ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

‘広告の天才’イ・ジェソクの奇抜な広告アートの数々 [その3]

2016-02-12 13:24:08 | 韓国の路上芸術・びっくりオブジェ等
 → [その1]
 → [その2]

 今回がシリーズ最後の記事です。メッセージ性が強いものを中心に並べてみました。

    
 反戦キャンペーン。英文の表題は"What goes around, comes around. "、韓国語は「뿌린대로 거두리라(蒔まいた種は自分で刈り取れ)」。つまり「自業自得」。2009年5月世界三大広告賞の1つ、ニューヨークのTne One Showで1位を獲得した作品です。横長のポスターを円柱に巻くと、敵を狙った武器が背後から自分に返ってきます。

    
 どちらも飲料水支援キャンペーン関係。左は<水タンク編>で、「この中が水なら村の皆が飲むにも十分です」というコピーがついています。右は「中央日報」の記事(→コチラ)より。2014年3月22日の<世界水の日>に合わせた‘WATER 4 CHILD’というキャンペーン。ソウル市の清渓川。飲み水の不足に悩むアフリカの少年が大きなストローをくわえている造形物。<その2>の記事にもあった緑の傘子供財団はアフリカ等に213の井戸を設けて4万人の子どもたちがきれいな水を飲めるようにしたとのことです。

 これも飲み水に関わるもの。「ある母親はぜいたく品を求めて1㎞の道を行き、ある母親は飲み水を汲みに1㎞の道を行く。」

    
 左は、「銃砲関係かな?」と思いましたが、ニューヨークに本部を置く環境保護団体NRDCのための広告で、「大気汚染で年間6万人が死亡しています」というコピーがつけられています。右は「環境があなたを見守る。」

    
 次は使っていくうちに減っていく小物です。左は地球温暖化。ローソクの地球が溶けていきます。右はタバコの害。バースデーケーキのローソクに見立てられた紙マッチでタバコに火をつけるごとにローソクの本数が減っていきます。
 続いて政治がらみのメッセージ。

    
 左は地下鉄・国会議事堂駅近くにある国家報勲処情報資料室のビル。2013年2月の愛国(ナラサラン)キャンペーン。←これは実際のものですが、右はもちろんそうてはありません。2009年4月の北朝鮮のミサイル実験に対するもので、同年8月のワシントンポスト紙1面に大きく掲載されました。「MEALS, NOT MISSILES.」というタイトルがつけられています。「ミサイルじゃなく、食糧」。そして「食糧援助のお金はどこに行ったと思いますか?」と記されています。
 次はカチンとくる日本人がたくさんいそう・・・。

 2013年8月鬱陵島に立てられたパネル。海面上の小さな島はもちろん竹島(独島)です。

    
 この2つは反安倍の日本人でも抵抗感があるのでは? 左は2008年8月のニューヨークのマンハッタン。表題は'STOP ISLAND THEFT'、韓国語では「섬 도둑질 그만」。つまり「島泥棒はやめろ」です。右は2013年2月の安倍首相糾弾のポスター。下のハングルは見出しが「人気取りのために国を売っている」、その下には「安倍の攻撃的な右傾化政策は日本をアジア周辺国から公共の敵とし、国際社会から孤立させているのだ。日本とアジアそして世界平和を担保とした彼の人気取りのための政治賭博は即時中断されなくてはならない。」と記されています。内容の是非はおくとして、この2つの表現手法はえげつないといった感じがしてしまいます。とくに後者については韓国内でも批判的な見方もあるようです。日本のサイト(→コチラ)でも取り上げられていて「そのデザインがなんとも不気味であることが判明。これには、韓国のネットユーザーたちも「これはないわ」とドン引きしているという」等々と記されています。まあなんのかの言ってもイ・ジェソクさんも韓国の国民ということです。

 以上でこのシリーズは終わりですが、最後に記事の流れで載せられなかった画像をまとめて載せておきます。

    
 ソウル市瑞草警察署盤浦地区隊の建物。「112は緊急の犯罪申告の電話です」とありますが(左)、側面を見ると「112への間違い電話は緊急出動の足を引っ張ります」と・・・。

   
 左は2010年3月「朝鮮日報」の<才能を分けあいましょう(재능을 나눕시다)>キャンペーン。あげる方にとってはわずかなことでも、受け取る側には大きな贈り物。モデルの女の子はドラマ「明日に向かってハイキック」(MBC)等に主演していたソ・シネちゃん。あ、もう子役卒業か。右は整形外科の広告なのだそうです。