ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[1月18日(金)~20日(日)

2013-01-22 23:56:52 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 「東京家族」を観て感じた違和感は、はたして「東京物語」が制作された1953年から今までの60年という時代差によるものか、あるいは山田洋次監督が「現代」をきちんと捉えきれていないためなのか、あるいは私ヌルボの個人的なものなのか? いろんなことを考えてしまいました。少なくとも、往時の日本の家族の典型が今では大きく変わってしまっているのは事実で、ソモソモ典型といえる家族像が今の日本にあるのかどうか・・・。たとえばサザエさん一家のような家族は今はあるにしてもかなり少ないはず。また、60年前の老人像も今ではずいぶん変わったのでは? 「東京物語」では祖父・周吉は72歳、祖母・とみは68歳。「東京家族」でも同じ設定にしたのはいかがなものでしょうか? 現在のこの年齢層の人たちの「標準」がいったいどのようなものか、ヌルボにはよくわかりません。が、あれほどしゃべるのもスローテンポで、自分たちの言動が周囲に及ぼす影響に考えが及ばないものなのか? それはとくに祖父に顕著なんですが、彼はあてにしていた旧友に宿泊を拒まれると「宿無しになった」と途方に暮れてしまうというのも疑問。そして妻に先立たれたら炊事・洗濯に困ってしまうという男性はあいかわらず多いのか、これもよくわかりません。
 この映画を観た横浜ブルク13は、ヌルボのねぐらから歩いて20分。老夫婦が泊まったヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルはそのすぐ近くですが、私ヌルボはもちろん泊まったことはありません。(レストラン・アジュールも入ったことナシ。) しかし、もし泊まったとしても部屋の窓越しにただめずらしい外の景色を所在なげに眺めているだけ、ということは(少なくとも自分自身は)ないと思います。あ、このシーンが一番の違和感。
 いろんなブログ等で感想を見ると、同じような疑問を抱いた記事(→コチラ)もあれば「リアリティあふれる映画でした。派手なことはなく、でも、本当にどこにでもある情景がここにありました。静かな感動を覚えました」というものもありで、たぶんそれぞれに「正しい」のでしょう。
 また「確かに紀子(蒼井優)は素晴らしい女性かも知れないが、息子が良い相手と付き合っているからといって、それだけで長年の関係が変わるだろうか」と書いているブログ(→コチラ)もありました。それにもしかしたら、親に冷遇されて反抗的になった息子が、(親から見れば)とんでもない女と一緒になって・・・という事例の方が現実には多いかもしれませんが、それじゃあ感動作どころか愛憎ぐちゃぐちゃの社会派ドラマになっちゃうからなー・・・。

         
   【私ヌルボの生活圏ではあるが、「昭和人」としては違和感を覚える横浜みなとみらいが「東京家族」の一場面に。】

 別件。予告編で初めてイ・ビョンホン主演の昨年の大ヒット時代劇「王になった男」を観ました。2月16日公開で、公式サイトは→コチラ、予告編は→コチラです。

          ★★★ Daumの人気順位(1月22日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①善き人のためのソナタ  9.4(406)
②ニコ:サンタ飛行団の冒険  9.0(58)
③桃さんのしあわせ  9.0(66)
④おおかみこどもの雨と雪(日本)  9.0(273)
⑤ばんそうこう  8.9(1129)
⑥ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮  8.9(35)
⑦マイ・リトル・ヒーロー(韓国)  8.9(195)
⑧家族シネマ(韓国)  8.8(20)
⑨シュガー・ラッシュ  8.7(165)
⑩モンスター・ホテル  8.7(82)

 新登場の作品は①と⑩の2作品です。
 ①「善き人のためのソナタ」は2007年2月日本公開。韓国題は原題「Das Leben der Anderen」と英題「The Lives of Others」そのままで「타인의 삶(他人の人生)」。
 ⑩「モンスター・ホテル」も2012年9月日本公開。韓国題は「몬스터 호텔」です。
 2つとも日本公開が先とはめずらしいことです。

【専門家による順位】

①愛、アムール  8.6(6)
②あなたはまだ何も見ていない  8.6(3)
③ファウスト  8.4(5)
④ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日  8.3(9)
⑤おおかみこどもの雨と雪(日本)  8.1(6)
⑥ザ・セッションズ  8.0(4)
⑦世界最古の洞窟壁画 3D 忘れられた夢の記憶  8.0(2)
⑧劇場版ポケットモンスター
ベストウイッシュ キュレムVS聖剣士 ケルディオ(日本)  8.0(1)
⑧赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道(日本)  8.0(1)
⑩汚れなき祈り  7.7(4)

 今回の新登場は⑥「ザ・セッションズ」だけです。
 1999年に死去した詩人・ジャーナリストのマーク・オブライエンの実話に基づくアメリカ映画で、昨年のサンダンス映画祭では観客賞と審査員特別賞の二冠に輝いた作品です。マークは6歳の時に発病したポリオのため首から上と手足の感覚はあるものの自分の意思で動かすことができない重度の障碍者で、寝たきりの生活をしています。しかし成人男性としての性的欲求はある、・・・が障碍のためその機会がないまま38歳に・・・。その彼が牧師に相談し、セックス・セラピスト(SEX SURROGATE(セックス・サロゲート))というらしい)の助けを借りて、念願の初体験に挑む・・・というお話。コメディータッチで、観た人のブログ記事によると客席から笑いも聞かれたりしたそうです。また、→コチラのブログ主さんは「ハッキリ断言できるのは、いやらしいポルノ映画ではないこと!」と強調しています。「障碍者のセックスと言う一見タブーのような、故意に避けて話さないような重いテーマを明るく率直に純粋に、しかし観ている者も考えさせられる作品に仕上がっています」とのことですが、観る人の、あるいはその社会のモラルの標準によっては拒否反応は当然あるでしょうね。しかしさすがアメリカはセラピストの国。いろんなセラピストがいるものです。韓国での評点を見ると、現時点でのネチズン(12人)の平均評点も9.2と高得点でした。韓国題は「세션:이 남자가 사랑하는 법(セッション:この男が愛する法)」。日本公開は未定です。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[1月18日(金)~20日(日)] ★★★

         アメリカ映画3作品を抑えて韓国映画「霊媒ヤクザ」が2週連続1位。

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・霊媒ヤクザ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・1/09 ・・・・・・・・・・・・・・・876,575・・・・・・・・2,501,108 ・・・・・・・18,371・・・・・・・603
2(新)・・アウトロー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/17 ・・・・・・・・・・・・・・・389,007・・・・・・・・・・465,285 ・・・・・・・・3,454・・・・・・・431
3(16)・・モンスター・ホテル・・・・・・・・・・・・1/17・・・・・・・・・・・・・・・・335,710・・・・・・・・・・393,590 ・・・・・・・・2,795・・・・・・・489
4(新)・・インポッシブル ・・・・・・・・・・・・・・・1/17・・・・・・・・・・・・・・・・277,535・・・・・・・・・・339,736 ・・・・・・・・2,458・・・・・・・408
5(3)・・レ・ミゼラブル・・・・・・・・・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・・・・・・・・・271,878・・・・・・・・5,317,118 ・・・・・・・38,834・・・・・・・373
6(2)・・タワー(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・12/25・・・・・・・・・・・・・・・・258,931・・・・・・・・4,941,342 ・・・・・・・35,966・・・・・・・406
7(4)・・ライフ・オブ・パイ ・・・・・・・・・・・・・・・1/01・・・・・・・・・・・・・・・・169,040・・・・・・・・1,316,628 ・・・・・・・12,851・・・・・・・279
       トラと漂流した227日
8(6)・・パイの物語:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/10・・・・・・・・・・・・・・・・・51,573・・・・・・・・・・248,277 ・・・・・・・・1,692・・・・・・・235
       悪党サメの掃討作戦(アメリカ・韓国)
9(4)・・クラウド アトラス・・・・・・・・・・・・・・・・1/09・・・・・・・・・・・・・・・・・48,037・・・・・・・・・・426,484 ・・・・・・・・3,218・・・・・・・235
10(8)・・ばんそうこう(韓国) ・・・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・・・・・・・・・・16,333 ・・・・・・・・2,469,065 ・・・・・・・17,864・・・・・・・・97
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は2・3・4位のアメリカ映画3作品です。
 2位「アウトロー」はイギリスの作家リー・チャイルドのハードボイルド「ワン・ショット」が原作。トム・クルーズが主役を演じるアクションで、日本では2月1日公開。すでに映画関係サイトで情報がいろいろ出ていて、公式サイト(→コチラ)も当然できているので説明は略します。
 3位「モンスター・ホテル」は上述の通り日本では2012年9月に公開されました。韓国題は原題「Jack Reacher」そのままで「잭 리처」。主人公の名前ですが、韓国式発音だと「ジェク・リチョ」です。
 4位「インポッシブル」は今年のアカデミー賞ノミネート作品。2004年のスマトラ島沖地震による大津波から奇跡の生還を果たした家族の実話なのだそうです。すでに観た人たちの感想を読むと、あの3.11を直接的に思い起こさせる映像なので、日本での公開はむずかしいだろうと書いていますが、今年の公開が決まったようで公式サイトは扉だけできています。たしかに、トレーラー(→コチラ)を見ると共通する場面がいろいろあります。TOHOシネマは、だからむしろ共感をよぶと見込んだのでしょう。主演はユアン・マクレガーとナオミ・ワッツです。韓国題は「더 임파서블(ド・インパソブル)」。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・愛、アムール・・・・・・・・・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・・・・・・・・3,728 ・・・・・・・・・・・・・・51,373 ・・・・・・・・393・・・・・・・・・・23
2(23)・・ロボットとフランク・・・・・・・・・・・・・・1/17 ・・・・・・・・・・・・・・1,892 ・・・・・・・・・・・・・・・9,032・・・・・・・・・・60・・・・・・・・・・38
3(2)・・ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮・・12/27・・・・・・・・・・・1,450 ・・・・・・・・・・・・・・17,104 ・・・・・・・・134・・・・・・・・・・14
4(新)・・善き人のためのソナタ ・・・・・・・・・1/17 ・・・・・・・・・・・・・・・・598 ・・・・・・・・・・・・・・46,129 ・・・・・・・・306・・・・・・・・・・・4
5(20)・・偽りなき者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/24 ・・・・・・・・・・・・・・・・445 ・・・・・・・・・・・・・・・1,177・・・・・・・・・・・9・・・・・・・・・・・2

 4位と5位が初登場です。
 4位「善き人のためのソナタ」は前述の通り日本では公開済みです。
 5位「偽りなき者」は昨年の第65回カンヌ国際映画祭で上映されたデンマーク映画。クリスマスを迎えるデンマークの小村が舞台です。離婚と失業の試練を味わった中年男が、親友の娘の作り話が元で性的虐待の変質者の烙印を押されてしまいます。彼は身の潔白を訴えますが、町の人々は耳を貸そうとせず、徹底的に排斥されます。彼の孤独な戦いの結末は・・・。日本では3月にBunkamuraル・シネマ等で公開とか。公式twitterは→コチラ。これは期待できそうだぞ。
 2位「ロボットとフランク」は2週前のこのランキングで紹介しました。