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「『増鏡』を読む会」、今月は4(金)・11(金)・18日(金)・25日(金)に行います。

0240 桃崎説を超えて。(その5)─源義朝は「追討ノ宣旨」がなければ動かない武者

2025-01-08 | 鈴木小太郎 channel 2025
第240回配信です。


一、前回配信の補足

『愚管抄』の平治の乱の記述は問題が多い。
「サテコノ平治元年ヨリ応保二年マデ三四年ガ程ハ、院・内〔うち〕、申シ合〔あはせ〕ツゝ同ジ御心ニテイミジクアリケル程ニ」(『日本古典文学大系86 愚管抄』p238)とあって、後白河院・二条天皇が平治元年(1159)から協調していたとする。
→平治の乱の「真相」(美女にトチ狂った、プライドだけは異常に高い莫迦息子・二条天皇と、政治家として無能で息子にも軽蔑されていた莫迦親父・後白河院の壮大・壮絶な親子喧嘩)を隠そうとする意図が露骨。

保元の乱の場合、例えば藤原頼長が顔面に矢を射られたことに関しては、慈円は、

p222以下
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筑後ノ前司シゲサダト云シ武士ハ、土佐源太シゲザネガ子ナリ。入道シテ八十ニナリシニアイテ侍〔はべり〕シカバ、「我ガ射テ候〔さふらひ〕シ矢ノマサシクアタリ申テ候シ」トテ、カイナヲカキイダシテ、「七星〔ななつぼし〕ノハゝクロノカク候テ、弓矢ノミヤウガ一度モフカク候ハズ」トゾ申シ。
【中略】
コマカニ仲行ガ子ニトイ侍シカバ、「宇治ノ左府ハ【中略】」ト申ケリ。カヤウノ事ハ人ノウチ云ト、マサシクタヅネキクトハカハルコトニ侍リ。カレコレトリ合〔あはせ〕ツゝキクニ一定〔いちじやう〕アリケンヤウハミナシラルゝコトナリ。
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と、複数の情報源に直接当たって「こういうことについては、世間の人が話していることと正しく真相を尋ねて聞くこととは違っている場合が多い。かれこれの伝聞をとり合わせながら考えてみると、たしかにそうであったと思われる事実がすべてわかってくるものである」(大隅和雄『愚管抄 全現代語訳』p243)と、非常に慎重な分析を行っている。
平治の乱に関しては、このような姿勢は伺えない。
信西自殺の場面など相当怪しい。→後述

しかし、保元の乱に際して、

p221
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十一日ノ暁、「サラバ、トクヲイチラシ候ヘ」トイゝイダサレタリケルニ、下野守義朝ハヨロコビテ、日イダシタリケル紅ノ扇ヲハラ/\トツカイテ、「義朝イクサニアフコト何ケ度ニナリ候ヌル。ミナ朝家ヲオソレテ、イカナルトガヲ蒙候〔かうぶりさふら〕ハンズラント、ムネニ先コタヘテヲソレ候キ。ケウ追討ノ宣旨カウブリテ、只今敵ニアイ候ヌル心ノスゞシサコソ候ハネ」トテ、安芸守清盛ト手ヲワカチテ、三条内裏ヨリ中御門ヘヨセ参リケル。コノホカニハ源頼政・重成・光康ナド候ケリ。
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『愚管抄 全現代語訳』p241
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十一日の明け方になって、ようやく法性寺殿が「それでは、すみやかに敵を追い散らすように」といわれた。それを聞くや、下野守義朝はよろこんで紅もあざやかな日の丸の扇をはたはたと使いながら、「この義朝、戦いにあうこと何度にもなりますが、いつも朝廷の御威をおそれ、いかなる罪科に処せられるかということがまず胸にわだかまり心の重荷となっておりました。ところが今日は追討の宣旨をいただいて今敵に向かおうとしております。この晴れやかな心はたとえようもありません」といい、安芸守(平)清盛と二手に分かれて三条内裏(高松殿の誤り)から中御門へと攻め寄せていったのであった。そのほかには、源頼政・(源)重成・(源)光康(光保・光安)なども加わっていた。
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としていることは、平治の乱においても、義朝は二条天皇の「追討ノ宣旨」を得たので三条殿襲撃に向かったこと、即ち慈円が平治の乱の第一段階は二条天皇が主導したことを知っていたことを示唆しているのではないか。
慈円は平治の乱の「真相」を直接に述べはしないけれども、保元の乱に際しての義朝の態度を詳しく語ることによって、読者に「まあ、平治の乱の場合も察して下さいよ」と言っているのではないか。


二、『愚管抄』と『平治物語』古態本との比較

資料:佐々木紀一氏「永暦の変と後白河院の動機」(その1)(その2)〔2025-01-04〕
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/9536ca0e7723c38a9a93940aba306f7c
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/91e996dc06a8ab5940397d322dfc4e18
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