ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [8月15日(金)~8月17日(日)]

2014-08-19 23:53:53 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 6日に韓国文化院で「走れ自転車」を観てから以降時間的及び精神的余裕がなく、映画館に足を運んでいません。「ソウォン/願い」とか、ホン・サンス監督の2作品(「ソニはご機嫌ななめ」「ヘウォンの恋愛日記」)とか、SARUさんご推奨の「この世の果て」とかはぜひ観に行くつもりなんですけどね。

 この数年日本で公開された韓国映画について思うのは、「こんなにいい映画なのになんで観客が少ないのか?」「なんで話題にならないのか?」「なんで上映館数が少ないのか?」といったことです。
 元来ミニシアター系の作品はともかくとして、韓国では何百万人もの動員数を記録した「王になった男」「過速スキャンダル」「サニー 永遠の仲間たち」「観相師」「新しき世界」等々。現在上映中の「怪しい彼女」も言うまでもありません。
 最初からターゲットを韓流ファンに限定してしまっているためか、宣伝費に金をかけられないのか、なんらかの事情で上映館確保が困難なのか、そこらへんの内部事情は私ヌルボにはわかりません。
 2つ前の記事(→コチラ)で<1996年の韓国映画祭at三百人劇場>と題して2000年以前の韓国映画を取り上げましたが、そこで「日本で上映された韓国映画の歴史を個人的・実感的に振り返ってみると、2000年という年がひとつの画期と思われます」と書きました。詳しくは、たぶん明日の記事で書きますが、作品でいうと「シュリ」。予告編的に次の画像を見てみてください。


 2000年1月14日(金)の「朝日新聞(夕刊)」です。なんと「シュリ」の全面広告です。朝日の広告局の企画・制作によるもので、姜尚中東大教授と富田靖子さんも登場しています。同日「読売新聞」にも読売の企画・制作による広告が掲載されています。とても現在では考えられないことです。
 作品自体のレベルもさることながら、それ以前に作品の「認知度」をいかに高めるか、もっと工夫と努力を願いたいものです。とくにCJ Entertainment(だけじゃないか?)、韓流スターよりも作品性で勝負してくださいねー。)
 ※現在「怪しい彼女」は全国で上映館が10館だけ。せっかく「ぴあ映画生活」の満足度ランク(→コチラ)で5~6位の高ランクを維持しているのに・・・。ちなみに1位の「チョコレートドーナツ」と平均点は同じ(85点)なんだけどな。ミニシアター系っぽい「チョコレートドーナツ」は4月19日公開で、口コミの支持が広がり、今は全国23館。多くはないがそれでも「怪しい彼女」の2.3倍だもんな。

   
【オードリー・ヘプバーンと、「オ・ドゥリ」を演じたシム・ウンギョン。明らかに左のポスターのポーズを意識しています。】

 この1週間の韓国映画の話題は、なんと言っても8月16日「鳴梁(ミョンニャン)」の動員数が歴代トップになったこと。
 これまでの上位5位はKOFIC(韓国映画振興委員会)の公式統計(→コチラ)によると次の通りでした。
 ①アバター 13,624,328 ②グエムル –漢江の怪物- 13,019,740 ③10人の泥棒たち 12,983,330 ④7番房の贈り物 12,811,206 ⑤王になった男 12,319,542
 ※「鳴梁」は18日(月)の時点で14,886,432人です。そして→コチラの最新ニュースによると、今日19日午後1時30分累積観客数1500万の記録を樹立したとのことです。
 この「鳴梁」、内容的に日本での上映はあまり望めないし、実は来週ソウルに行ってくるので、その時観てくるかな?

 8月8日以降「朝鮮日報掲載の「封切映画 ぴったり10字評」の掲載はありません。

           ★★★ Daumの人気順位(8月19日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①その人 枢機卿(韓国)  9.3(24)
②さよならを待つふたりのために  9.1(184)
③名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー)(日本)  9.1(62)
④ビギン・アゲイン  9.1(72)
⑤おやすみなさいを言いたくて  9.1(20)
⑥少女は自転車に乗って  8.9(34)
⑦ぼくを探しに  8.8(86)
⑧ヒックとドラゴン2  8.6(424)
⑨フリー・バーズ  8.5(34)
⑩ベルベット・ゴールドマイン  8.5(55)

 今回の新登場は②④の2作品です。
 ②位「さよならを待つふたりのために」は、ジョン・グリーンの同名ヤングアダルト小説(岩波STAMP BOOKSに訳書あり)の映画化作品です。16歳の少女ヘイゼルは甲状腺がんが肺に転移して以来3三年も酸素ボンベが手放せない生活。ある時がん友の会の場で骨肉腫のため片脚を失った少年オーガスタスと出会い、たがいにひかれあいますが、先に待っているのは厳しい現実・・・。しかし、この作品は他の多くの難病ものとは違って、死を迎える者と見送る者のぞれの心理が深くていねいに描かれているそうです。原作は、「TIME」誌が選ぶ2012年度の小説1位に選出される等高い評価を得たベストセラーで、翻訳の金原瑞人・竹内茜両氏も「この10年間に出たアメリカのヤングアダルト小説でおそらくベスト」と言い切る作品、とのことです。(アマゾンの読者レビューによる。) 韓国題は「안녕, 헤이즐」です。日本公開は未定のようです。
 ④位「ビギン・アゲイン」は、失脚した音楽プロデューサーと新進女性ミュージシャンが組んで成功を目指すアメリカの音楽ドラマです。シンガーソングライターのグレタ(キーラ・ナイトレイ)は公私ともパートナーだった男に浮気され、NYからイギリスに帰国しようとします。同じ日音楽プロデューサーのダン(マーク・ラファロ)は仕事が成功せず、自ら設立した音楽レーベルから解雇されてしきいます。その2人が夜のクラブで偶然出会います。グレタの歌に魅せられたダンは、彼女のプロデュースを申し出るが、すでにデモテープを作るさえ金もない。そこでダンが考えたことは・・・。韓国題は「비긴 어게인」。これも日本公開は未定。

     【専門家による順位】

①ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー  8.0(5)
②誰よりも狙われた男  8.0(4)
③その人 枢機卿(韓国)  8.0(1)
④慶州(韓国) 7.2(7)
⑤ノンフィクション・ダイアリー(韓国)  7.2(4)
⑥少女は自転車に乗って  7.1(6)
⑦群盗:民乱の時代(韓国)  7.0(9)
⑧グレート・ビューティ  7.0(7)
⑨her/世界でひとつの彼女  7.0(6)
⑩恋するヨプゴン・ガール  7.0(1)

 今回の新登場は⑩「恋するヨプゴン・ガール」だけです。マルグリット・アブエ作:クレマン・ウブレリ作画のフランスの漫画(バンド・デシネ)のアニメ化作品です。原作は雑誌「クーリエ・ジャポン」で2010年7月号から翻訳連載されているとのことです。ヨプゴンとはコートジボワールの首都アビジャンの中の笑いと涙の絶えない活気に満ちた街。主人公のアヤは19歳の女の子。親友ビントゥとアジュアがオシャレにハマっているのに対しアヤは医師志望の模範生。その3人の間に、クールな金持ちの息子が登場。彼氏獲得バトルが繰り広げられる(?)うちに、アジュアが妊娠したとのウワサが・・・。ウィキペディア(→コチラ)によると、「1970年代のコートジボワールを舞台に、戦争・貧困・飢餓などアフリカのイメージとは異なる19歳の少女アヤの日常を描く」とあります。韓国題は「아야의 밤엔 사랑이 필요해(アヤの夜には愛が必要だ)」。日本公開は未定。これは観てみたいなー。

【「恋するヨプゴン・ガール」の韓国版ポスター。】

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[8月15日(金)~8月17日(日)] ★★★

         「鳴梁」、数々の興行成績記録更新。

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・鳴梁(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/30・・・・・・・・・・2,058,077・・・・・・14,622,562 ・・・・・・113,004・・・・・・1,012
2(2)・・海賊:海に行った山賊(韓国)・・・8/06 ・・・・・・・・・・1,454,711 ・・・・・・4,292,930・・・・・・・・32,948・・・・・・・・910
3(27)・・海霧(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・8/13 ・・・・・・・・・・・585,349 ・・・・・・・・931,755・・・・・・・・・7,467・・・・・・・・548
4(新)・・プレーンズ2/・・・・・・・・・・・・・・・8/13 ・・・・・・・・・・・161,985 ・・・・・・・・196,348 ・・・・・・・・1,444・・・・・・・・341
       ファイアー&レスキュー
5(51)・・さよならを待つふたりのために・・8/13 ・・・・・・・・・・156,227 ・・・・・・・・228,611 ・・・・・・・・1,810・・・・・・・・317
6(3)・・ヒックとドラゴン 2・・・・・・・・・・・・・7/23・・・・・・・・・・・・116,938・・・・・・・2,911,511 ・・・・・・・23,331・・・・・・・・248
7(5)・・名探偵コナン ・・・・・・・・・・・・・・・・8/06 ・・・・・・・・・・・・71,849 ・・・・・・・・349,994・・・・・・・・・2,426・・・・・・・・192
          異次元の狙撃手(スナイパー)(日本)
8(4)・・ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー・・7/31・・・・・・・・・70,756・・・・・・・1,212,459・・・・・・・・10,322・・・・・・・・145
9(44)・・ビギン・アゲイン ・・・・・・・・・・・・・8/13・・・・・・・・・・・・63,758・・・・・・・・・101,512 ・・・・・・・・・・808・・・・・・・・200
10(新)・・劇場版ポケットモンスター・・・・8/13・・・・・・・・・・・・40,936・・・・・・・・・・55,674 ・・・・・・・・・・398・・・・・・・・123
           アドバンスジェネレーション 七夜の願い星 ジラーチ
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 韓国では、光復節の15日(金)が公休日だったので3連休。「鳴梁」の勢いに一層弾みがついたというわけです。数々の新記録中、累計売上高の1000億ウォン(約100億円)超えも初とのこと。ちなみに日本国内の日本映画では「千と千尋の神隠し」がダントツ1位の304億円で、2位「ハウルの動く城」196億円、3位「もののけ姫」193億円と続き、100億円以上が8作品。しかし日本は入場料が韓国の倍だし、人口も韓国の倍なので、これらを勘案すると「鳴梁」の数値は日本だと400億円くらいに相当するとみていい、かな?
 今回の新登場は3・4・5・9・10位の5作品です。
 3位「海霧」は海が舞台のドラマ。以前のような収益が得られなくなった古い漁船チョンジン号に、船長のチョルジュ(キム・ユンソク)は5人の船員と共に乗り込む。彼は生きがいである船を守るために船員たちに密航を提案する。命をかけて海を渡ってきた多くの密航者、そして各々の思惑を持った6人の船員。そこに海霧が押し寄せ、彼らを事件に巻き込んでいく・・・。・・・となるとセウォル号事件を想起する人は多いでしょうね。海が舞台といっても「鳴梁」等の時代劇はまだいいですが、現代物の上「密航者たちは船に閉じこめられ・・・」ですからねー。そんなわけで公開時期がなかなか決まらなかったとか。原題は「해무」です。
 4位「プレーンズ2/ファイアー&レスキュー」はディズニーアニメ。日本では7月19日から公開されています。韓国題は「비행기 2:소방구조대(飛行機2:消防救助隊)です。
 5位「さよならを待つふたりのために」と9位「ビギン・アゲイン」については上述しました。
 10位「劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 七夜の願い星 ジラーチ」は、日本では2003年に公開された旧作。韓国ではどういう順序になってる? 韓国題は「극장판 포켓몬스터 AG - 아름다운 소원의 별 지라치」です。うーむ、長いタイトルだな。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(21)・・ビギン・アゲイン ・・・・・・・・・・・・・・・・・8/13・・・・・・・・・・・・・63,758・・・・・・・・・・・・・101,512 ・・・・・・・808・・・・・・・・200
2(1)・・ぼくを探しに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/24・・・・・・・・・・・・・13,161・・・・・・・・・・・・・106,230 ・・・・・・・834・・・・・・・・・45
3(4)・・東京家族(日本)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/31・・・・・・・・・・・・・・3,266 ・・・・・・・・・・・・・25,950・・・・・・・・196・・・・・・・・・30
4(新)・・旅情・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8/07・・・・・・・・・・・・・・5,603 ・・・・・・・・・・・・・・9,584・・・・・・・・・78・・・・・・・・・78
5(3)・・フランシス・ハ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/17・・・・・・・・・・・・・・2,024 ・・・・・・・・・・・・・69,721・・・・・・・・546・・・・・・・・・25

 1・4位が新登場です。
 1位「ビギン・アゲイン」については上述しました。
 4位「旅情」は1955年の旧作の再上映。韓国題が「썸머타임」(Summertim)となっているので何かと思いました。キャサリーン・ヘプバーン主演で、主題曲もよく知られていますね。