DAISPO WORLD BOXING EXPRESS

今年もやってるやってる~

外科医フランキー ランドール

2021年01月11日 05時43分56秒 | ボクシングネタ、その他雑談

1990年代半ばに、世界スーパーライト級王座に3度就いたフランキー ランドール(米)が先月23日に逝去されました(享年59歳)。心よりご冥福をお祈りいたします。

(1990年代中盤を代表する名ボクサー フランキー ランドール)

ランドールと言えば何といっても、あの伝説のフリオ セサール チャベス(メキシコ)に初の黒星を与えると共に、チャベスから初のダウンを奪った選手として知られています。驚きましたよ、ランドールがチャベスを破ったというニュースを聞いた時は。チャベスはランドールに敗れる4ヵ月前に1993年9月、パーネル ウィテカー(米)の持つWBCウェルター級王座に挑戦。チャベスから見てかなり分の悪い引き分けで4階級制覇達成なりませんでした。それはチャベスにとって、88戦目にして初めて白星以外の結果を残すという非常に悔しいものでした。それから僅か4ヵ月、今度は自身初の黒星を喫すると共に、初のダウンまで奪われてしまったのですから。

(伝説のチャベスに打ち勝つランドール)

その当時、世界ボクシングの一番の関心事と言えば、「無敵のメキシカン・チャベスを誰が破るのか?」という事でした。打倒チャベスの筆頭に挙げられていたのは、2階級上のテリー ノリス(米)やウィテカー等、当時の現役最強選手たち。または数年後のスーパースター選手候補だったオスカー デラホーヤ(米)やコンスタンチン チュー(露/豪)等、その後の世界王者たちでした。しかしチャベスを破ったのは、実力はありながらも地味な存在に甘んじていたランドール。その時すでに50戦以上(49勝2敗1引き分け)のキャリアを持ち、チャベスよりも年齢が上の選手でした(一歳だけですが)。

私(Corleone)にとって「チャベス対ランドール」の初戦ほど、衝撃的な試合結果はいまだにありません。それほど当時のチャベスは、生きる神話として無敵を誇っていました。ランドール氏が他界してから久しぶりに、その試合に目を通しました。90戦のキャリアからくる疲れが顕著なチャベス。それに対しランドールは、50戦のキャリアの中でもベストパフォーマンスに近いものを見せました。かつての力強さを失っていたチャベスは、平均的な前に出るファイターにしか映りませんでした。ウィテカー戦での失態を振り払うためでしょうか。このランドールとの一戦が、僅か4ヵ月の間の短い期間での3度目の実戦でした。チャベスの体格を見れば、体に張りがなく、明らかに調整不足が目につきました。

それに対してランドールは、チャベスが打ち合いを望んでくれば、必ず打ち返し試合のペースを渡さず。距離が出来れば外科医(Surgeon)というニックネーム通り、鋭いメス(右ストレート)をヒットしていきます。そして迎えた11回、運命の一撃で、あのタフなチャベスからダウンを奪ってしまいました。

初戦から4ヶ月後に行われた両者の再戦では、チャベスがバッティングのために負傷し、勝負は負傷判定に。「またランドールが勝ったのでは?」という声も聞かれましたが、WBCのベルトはチャベスの元に戻っていきました。

ランドールがチャベスに収めた勝利がフロックでなかったことは、彼のその後の活躍で一目瞭然です。チャベスとの再戦から4ヶ月後、ランドールは標的をWBAに代え、こちらも同時代を代表するファン マルチン コッジ(亜)に挑戦。実力者コッジから3度のダウンを奪ったランドールは、自身2つ目の王座獲得に成功。その年の師走には、メキシコのリングに登場し、念願の初防衛にも成功しています。

ランドールがチャベスを破ったことは衝撃の一言でしたが、それ以外にも1994年はボクシング界に残り大きな出来事がありました。11月にはジョージ フォアマン(米)がマイケル モーラー(米)を破り、実に20年ぶりに世界ヘビー級王座に返り咲き。師走には名古屋で、あの伝説の一戦、薬師寺 保栄(松田)対辰吉 丈一郎(大阪帝拳)が行われました。

メキシコの伝説フリオ セサール チャベスに初黒星を与えると同時に、生涯初のダウンを奪ったランドール。そして世界王座を獲得する事3度。もっともっと高い評価が与えられていいと思うのですが、キャリアの後半に負けが込み過ぎていたのが大きなマイナス点なんでしょうね。1997年1月に3度目の世界タイトルを手放してしまったランドール。その後は、アントニオ マルガリート(メキシコ)を筆頭に、上の階級の、その後の世界王者たちや、世界タイトル挑戦者たちのステッピング・ストーンの役に転じてしまいました。2005年7月の試合を最後に引退をしますが、7連敗、そして5連敗を喫するなど、全盛期の面影は完全に失せてしまいました。引退後はパーキンソン病症候群などとの闘病生活が続いていたそうです。

ランドールのプロでの生涯戦績は58勝(42KO)18敗(12KO負け)1引き分け。アマチュアでも活躍し、263勝23敗という大変素晴らしい戦績を残しています。


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