小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

谷崎潤一郎へのインタビュー

2016-02-23 23:39:33 | 考察文
今年は、谷崎潤一郎の死後、50年ということで、色々と、谷崎潤一郎の特集をしている。

You-Tubeにも、谷崎潤一郎の、動画が出てきた。(以前はなかった)

晩年の、谷崎に、編集者が、インタビューしている動画が、あるが。

谷崎潤一郎は、高血圧など、病気になっても、小説を書き続けた。

小説で、自分の病気の体験なども参考にして、書いていた。

それで。

「谷崎潤一郎は、病気を楽しんでいる」、とか、変な噂が流れた。

しかし、谷崎潤一郎は、編集者に、「お元気そうですね」、と言われると、不快だった。

編集者は、この心理が、全くわからなかった。

病気を楽しむ人など、この世にいやしない。

しかし、病気も、経験だから、作家は、体験したことは、病気のことも、書くのである。

およそ、作家は、経験したことは、書く。

転んでも、タダでは、起きない、精神である。

しかし、病気になって不自由なのが、嬉しいはずなどない。

病気で、つらい、と言っても、よほどの、耐えられない痛みでもない限り、他人の見た目には、本人の苦痛は、わからないものである。

だから、編集者に、「お元気そうですね」、と言われると、つらいのは、当然である。

では。どう言ったらいいかと、言えば。

それは、簡単である。

「お体の具合は、いかがですか?」

という、質問の形で、聞けば、いいのである。

そうすれば、谷崎としては、嬉しいのである。

そうすれば、谷崎は、病気で、苦しくても、「まあまあですよ」、とか、「ちょっと、つらいですね」、とか、言って、元気が出るのである。

こういう簡単なことも、世人は、わからないのである。

つまり、客観的には、「事実」、でも、それを他人からは、言われたくない、ということなど、いくらでもある。のである。
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