だいずせんせいの持続性学入門

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原発震災(14)福島第一原発に応援メッセージを送ろう

2011-03-29 23:35:27 | Weblog

 東京電力が発表する内容が支離滅裂になってきた。圧力容器に水を注入しても水位が上がらず、高濃度の放射性物質を含んだ水が排出されているので、圧力容器が損傷しているようだと言いつつ、圧力容器の「健全性は保たれている」とのことである。まったく意味がわからない。

 3号機のタービン建屋でたまり水につかって作業していた作業員がきわめて高い線量の被曝をした時には、作業員は放射線量計のアラームが鳴ってもそれを「故障だと思って」作業を続けていたという。そういう状況で故障だと思う人間がいるだろうか。真実は「アラームが鳴ったが、作業がはかどらないので、無視して作業を続けた」のではないだろうか。もしそうなら、そのように発表するべきではないのか。被曝をした作業員が不注意だったというような言い方は私には納得できない。

 2から6シーベルトというむちゃくちゃな線量を足に被曝した二人の作業員が専門病院で診察を受けて退院した。「通常のやけど程度の治療で済む可能性がある」との報道であるが、これは考えられる最もよい経過の場合である。考えられる最も悪い経過の場合についても報道するべきと思うが。それは、足の皮膚の細胞をつくる幹細胞の遺伝子が強い損傷を受けてもう新しい細胞をつくることができないという状況である。新陳代謝によってはがれた皮膚を補うことができなくなると、どうなるのか。最悪の場合は足を切断することもありうるのではないか。

 この期におよんで東電も政府も何かを守ろうとしているように見える。守るべき何があるのか。原発は何が起こっても絶対安全と言い切っていた電力会社と政府にとって、現在の事態は「負け戦」なのである。

 実際、福島第一原発の現場は、たいへん、たいへん残念ながら、本当の戦争になぞらえた状況を考えなくてはならない。100ミリシーベルトを超える被曝をする作業員が続出している。今日いっしょに作業した同僚の何人かは、10年後にはガンで亡くなっているかもしれないのである。(何度も引用するが、浜岡原発で働いていた嶋橋伸之さんは8年あまりの従事期間中に50ミリシーベルトの被曝をして、白血病で亡くなられ、労災認定された。)最前線の戦地に出発する部隊が、基地に戻ってくるときにはこのうちの何人かは戻ってこれないことを知りながら出発するのと同様である。
 それなのに報道される現場の状況は過酷なものである。トイレは流れない、食事はカロリーメイトだけ、風呂はなし、家族と連絡もとれない・・・。いたたまれない気持ちになる。

 私が東京電力の社長だったら、福島第二原発に前線基地を置く。暖かくおいしい食事がゆったりととれるようにし、狭くても個室でゆっくり休める寝室、家族とスカイプで話せる個室のブース、お風呂はいつでも入れる、という設備を1週間くらいで作る。作業員は移動途中の被曝を避けるために、ヘリコプターを使って第一原発まで送り迎えをする。あらかじめ決められた担当の期間が終われば「英雄」として元の職場に帰還する。びっくりするくらい高額の特別手当を支給する。
 私が社長だったら、前線基地に移動して司令部を構える。司馬遼太郎の『坂の上の雲』に描かれている日露戦争における陸軍総司令官の大山巌は、戦況が有利な間は、司令部の部屋にこもって新聞を読んで犬と遊んでいるだけだった。作戦はすべて参謀たちにまかせていた。戦況が不利になり、いよいよ負け戦となれば、自分が出て行くと心得ていた。いまや福島第一の現場は、何をやるにも高い線量の被曝が避けられない。そこで撤退できないとすれば、「負け戦」を戦わなくてはならないのである。社長が後方の東京にいる場合ではないと私は思う。

 100ミリシーベルトというような被曝をした現場の皆さんがガンにならないようにするとすれば、それは被曝以外のガンになる要因をすべて取り除くよう努力する他はない。つまり肉体的なものはもちろん精神的なストレスから解放されるということである。生活環境の整備はその最低限のものである。
 さらに私は、みんなで福島第一原発で作業にあたっている皆さんに応援メッセージを送ることを提案したい。私たちは皆さんをけっして見捨てない、その献身的で勇気ある行動に本当に感謝している、という気持ちを届けたい。それが固唾をのんで見守るしかない私たちが貢献できるほとんど唯一のことのように思われる。

東京電力エコーボックス
https://www4.tepco.co.jp/info/custom/service/echob_s-j.html
ファックス0120-12-8589

 

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9 コメント

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早速、東京電力にメッセージを送りました (モッチー)
2011-03-30 06:01:02
地震があってから、いつも先生のブログを拝見しております。心配せず安心せず…の言葉に励まされました。しかし今では祈るしかない状況なんですね。5歳と2歳の子供もいますので、心配しだすと止まりません。
私も以前から福島第一原発の作業員さんの働く環境が悪すぎると思っておりました。微力ではありますが、早速意見を送りました。
賛同します! (丹羽ヤスコ)
2011-03-30 07:04:54
遠くでも、読んでいます。
九州では、やはり離れている分
心配していない自分に気づきます。

でも、心のどこかで、
どうなるのかずっと気になっていて
ダイズ先生の記事が、とても参考になります。

もっと、祈ります。
放射線にも、愛をこめて。
食事はカロリーメイトだけ (盗人・メドベージェフ)
2011-03-30 15:47:14
「食事はカロリーメイトだけ」とのこと。しかし、総合栄養食品だから、パンや乾パンやカップヌードル類などよりはるかに良いはず。
私もメッセージ送りました (ミノリ・アン母)
2011-03-30 22:45:16
仕事柄、食についての情報が入ります。
それで、とくに放射性物質対策の食事内容について触れてみました。


でも、メールは拒否され(電話番号が間違っているとか、どうも東京03のみの受付のようです)・・・FAXも話中でなかなか流れません。
賛成です (eisan )
2011-03-30 23:35:59
高野 雅夫様

読ませていただいてます。
原発やめましょう。
これがなくても生きていけます。
殺人発電所ですね。

東電現場への応援メッセージ送りましょう。

祈りましょう
初めてメッセージ送りました (3児の母)
2011-03-31 03:44:22
高野先生
地震以降、ずーっとブログ読ませていただいています
フランス在住中のため情報が限られ、離れているために、余計に不安感が増すなかで
先生のブログで、いろいろ情報をもらい、考えることができ、励まされてます
私も、コメントを送りました
今、少しでも早く、状況改善の方に進むこと、毎日毎日祈ってます
最悪を想定しない「原発安全カルト」 (檜原転石)
2011-03-31 09:30:06
> 2から6シーベルトというむちゃくちゃな線量を足に被曝した二人の作業員・・・

その後、被曝線量を2~3シーベルトに訂正していますが、ちなみにがん細胞だけを狙い撃つ放射線治療1回が2~3シーベルトだそうです。もし全身に3シーベルトも浴びれば、重体ですが・・・。そういうわけで、やはり皮膚幹細胞が損傷を受けた可能性が高く、さらに発がんリスクも高率であり――甘いと言われている国際放射線防護委員会(ICRP)のリスク推定( 1ミリシーベルトの被ばくで 10000人中1人ががんになり、そのがんの半分が致死的)の2000倍から3000倍――さらに内部被曝を考慮すれば、となるのですが・・・。
テレビなどはチェルノブイリについてさえ大嘘を広めていますから、その実態を把握しておくことは重要です。

▼被ばく作業員、局所線量は2~3シーベルト
2011.3.28 21:10
http://www.sanspo.com/shakai/news/110328/sha1103282111021-n1.htm

・・・
放医研は同日午後、中山文明緊急被ばく医療センター主任研究員らが記者会見。足のくるぶしから下の皮膚に局所被ばくした2人について、25日の搬送時に2~6シーベルトとの見方を示した線量が、2~3シーベルトだったと明らかにした。


▼チェルノブイリ 「百万人の犠牲者」
http://www.universalsubtitles.org/en/videos/zzyKyq4iiV3r/ja/


★チェルノブイリ原発事故・終わりなき人体汚染

1. http://www.youtube.com/watch?v=rCX1A3yJLqI

2. http://www.youtube.com/watch?v=gFOxGGdzfn8

3. http://www.youtube.com/watch?v=oHg23DkfZDA

4. http://www.youtube.com/watch?v=tsE0CqvuifE

日本国民全員の責任で、全員の問題 (加藤)
2011-03-31 19:12:45
eisanさんの『殺人発電所ですね』って言葉はかなり引っ掛かるというか、違和感を感じます。

原発が殺人発電所なら、それを長年許してきて、その電力を使い続けてきた僕達国民も殺人犯です。
原発だけを悪にし、それを批判している自分を善にして、自分が善人である事に酔いしれているだけに思えます。
都合の悪い事には目を閉じて、綺麗な事だけを言ってるのは何か違うような気がします。

今回の事故が人災ならば、まず僕達自身が深く反省をし、その上で今後の事を考える心構えが必要なのではないでしょうか。

国民が洗脳状態にあると考えます (Frisky Tom)
2011-04-03 15:02:44
原発や放射能がどれほど危険なものであるのか、多くの国民は正しく認識できていなかったのではないでしょうか。
いわば、国民全体が電力会社、マスコミ、政治による洗脳状態にあると思われるのです。大変危険な状態です。マスメディアのほとどんは、株主に電力会社を抱えており、国民の意見を反映することはできず、マスコミはもうマスコミの役目を果たすことはでません。
エジプトのように、市民レベルで行動を起こし、世論に訴える以外にないように思います。
多くの国民はその準備ができているのではないでしょうか。

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