小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

有島武朗

2010-09-26 22:41:44 | Weblog
有島武朗の「生まれいづる悩み」は、画家を目指す漁師の話である。要するに、画家(芸術家)として認められ、それが職業にまでなるのは大変、困難である、ということを感動的に書いている話である。感動的なラストだが、現実は、かなりズッコケである。画家を目指す漁師は、漁師として働きながら、絵も描きつづけた。彼の絵画もしっかりと残り保存されているが、それは、有島武朗が名作、「生まれいづる悩み」を書いたから、そのモデルに世間が関心を持ったから、という結果である。有島武朗が「生まれいづる悩み」を書かなければ、漁師の絵画は世に知られることなく、なくなっていたかもしれない。有島武朗の「生まれいづる悩み」は、いささか事大主義だ。職業と芸術を両立させることは出来るし、両立させた芸術家は数限りない。それに。本当の芸術家というは、世に認められたい、というのが動機ではない。表現したいという止むにやむをえない思いがあるから創作するのだ。世間に認められたいとか、芸術家になることを職業として食べていきたいなどということは、本当の芸術家にとって二の次のことなのだ。
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