小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

東大理科Ⅲ類

2010-10-21 04:26:34 | 医学・病気
東大理科Ⅲ類。日本で一番、偏差値の高い大学は、言うまでもなく、東大理科Ⅲ類(医学部)である。文科系と理科系では、難易度が比較できにくいが。それでも、東大理科Ⅲ類は、はっきりと東大文科Ⅰ類より、遥かに難易度が高い。東大理科Ⅲ類は、いわば理系人間で日本でトップの、頭のいい人間の100人目までが行く所である。
だから東大理科Ⅲ類に入れる学力のある人は、医者になりたいと思ってなくても入らなければ、もったいないと思う。入らないのは、宝石をゴミ箱に捨てるようなものだと思う。オレは日本一、頭がいい。オレ様は、世の勝者であり、世間の脚光を浴びる資格のある人間だと思う。だから受験する。しかし、医者になって、やっと医者の現実を知り絶望する。なぜといって、医者ほど、世の裏方である仕事はないからである。医者は、患者の奴隷なのである。治して当たり前であり、誤診したり、手術が失敗したら訴えられる。そもそも世に何の功績も業績も名前も残らない。あるのは、ただただ単調な、同じ事の繰り返しの毎日である。しかも過労死するほどの重労働である。壊れた物を直すという点で医者は、自動車修理工と同じである。直して当たり前であり、直せませんでは、すまされないのだ。さらに自動車修理工の方が、はるかにマシである。なぜなら、自動車は直せなくても、訴えられることはない。直せなかった場合は、金を返せばそれですむ。自動車は買い替えることが出来るからだ。しかし、人間の体は、買い換えることが出来ない。人間の体は自動車と違って金では買えない、かけがえのない大切なものだからである。車では、エンジンが壊れていたら、エンジンを取り換えればいい。拒絶反応というものは起こらないのである。しかし。人間の心臓が壊れたら心臓は取り換えることは出来ないのである。他人の臓器を移植すると、拒絶反応というやっかいな事が起こる。何と医学のやっかいなことか。しかし医者は治せなかったでは、すまされないのである。医者の有利な点は何かといえば。大学に入学した直後の最高の快感。世間で、「医者」とか「東大医学部卒」という肩書き。くらいなものである。だから肩書きにしがみつくしか他に満足感を得る方法は無いのである。そして、肩書きにしがみついている人間というのは、例外なくダメになっていくのである。
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