思考ダダ漏れ

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短文感想『幻とのつきあい方』

2018-09-09 03:14:16 | 短文感想
幻とのつきあい方


ふと思い出した曲。一時期は小説の題名にしようかと思っていたが、作品があまりうまくいかなかったので結局作られなかった。それにしても、改めて歌詞を考えると、これは以前紹介した『美しい』と近い作風のようだ。

自分の姿が自分で見えない。
自分の心が自分でも分からない。
他人の姿が他人に見えない。
他人の心が他人とは思えない。
幻を扱う仕事には気をつけよう。
時に幻は姿を見せる。
夢や幻と向き合う時は覚悟を決めなよ。
時に幻は君を飲み込む。

これはそのまま受け止めると、幻覚を見ている精神異常者の歌ではないか、なんて思うかもしれないがそんなことはない。幻や夢を虚構に置き換えれば合点がいくだろう。自分の姿(この姿は肉体的なものではないだろう)が見えない時や、心が分からない時、他人の姿や心が他人とは思えなくなる、これは虚構を受け止める側の視点と言えるだろう。幻を扱う仕事とは、小説、音楽、あらゆる創造・創作物が対象となる。「君を飲み込む」というのは、受け止める側の自我が弱い時、その自我が虚構の何かにすがりつこうとするために、真似事をしている状態ではないかと思う。好きなものの真似事をするような状態だろう。
  あくまでも虚構は虚構でしかないがために、作者と受ける側が交わり合うことはないが、何故か受け止める方々の中には交わった気になるものや、羨むものが出てくる。「覚悟」とは自我が揺れることもあるだろうという意味だろうか。
  そうなると『美しい』にあった創作者側の視点というのは、この作品にも現れていることになる。ただ、『美しい』では創作する自分の視点に向けられていたのに対して、『幻とのつきあい方』ではそれを受け止める側への視点となっている。この問題意識の変化から『スーパーカルト誕生』や『君もロボットになれる』に繋がるのは自然な流れなのだろう。





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