小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

救急医療のたらい回し

2013-03-31 01:45:27 | 医学・病気
救急医療のたらい回しで、結局、受け入れてくれる病院がなくて死んでしまった患者のニュースをやっていた。今は、二年の研修が必修になっていて、その中には、当然、救急医療と、内科がある。なので、今は、救急が出来る医者が多いのではないか、と思っていた。しかし、どうもそうではないらしい。断った病院は当直の医者が専門外だと言っていた。では、多分、医者というか医学生は、やはりジェネラルドクターより、専門医の方を選びたがっているのだろう。そっちの方が楽である。ならば、きっと、救急の研修は、しんどいし、イヤイヤやっている可能性がある。のではなかろうか。それと訴訟である。今は、95%以上、つまり、ほとんど医者の全員が、医者を守る保険に入っている。5万円くらいの、一年間の掛け捨て保険である。ほとんどの医者は、患者に訴えられることを恐れているのである。それは、昔と違って、今は、患者が医者を訴えるケースが増えてきているからである。患者が訴える、というより、医療訴訟に詳しい弁護士が、患者の家族に訴えるよう、そそのかしているのではないだろうか。弁護士は、依頼者がなければ、収入が入らない。そのため、医者はどうしても委縮医療になる。医療は、「思いやりが凶器になって帰ってくる」世界なのである。
医学生は、たとえ、(整形外科とか耳鼻科とか)何かの専門医になろうと思っても、全くかまわないと思うが、研修での救急は、絶対、イヤイヤではなく、気を入れてやっておいた方がいいと思う。というのは、寝当直のバイトの当直料は安いが、救急受け入れ病院の当直のバイト料は、非常にいいのである。また医者のアルバイトの斡旋業社では、救急患者を一人受け入れたら、プラスいくら支払う、という条件までつけている。研修医の間では、救急のことを奴隷科とか、言ってる人もいるけれど、私の感覚は全く違う。医学は嫌いとか言っている私だが。(それは、医学以外に、やりたい事、それは小説創作である。があるからであるが)私は、これは本心なのだが、この世の全ての学問に興味がある。私の時は、研修は必修ではなかったが、研修で、外科系とかをやらなかったことを、私は、つくづく後悔している。しかし、それは楽をするためではない。私は関西の医学部に入ったので、どうしても研修は関東にUターンしたかったからである。出身母校いがいの大学の医局には、私の内向的な性格では入りにくかった。(出身母校は気兼ねを使う必要が全くない自分の家みたいなものである。が、出身母校いがいの医局は、他人の家みたいなもので非常に気を使う)それに、国家試験が終わった後は、過敏性腸症候群の自律神経症状がひどくて、とても外科系の研修は出来る体調ではなかった。当然、真面目な私であるから、研修の時の、静脈注射は熱心にやった。あと、精神科では、患者が、立ちくらみを起こして、倒れて額を切ることがあるのだが、その縫合も医者の仕事であり、今でも、縫合は出来る。手というか、体で覚えたものは、スポーツと同じであり、頭で覚えた知識と違って、時間が経っても忘れないのである。なので、研修での救急とか内科とか外科とかは、しっかりやっておいた方がいい。

もう一つ。ベッドが満床です、といって断る病院も、やはり、おかしいと思う。病状が安定していて、ただ寝ているだけの患者も病院には多い。そういう患者にベッドをあけてもらって、別の所で休んでもらえる場所は、病院の中には、いくらでもある。一つのベッドで二人の患者に寝てもらう、ということだって出来る。同性なら問題はない。さすがに、男の患者と女の患者を、一つのベッドに寝かせてはまずいと思うが。でも、ばあさん、なら、いいのではなかろうか。人が生きるか死ぬかに比べたら、そんな事、どうでもいいことである。

緊急の時には、インフォームド・コンセントで、病院の方から、当直医は、専門外ですが、診断、治療が的確でなくても、訴えないでくれますか、と患者や患者の家族の了解を得るようにしたら、いいのではないだろうか。
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