中西正男の「ご笑納ください」

デイリースポーツで13年半、芸能記者として勤務。現在は朝日放送「おはよう朝日です」などに出演させていただいております。

餅は餅屋。

2008-08-03 13:22:18 | Weblog
餅は餅屋とは、よく言ったものですね。

昨日、上方落語の定席『天満天神繁昌亭』の取材に行ってきましたが、それを思い知らされました。

霧状にした水を噴出させ、気化熱で体感温度を3度ほど下げる新設備が繁昌亭入口に設置されることになり、その御披露目イベントに桂三枝さんや月亭八方さんらが参加されていました。

また、この設備が大阪市水道局が推進するものということで、大阪市の平松邦夫市長もお見えになってました。

場所が繁昌亭の前で、加えて落語家さんがたくさんいらっしゃる状況もあってか、落語家以外の方々も「何とか面白く、粋に、うまいこと言わないといけない」みたいな空気に心を支配されてしまったのか、まずは挨拶に立たれた地域の偉いさんが「平松市長がいらっしゃる前で何ですが、前市長さんが開業日に来られた時には『大阪市は繁昌亭に一銭も出してません』と堂々とおっしゃってましたが、それも今日の新しい設備にかけて『水に流したい』と思います」と批判なのか、洒落なのか、ひと刺ししたいのか、笑わせたいのか、何とも判別のつきにくい玉虫色の小粋なミサイルを発射。

笑うに笑えない微妙な空気を受けて、平松市長も「この設備は水ではなく、霧を出すものですので、真実が『霧の中』にならんようにせなアカンなと」と反撃なのか、ジョークなのか、狙ったのか、苦し紛れなのか、見極め辛いカウンターパンチで応酬。

地域の偉いさんは、普段から頻繁にお見受けしておりますが、実直で、聡明で、人格者を絵に描いたような方。平松市長は、言わずもがな、元アナウンサーでおしゃべりのプロ。そういった方々でも、並外れた人間力を持った方々でも、磁場を狂わされ、自らの土俵を出てしまうと、なかなかに綺麗なパンチは打てないのだなと痛感しました。

翻って、自分が土俵の外側に出た時には、どれだけみっともないパンチを打ってることだろうと思い知らされました。

この日の装置は体感温度を3度下げるはずでしたが、お二人の挨拶が終わったとき、お集まりの皆様の額には脂汗がじっとりと滴っていました。もっと霧を出さないといけないかもしれませんね。きりきりまい。蛇足。