1年目、私はショートとして45試合に出場しました。そのときのプレーが認められ、2年目からはセカンドにまわることになりました。肩を痛めて休んでいた吉田さんも完治してショートに復帰。それ以後、吉田さんとの二遊間コンビが形成されたのです。二塁にまわった私は、一塁があまりにも近いため自慢の強肩も見せられず、ダッシュ力も動きそのものに何か持て余し気味でした。もっと動きたいのに動く必要がないという感じだ。躍動感を出せないポジションだから地味で目立たなくなっていくのが二塁手だ。
そういえば、過去において、“華麗な”とか“俊敏な”とか“躍動感あふれる”などと形容された二塁手の記憶はない。
1年目、遊撃手として専門家からも評価され、認められたが、2年目から専門ポジションでもあるショートができず、目立ちようのないセカンドというポジションにコンバートされたのも不運だった。それもこれも名手・吉田さんがショートにいる阪神だったからだ。これが中日なら「ショート・鎌田」として躍進し、阪神・吉田、巨人・広岡と並び称されるプレーヤーになっていたことは間違いない。
人生、一流になる人は多少の道順が狂っても自らの力でもぎ取れるものだが、並みの人間では運、不運は大きく左右する。
2年目にベテラン白坂さんが引退し、新たに二塁手候補として3、4人のライバルがいました。足の速いTさん、長打力のあるAさん、Kさんなど入れ替わり立ち替わりでした。ショートの吉田さんはタイプの違った3、4人もの二塁手を相手にしなければならなかったわけで、これは大変だったと思います。
逆に二塁手の人たちも名手・吉田さんに合わせなければならないわけで、これまた大変だったのです。
通常の遊撃手とは違い、一呼吸も二呼吸も速いプレーに合わせなければならないからです。私はそのために一にも二にも守備重点に練習をしました。吉田さんの相手ができるようにです。
二塁をはじめたときには一塁が近いことからショートよりも易しいと思っていましたが、このプレー、あのプレーをこなすうちに色々と難しいプレーに突き当たるのが二塁手です。
端的にいうと、遊撃手は主として左方向への動きなのでリズミカルに動けるのですが、二塁手は走者が一塁、一、二塁、一、三塁、満塁などになると左への動き、右への送球。右への動き、左への送球の両方になるからリズミカルにというわけにはいかない。それはダブルプレーがあるからだ。
ワンプレーの動きに型を作らなければ正確さが出せない。その場限りの動きではミスが出やすい。そのためにこのプレーの練習、あのプレーの練習が必要なのだ。しかも1つ1つのプレーを素早くしないと吉田さんにはついていけない。
二人で特別に“これ”といった練習はしなかったが、二、遊間はダブルプレーをいかに数多くとれるかが最大のテーマ。その観点から一塁に速く投げるためにはどうすればよいか…。自分はどの位置にボールを投げてもらうべきか、お互いチェックし合ったことはあるが、これは特別なことではありません。ただ「ここに投げて下さい」と指摘すると寸分違わずその位置に投げてくるのが吉田さんでした。
このことが代表するようにお互いが個々の技術と1つ1つのプレーをより高いレベルに設定して鍛錬し、相手の能力を熟知し、相手の意図するプレーに合わせられる動きができることが名コンビと成りえる条件でありましょう。
2年目は大変でした。二塁を守るのは初めてだし、ショート吉田さんの速い動きに合わせるのにも苦労しました。
そういえば、過去において、“華麗な”とか“俊敏な”とか“躍動感あふれる”などと形容された二塁手の記憶はない。
1年目、遊撃手として専門家からも評価され、認められたが、2年目から専門ポジションでもあるショートができず、目立ちようのないセカンドというポジションにコンバートされたのも不運だった。それもこれも名手・吉田さんがショートにいる阪神だったからだ。これが中日なら「ショート・鎌田」として躍進し、阪神・吉田、巨人・広岡と並び称されるプレーヤーになっていたことは間違いない。
人生、一流になる人は多少の道順が狂っても自らの力でもぎ取れるものだが、並みの人間では運、不運は大きく左右する。
2年目にベテラン白坂さんが引退し、新たに二塁手候補として3、4人のライバルがいました。足の速いTさん、長打力のあるAさん、Kさんなど入れ替わり立ち替わりでした。ショートの吉田さんはタイプの違った3、4人もの二塁手を相手にしなければならなかったわけで、これは大変だったと思います。
逆に二塁手の人たちも名手・吉田さんに合わせなければならないわけで、これまた大変だったのです。
通常の遊撃手とは違い、一呼吸も二呼吸も速いプレーに合わせなければならないからです。私はそのために一にも二にも守備重点に練習をしました。吉田さんの相手ができるようにです。
二塁をはじめたときには一塁が近いことからショートよりも易しいと思っていましたが、このプレー、あのプレーをこなすうちに色々と難しいプレーに突き当たるのが二塁手です。
端的にいうと、遊撃手は主として左方向への動きなのでリズミカルに動けるのですが、二塁手は走者が一塁、一、二塁、一、三塁、満塁などになると左への動き、右への送球。右への動き、左への送球の両方になるからリズミカルにというわけにはいかない。それはダブルプレーがあるからだ。
ワンプレーの動きに型を作らなければ正確さが出せない。その場限りの動きではミスが出やすい。そのためにこのプレーの練習、あのプレーの練習が必要なのだ。しかも1つ1つのプレーを素早くしないと吉田さんにはついていけない。
二人で特別に“これ”といった練習はしなかったが、二、遊間はダブルプレーをいかに数多くとれるかが最大のテーマ。その観点から一塁に速く投げるためにはどうすればよいか…。自分はどの位置にボールを投げてもらうべきか、お互いチェックし合ったことはあるが、これは特別なことではありません。ただ「ここに投げて下さい」と指摘すると寸分違わずその位置に投げてくるのが吉田さんでした。
このことが代表するようにお互いが個々の技術と1つ1つのプレーをより高いレベルに設定して鍛錬し、相手の能力を熟知し、相手の意図するプレーに合わせられる動きができることが名コンビと成りえる条件でありましょう。
2年目は大変でした。二塁を守るのは初めてだし、ショート吉田さんの速い動きに合わせるのにも苦労しました。