とんでもないもの

2011年08月15日 21時59分06秒 | 日記
8月も半ばを迎え、世間はお盆です。
つい少し前まで祇園祭をやっていたかと思えば、明日の送り火で京都の夏も終わり。
残暑はまだまだ続きそうですが…。


今日は土曜日に引き続き、下鴨神社の古本市へ二度目の出撃をしてきました。
もう2年半も大学生をしていると、今後の研究に使えそうな本ばかりに目がいってしまいます。それもそのはず、大学の先生方もこの古本市ではぎょうさん買われるのです。
古本市の雑踏の中で黒髪の乙女と運命的な出会いがあったり、たまたま買った古本に書いてあった女性の住所に手紙を送り文通を繰り返すといった森見登美彦的展開には今年も恵まれませんでしたが、以下に昨日・今日の戦利品を紹介します。

・昨日(計3700円)
臼井喜之介『風物詩 京都文学散歩』(展望社、1977年)
寿岳章子『京に暮らすよろこび』(草思社、1992年)
水上勉『京都遍歴』(立風書房、1994年)
安西二郎『京都宗教心理学散歩』(淡交社、1996年)

・今日(計2700円)
日本美術展覧会『日本美術展覧会図録 日本画之部』(1923年)
杉本秀太郎『洛中生息』(みすず書房、1976年)
松本大圓編『いま、古都が問う』(サイマル出版、1990年)

見ての通り、どれも京都に関する本です。
一部の古本屋さんでは本棚を京都関係で固めてあったので探しやすかったのですが、時代ごと、地域ごと、その他ジャンルごと…どれをとってもたくさんあるものですね。自分が興味をもった内容且つ大学の研究室に置いていない本を選んでみました。

いちばんの目玉は、きょう1000円(わぉ!)で手に入れた『日本美術展覧会図録 日本画之部』。
大正12年に開かれた日展の図録です。巻末には「定価九圓」の文字があることから、調べてみたところ、ざっと換算すると13000~18000円ほどの価値があったものと思われます。
紐で綴じられているかなりの年代物で、編纂者(日展)の所在が「京都岡崎公園勧業館内」と書かれているのがまた時代を感じさせます。
しかし虫食い等もあまりなく、堂本印象・竹内栖鳳・土田麦僊といった京都画壇の作品が(白黒ではありますが)載せられていて、実際に当時の日展を訪れた気分にさせてくれます。

古本の山から発掘した戦前の図録。
このブログでも何度かお伝えしてきた通り、京都も3回の空襲や建物疎開を経験してきましたから、歴史が一つ違えば灰燼に帰していたことも否定は出来ません。
66年前に玉音放送が流れた日のきょう、この図録に出会えたことには何か意味があると思うのです。


写真は今日の古本市の様子。
鬱蒼とした糺の森が一つの大きな本屋さんのよう。この雰囲気がたまらないのです。