上映。東京等で見逃した人はこちらで。(→詳細) ※24日(日)だと鈴木清順監督の<慰安婦映画>「春婦傳」も併せて観られます!

▶7日夜に行ったソウルの行列のできる店・公平洞コムジャンオには店内に昔のポスターが貼られていました。
      
 右は「愛の望郷 激流を超えて」(1981)。庶民的ないいフンイキ。コムジャンオ(ヌタウナギ)のオゾマシイ姿を知らない方は各自検索してね。
    
「朝鮮日報」9月2日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)
 「ウィンド・リバー」
   雪原を覆う悲哀の重さ ★★★★



 「バリー・シール/アメリカをはめた男」

   米国外交秘史の風刺劇 ★★★



 「鬼郷、まだ終わらい物語」

   まだ、こんなに鮮明な傷 ★★☆


 「アンロックト」

   整っているがタイクツ ★★☆


 「鬼郷、まだ終わらい物語」は昨年の「鬼郷」の続編。詳細は→「ハンギョレ」(日本語版)の記事参照。「アンロックト」(仮)は、イギリスのスパイ&アクション。(日本公開未定。) あらすじ等は→コチラの記事参照。他の2作品は以下の記事の中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(9月19日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(-) 4月の終わり(韓国)  9.75(4)
②(-) 吾輩は猫である(韓国)  9.44(237)
③(-) おばあちゃんの遠い家(韓国)  9.44(174)
④(-) ベル&セバスチャン  9.44(34)
⑤(2) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン  9.41(224)
⑥(3) 貯水池ゲーム(韓国)  9.40(1,648)
⑦(-) 女優は今日も(韓国)  9.33(299)
⑧(4) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本)  9.26(622)
⑨(1) それにもかかわらず(韓国)  9.22(45)
⑩(9) しまじろうと にじのオアシス」(日本)  9.21(28)

 今回の新登場は①と⑦の2作品です。
 ①「4月の終わり」は、韓国のドラマ&スリラー。古いアパートに公務員試験受験生のヒョンジン(パク・ジス)が引っ越してきます。陰鬱な雰囲気の漂う町で、住民も得体の知れない感じ。隣に住む女子高生のジュヒ(イ・ピンナ)の家庭教師をすることになったヒョンジンは、ジュヒの家庭の事情を耳にし、ジュヒをかわいそうに思います。ある日ジュヒが同じ町内に住む誰かを殺したいと話し、その数日後実際に殺人が起きます。ヒョンジンはジュヒを疑います。一方、このことを聞いた住民センターの社会福祉担当のパク主務官(チャン・ソヨン)は、長い間忘れて過ごしていた1人の子供の顔を思い浮かべながら、古いアパートへと向かいます・・・。原題は「사월의 끝」です。
 ⑦「女優は今日も」は、女優ムン・ソリ自身が監督・脚本・主演を担当して自分自身をモチーフにしたドラマ。ムン・ソリといえばイ・チャンドン監督の「ペパーミントキャンディー」(1999)でデビューし、同監督の「オアシス」(2002)でベネチア映画祭新人女優賞を受賞する等、世界的にも注目されてきた女優ですが、その彼女の監督として初めての長編作品です。短編はこれまでにも作っていますが、本作はそれらを素材に「女優ムン・ソリ」、「生活のムン・ソリ」、「芸術家ムン・ソリ」の3部で構成されています。嫁であり、娘であり、母であり、妻である彼女は働く女性としてとても多忙。一方政治に関わるという側面もあります。そんな彼女の悩みは、外見上のこと。デビュー当時から<キレイじゃない女優>と言われたりして・・・。そしてずいぶん前から本当にやりたい役のオファーがなくなってきたこと。1年に1本出演できるかどうかとのこと。また<演技派女優>という肩書きも単なる中堅女優という名に変わってしまったようで・・・。そんな女優ムン・ソリ自身が、今自力で立ち上がろうとする姿を描きます・・・。原題は「여배우는 오늘도」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) ダンケルク  8.55(11)
②(2) ラ・ラ・ランド  8.34(14)
③(3) それにもかかわらず(韓国)  8.00(1)
④(-) ムーンライト  7.89(9)
⑤(-) ベイビー・ドライバー  7.67(9)
⑥(-) オクジャ(韓国・アメリカ)  7.33(15)
⑦(-) ウインド・リバー  7.33(6)
⑧(5) パム島海賊団、ソウル火の海(韓国)  7.22(9)
⑨(6) エリザのために  7.20(10)
⑩(7) スパイダーマン:ホームカミング  7.00(10)

 今回の新登場は⑤と⑦の2作品です。
 ⑤「ベイビー・ドライバー」は、日本では一足早く8月に公開されています。韓国題は「베이비 드라이버」です。
 ⑦「ウィンド・リバー」(仮)は、米・英・カナダ合作のアクション&サスペンス。野生動物の保護管理を専門に行う組織であるFWS(合衆国魚類野生生物局)の職員コリー・ランバート(ジェレミー・レナー)はワイオミング州のネイティブインディアンの保留地にある荒野ウィンド・リバーの真ん中で少女の死体を発見します。FBIは事件の捜査のために新人捜査官のジェーン・バナー(エリザベス・オルセン)を現地に派遣しますが、不安定な気候と冬の厳しい寒さを甘く見ていたバナーは捜査に難渋し、ランバートに捜査への協力を依頼します。2人は暴力と自然によって荒れ狂う世界と直面しながらも、ネイティブ・アメリカンの村社会の闇に分け入っていきます・・・。韓国題は「윈드 리버」。日本公開は未定のようです。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績9月15日(金)~9月17日(日) ★★★

         ソル・ギョング主演「殺人者の記憶」が2週連続トップ

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・殺人者の記憶法(韓国) ・・・・・・9/06・・・・・・・・・・・483,978・・・・・・・・2,064,004・・・・・・・・16,718 ・・・・・・・・・884
2(34)・・ベイビー・ドライバー ・・・・・・・・9/14 ・・・・・・・・・・338,250・・・・・・・・・・422,080・・・・・・・・・3,515 ・・・・・・・・・778
3(新)・・バリー・シール ・・・・・・・・・・・・・9/14・・・・・・・・・・・216,676・・・・・・・・・・266,391 ・・・・・・・・2,156 ・・・・・・・・・691
        /アメリカをはめた男
4(2)・・IT/イット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/06・・・・・・・・・・・119,288・・・・・・・・・・809,816 ・・・・・・・・6,701 ・・・・・・・・・481
        “それ“が見えたら、終わり。
5(3)・・ヒットマンズ・ボディガード ・・・・8/30・・・・・・・・・・・116,680・・・・・・・・1,496,461・・・・・・・・12,400 ・・・・・・・・・235
6(30)・・怪物はささやく ・・・・・・・・・・・・・9/14 ・・・・・・・・・・・36,298・・・・・・・・・・・46,905 ・・・・・・・・・・375 ・・・・・・・・・349
7(4)・・タクシー運転手(韓国) ・・・・・・・8/02・・・・・・・・・・・・34,661・・・・・・・12,152,948・・・・・・・・95,608 ・・・・・・・・・321
8(6)・・映画かみさまみならい・・・・・・・9/07・・・・・・・・・・・・25,834・・・・・・・・・・120,878 ・・・・・・・・・・930 ・・・・・・・・・164
        ヒミツのここたま 奇跡をおこせ♪テップルとドキドキここたま界(日本)
9(5)・・青年警察(韓国)・・・・・・・・・・・・・8/09・・・・・・・・・・・・23,571・・・・・・・・5,638,957・・・・・・・・44,276 ・・・・・・・・・259
10(8)・・貯水池ゲーム(韓国)・・・・・・・・9/07 ・・・・・・・・・・・20,746・・・・・・・・・・・93,724 ・・・・・・・・・・744 ・・・・・・・・・192
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「殺人者の記憶法」が連続1位といっても、累計動員数はようやく200万人を超えたレベル。累積収入は16,718×100万ウォンつまり大雑把に言って約16億円。「タクシー運転手」は約95億円ということになります。人口が日本の半分以下ということを思えば、日本の映画業界から見るとうらやましい数字かもしれません。
 今回の新登場は2・3・6位の3作品です。
 2位「ベイビー・ドライバー」については上述しました。
 3位「バリー・シール/アメリカをはめた男」は、実在したコロンビアの麻薬密輸パイロットのバリー・シール(1939~1986)の実話に基づいたクライム・スリラー。ニューヨークからワシントン、ワシントンからシカゴへ。民航機1等パイロットのバリー(トム・クルーズ)は顧客を目的地まで安全に運ぶこと以外にどんな楽しみもありませんでした。ところが、ある日彼を訪ねてきたCIAの要員モンティ・シェイファー(ドーナル・グリーソン)によって彼の人生は180度変わり始めます。CIAと組んで武器の密搬出に手を貸し始めたベリーは、わずかな不法行為によって巨額の札束をつかむようになります。だんだん、より大きな犯罪の世界に足を踏み入れるようになった彼は、結局FBI、CIA、ホワイトハウス、そして世界の麻薬組織まで手を伸ばすのですが・・・。韓国題は「아메리칸 메이드」。日本公開は10月21日です。
 6位「怪物はささやく」はアメリカ・スペイン合作のダーク・ファンタジー。日本では6月に公開されています。韓国題は「몬스터 콜(モンスター・コール)」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(12)・・モンスター・コール ・・・・・・・・・・・・9/14 ・・・・・・・・・・・・36,298・・・・・・・・・・・・46,905・・・・・・・・・・・・・375・・・・・・・・・349
2(7)・・ウィンド・リバー ・・・・・・・・・・・・・・・・9/14 ・・・・・・・・・・・・20,723・・・・・・・・・・・・32,304・・・・・・・・・・・・・256・・・・・・・・・330
3(11)・・知らない、ふたり(日本) ・・・・・・・・9/14 ・・・・・・・・・・・・11,462・・・・・・・・・・・・22,586・・・・・・・・・・・・・198・・・・・・・・・・99
4(新)・・熊出没の年賀 ・・・・・・・・・・・・・・・・9/14 ・・・・・・・・・・・・10,149・・・・・・・・・・・・11,758・・・・・・・・・・・・・・84・・・・・・・・・245
5(1)・・共犯者たち(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・8/17 ・・・・・・・・・・・・・4,925・・・・・・・・・・・251,423・・・・・・・・・・・1,972・・・・・・・・・・96

 1~4位がすべて新登場です。
 1位「怪物はささやく」と2位「ウィンド・リバー」については上述しました。
 3位「知らない、ふたり」は、2016年1月一般公開された日本映画、といってもご存じない方が多いかも。日韓の若手俳優7人による恋愛群像劇で、けっこういいフンイキの作品でしたが、韓国のアイドルグループNU'ESTのメンバーが主演格のレンをはじめ出演していたので韓国でも公開されたのでは・・・。韓国題は「좋아해, 너(好きだよ、君が)」です。
 4位「熊出没の年賀」(仮)は、中国の人気アニメシリーズ。今年6月にも「熊出没の年越し」(仮)という作品が公開されていましたが、興行成績がよかったのか、この2015年の正月映画(←たぶん)も公開。主人公の熊の兄弟に相対する人間のロガービッグ(光頭強)はなぜか突然解雇されますが、故郷の父母に正月用のプレゼントをするため森林監視員として新たに働くことになりますが、悪のロボットなるものが現れて森の木をむやみに切り倒すという狼藉を働くのです。これを知ったロガービッグは熊兄弟や森の仲間たちと一緒に悪のロボットを倒すために力を合わせます・・・。韓国題は「부니베어:나무 도둑의 습격」です。