あやし小児科医院 第2ホームページ

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子供に震災の映像を繰り返し見せないで

2011-03-17 20:26:50 | 地震

日経メディカルブログ:吉田穂波の「子育てしながらハーバード留学!」2011. 3. 15
から転載しました。
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子供に震災の映像を繰り返し見せないで(9.11テロの経験から)

まず、今回の大地震で被災されている方々が一刻も早く安全で安心できる生活を手に入れられますよう、また読者の皆さま、関係者の皆さまのご無事を、心よりお祈り申し上げます。

 私たちが住んでいたボストン市内の小学校教諭から、今回の大地震に関してこんなメッセージが届きました。9.11テロ(アメリカ同時多発テロ事件)で、子供の心が災害時にどんな風にダメージを受けやすいかを経験したプロの立場からのアドバイスです。

 お子さんをもつご家族の方にぜひお願いしたいのは、できるだけ子供たちに不安な気持ちを持たせないよう、特に動画を繰り返し見せることは避けていただきたいということです。9.11テロの際、ボストンでは事件から数日後に、学校から「出来るだけ子供たちにテレビを見せないように」というリクエストが出ました。

 非常に深刻な事態ですから、少しでも情報を得ようとテレビやインターネットでニュースに釘づけになる方が多くなるのではないかと思います。実際、ニューヨークで9.11テロが起きたときには、アメリカ中のテレビで同じ映像が何度も流れ、大人たちはずっとテレビをつけっ放しにしていました。その結果、多数の子供たちが、ワールドトレードセンターに飛行機がぶつかり、ビルが倒れていく映像を何度となく見ることになりました。

 映像を見て「なぜ(ぶつかるのを)止められないのか」と思った子供は多いようです。私も3年生ぐらいの子供に聞かれました。子供たちは、何度も繰り返し出てくる映像を見ると、本当に繰り返し起きているかのように思ってしまいがちです。

 純粋な感受性をもつ子供たちにとって、地震が日本の各地を揺さぶっている映像や、大波が民家や飛行場をあっというまに飲み込んでいるような映像はとても衝撃的なものでしょう。ボストンでも、今回の地震発生の翌日に、神経質になっている日本人の子供たちを何人か見かけました。映像への反応には個人差もあると思いますが、子供たちにはできるだけ、いつもと同じような週末を過ごさせてあげられたらと願います。


著者プロフィール
吉田穂波(ハーバード公衆衛生大学院リサーチフェロー)●よしだ ほなみ氏。1998年三重大卒後、聖路加国際病院産婦人科レジデント。01年名古屋大学大学院。ドイツ、英国、日本での医療機関勤務などを経て、08年ハーバード公衆衛生大学院。10年より現職。