ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

定年前退職S氏のソウル・慶熙大学校10週間留学記 (11)

2015-08-15 20:09:36 | S氏の慶熙大学校10週間留学記
[ヌルボより] S氏の留学生活も残り少なくなってきました。最初から続いているのは主目的の韓国語の勉強、民族楽器タンソの練習、カンさんをはじめとする人たちとのお酒&食事の交流、知り合いになった近所の店のおばさん等とのコミュニケーション。前回も記したトウミ氏、今度もなかなか気の利いた街歩きガイドです。 

◎5月23日(土)
 今日は完全休養日。溜まった勉強の整理をしようと思うが気が乗らない。清涼里(チョンニャンニ)で昼でも食べようとバスに乗る。3つ目の停留所で到着。マンドゥと冷麺を食べた後市場を練り歩く。何度歩いても巨大で人が多く圧倒される。地下市場に始めては入ったが驚いたことにホンオ(エイ)の大きな専門店があっておびただしい数のエイが所狭しと並んでいる。こんなに食べる人がいるのかと思うような数だ。もちろんエイからは強烈なアンモニア臭が放たれている。見事な光景だった。
 帰国前に安東に行きたいと思っているので時刻表を確認しに清涼里駅へ行く。時刻表があるのだがよくわからない。目的地の表示は電車ごとにされているが、その駅が安東の手前になるのか後の駅なのか定かではない。計画の練り直しをしなければならない。
 夕方カンさんからメールが入る。日本人のお客さんとの約束を違え、ちょっとトラブルになったらしい。そこで謝罪文を考えて欲しいとのことであった。文が完成し終えたところでカンさんから連絡があり、今そのお客さんが来て謝ったところで事なきを得たようだった。一応、文章をカンさんにメールする。
 夕食のため出かける。コンビニのおばさんのところに立ち寄ったら、すぐそばに安くて美味しい豚肉料理の店があるから、と紹介してくれた。すぐ近くにあるはずが見つからないので違う店に入って食事をした。帰りがけにコンビニに立ち寄り、見つからなかった旨を報告したら、「何で見つからないのよ」と叱られてしまった。
 部屋に戻ると、小学校時代の仲間から60歳の誕生日で今仲間うちで飲んでいるという。改めて残されている時間は少ないのだと感慨に耽る。結局たいした勉強はできなかった。

◎5月24日(日)
 今日は休養を決め込む。少し勉強でも午前中文法の復習。昼は前から1度行ってみたいと思っていた外大に近いところにある中華料理屋に行って見た。ここは2回ほど行って見たがいずれも店が閉まっていた。古い小さな2階建ての建物の2階にある。階段上がり口にメニューが掲げてあった。麵を食べたいのだがちゃんぽん以外よく分からない。しかたないので階段を上がり店に入るとなかなかこぎれいにしている店だった。モ何とかという料理があったので、これは何が入っているのかと訊いて見たら、いろいろ入っている、と曖昧な返事。注文して見ると野菜や海産物がたっぷり入っていて少し薄味だが意外と美味い。店の主人は年の頃40代の中国人。日本人かと韓国語で聞かれたのでそうだと答えると片言の日本語が飛び出してきた。少し日本にいたことがあるらしくお姉さんは日本人と結婚して静岡に住んでいる。この店は4年ほど前から夫婦2人で始めたが景気が悪く困っている。この近所も随分と店がつぶれているよ、という。愛想よく人当たりもよさそうな人物だった。午後はカラオケに行く。50分追加サービスしてくれた。アルバイトのお兄さんも何しに来たかわかっていて何も訊かず部屋に通してくれる。

◎5月25日(月)
 今日はお釈迦様の生誕祭で休日。トウミと会い市庁方面に出かける。折角の生誕祭なので近くの曹渓寺(チョゲサ)へ行く。境内は信者で大にぎわい。色とりどりの提燈がたくさん吊ってあり境内を覆いつくしている。ステージも設けられていて歌手が元気よく歌っている。生誕祭の雰囲気を味わうことができた。
 寺に行く途中、日本大使館の前を通ると例の慰安婦の像が設置してあった。テレビでは見たが現物は初めてだ。その後トウミと映画を見に行く。トウミは映画ファンらしく、日本映画も月に1本は見るらしい。題名は「結婚しなくても大丈夫?」。柴崎コウ等が主演。スポンジハウスとかいう建物の中にある小さな映画館だが、そこそこ観客は入っている。意外と日本映画に対する関心は強いようだ。トウミも笑いながら見ていた。韓国語の字幕を追ったが早くてついていけなかった。
 今日の昼間は暑かった。29度まで気温が上がったようだ。清渓川(チョンゲチョン)も涼を求める人々でにぎわっていた。

◎5月26日(火)
 今日はタンソの最後の授業。最初十数人いた生徒も最後は5人だけ。音が上手く出ないと諦めてしまった人が多い。簡単な楽器だがそれなりに奥が深く、やればやるほど高度なテクニックが必要となる。先生からぜひ継続して練習するよう要請があった。日本でどうやって先生を見つけるかが問題だ。最後の授業の後はお菓子を食べてお別れ会。
 学校の授業はそろそろ期末試験モード。成績が悪いと同じレベルをもう一度履修するが、2度やって結果が出ないとこの学校で履修できなくなっている。これから韓国でレベルアップしようとしている生徒にとって試験結果は重いので、皆一生懸命勉強することになる。
 晩飯はコンビニのおばちゃんに教えてもらった店に再挑戦。たまたま店に来ていたおじさんが店まで案内してくれた。行って見るとなんと金曜日に行った店だった。おばちゃんが推薦してくれたペッパン(白飯)という定食をたのんだ。安い上に美味かった。店に案内してくれたおじさんは日本語が片言ながらしゃべれた。4、5年前に石工の仕事で出稼ぎで1年ほど行ったことがあるらしい。日当はよく2万5千円、残業すると1時間5千円もらえたそうだ。「日本はいい」としきりにいっていた。また、この店の店員のおばちゃんが私の娘は奨学金給付生として早稲田で1年ほど勉強していたといってわざわざ電話してくれた。電話に出ると利発そうで感じのいい人だった。ソウル市大で仕事をしているらしい。韓国の学生の日本留学は人気が高いらしい。「母がご迷惑をおかけしました」と何度も謝っていた。

◎5月27日(水)
 今日は暑かった。ソウルでもここのところの暑さは例年にないらしい。昨晩は寝ていても少し暑く感じた。
 授業終了後久しぶりに校内のレッスン場に行ってみた。暑くてどうなるかと思ったらうまいこと日陰ができていた。風もなくいい塩梅なので少しだけ(タンソの)音を出して見た。授業のほうは教科書の残りページも残り少なくなり、終わりが近いことを知らせてくれる。

◎5月28日(木)
 今日のイルキ(読み)の授業はパソコン使用方法についての内容。知らない単語が次々と出てくる。最近物忘れがひどく、なかなか単語が覚えられない。試験にも大きく影響しそうだ。日本にいてもパソコンのことはよくわからないのに。
 それにしても今日は暑かった。朝から半そでで十分だった。教室内ではクーラーを平気で使うのでここでは寒いくらい。
 今日昼ご飯を食べようとしたら、いつも1人で食べている私を気遣ってか例の中国人の女の子が昼食をともにしてくれた。どこで食べようかということになったが結局学食で食べることにした。今日はビザの更新のためこれから大使館に行くらしい。食べる前にピザの話をするものだから食べるほうのピザと勘違いしてしまい、話がかみ合わなかった。
 寄宿舎に帰るとひどく疲れていて1時間ほど午睡をしてしまった。

◎5月29日(金)
 今日の文法では各種不規則・動作動詞・状態動詞の再確認が行われたが、これが意外と頭の中で整理できていない。今まで文法をないがしろにしてきたツケが来たようだ。先生から単語がたくさんが記載されたA4用紙が配られてマスの中を埋める課題が出されたが、けっこうとまどい、先生からチェックされ間違いを指摘される。今まで何をやっていたんだろうと恥ずかしくなった。これはもう覚えるしかない。今日は早く帰っておさらいをすることにした。
 夜カンさんから連絡が入り新しい家の契約が済んだとのこと。声もなんとなく弾んだようす。明日釣りに行こうと誘われたが、明日は朝から句会の人たちと1泊で利川(イチョン)に行くことになっている。残念だがお断りしてしまった。とりあえず新しい家が決まってよかった。
 ところでこの付近は美容室と洗濯屋さんが多い。こんなに需要があるのかと思うほどだ。それにしても洗濯屋さんはどこでも夜遅くまで仕事をしている。自分の店で洗濯をしている店は日本ではもう余り見かけなくなった。こんなところにも韓国には懐かしい風景がある。

 [ヌルボより]  日本では4月8日がお釈迦様の誕生日とされ、花まつり(灌仏会)と称されています。
 韓国では旧暦4月8日が釈迦誕辰日(석가탄신일)で、公休日になっています。2015年の場合は日記にあるように5月25日でした。
 また提燈のことが記されていますが、私ヌルボが2007年のGW(4月29日)ソウルに行った時、世宗路あたりにはもう右のような提灯がたくさん飾られていました。右はその時撮った写真です。「부처님 오신 날(お釈迦様が来られた日)」と書かれています。先の釈迦誕辰日は公的な名称で、コチラが一般的な言い方なんですね。

 同じ5月25日にS氏がトウミ氏と行った映画館のスポンジハウスは、私ヌルボも4月24日ソウル旅行の最終日に初めて行ってきました。4月28日の記事に書いた通りです。観た映画も同じ「すーちゃん、まいちゃん、さわ子さん」。韓国題は「결혼하지 않아도 괜찮을까(結婚しなくても大丈夫かな)」です。S氏も書いているようにハングル字幕が切り替わるのがホントに早いです。「銭湯に行こうか」というセリフが字幕では「찜질방에~(チムジルバンに~)」になっていたな、ということだけ憶えています。