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『東日本大震災津波詳細地図』

2012-12-19 | 東北にて
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2012年12月19日(水)23時27分24秒

>筆綾丸さん
『東日本大震災津波詳細地図』上下二巻は大阪市立大学准教授の原口強氏が2011年4月13日から6月13日までの2か月をかけて被災地を実地踏査して纏めたもので、非常に価値のある業績ですが、読み物としての要素は全くないですから、復興関係の実務担当者以外にはあまり知られていないと思います。
値段も各々4500円+消費税とそれなりに高価なので、個人で持っている人は少ないでしょうね。

http://www.kokon.co.jp/h7112.htm

私は最初、昭文社の『復興支援地図』というのを使っていたのですが、こちらは衛星画像から被害状況を想像して地図に落としたもので、浸水した地域が分かるだけでした。
非常に早期に発行され、当初は充分役に立ったのですが、現地を歩いてみると地図の記載と実際の被害の食い違いが目立ちました。
詳細地図の奥付には初版発行日が2011年10月17日となってますが、私は発行直後に購入し、以後はもっぱら詳細地図を使っています。

東北電力のウェブサイトを見ると、女川原子力発電所に関して、

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原子力発電所は、原子炉を設置している原子炉建屋を中心に、タービン建屋、制御建屋等から構成されております。これらの主要建屋は津波対策として海抜約15mの場所(過去に経験した最大級の津波のおおよそ倍の高さ)に設置するとともに、地震対策として建築基準法の3倍の地震力に耐えるように設計されております。
http://www.tohoku-epco.co.jp/electr/genshi/gaiyo/2_c.html

とあるので、いくら平井弥之助に先見の明があったとはいえ、本当に15m近くにまでなるとは予想していなかったでしょうし、まして原子力発電所近辺の浸水高だけが低くなるなどとは思いもよらなかったでしょうね。
もちろん津波浸水高だけで全てが決まる訳ではなく、津波が防波堤を超えた場合についても相当の対策が取られていたようです。
このあたり、福島第一と比較して、きちんと調べてみたいですね。
たまたま読んだグレゴリー・クラーク氏の見解は東京電力=悪玉、東北電力=善玉と過度に構図を単純化しているように思えるので、もう少し慎重に考えて行きたいと思っています。

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