’ちゃんg’ の ’ぶろg’

読書メーターの記事は娘へのメッセージです。将来、同じ本を読んでくれたら嬉しいです。

6月の読書メーター

2019-07-02 | Weblog
読んだ本の数:9
読んだページ数:2897
ナイス数:229

久しぶりに「おおっ!」ってなった(素直な性格なのでw)今回は佐竹シリーズ「罪をまっとうに裁かせる」の真骨頂ですな。被害者の絶望が動機に発展するまでの過程では感情移入しまくりだったし、最後に出てきた「最後の証人」の証言では読んでる方が救われるという極上のミステリーだった。この際、51歳の建設会社社長で県の公安委員長で陶芸教室を主宰をしていて女好き、というミラクルなプロフィールは些末なことだったとしておこう。(誰か編集会議で指摘しなかったのか?)
読了日:06月29日 著者:柚月 裕子

乾いた感じがする。「1967年」春、コロンビア大学生の20歳のアダムはパトロンとの邂逅による思いがけない幸運、そしてある事件に遭遇する。夏、背徳と甘美の34日間。秋、マルゴの影を追い求めてパリへ。ボルンとの再会と青臭い復讐心の発露。物語の終わりにはセシルの日記により70歳を超えたボルンの終末が描写される。最初はスノッブな文章の引用に鼻白んで(10代のころはこれがブンガクだと思っていたフシがある)たが、フィクションとも全て夢の中のできごととも思えそうな独特の世界観に引き込まれていった。翻訳の妙なることよ。
読了日:06月29日 著者:ポール オースター

読み終えて「文豪」という言葉が頭に浮かんだ。三浦しをんというスタイルを確立し、しかもそれが変幻自在。「走れ、便利屋」の緊迫した展開にはゾクゾクした。多田と行天のキャラクターも深い。行天は「暴力天使」でいいかもしれないが、一見常識人で頼りになりそうな多田は、平凡と思われた人格の裏に矮小で脆弱なもう一つの人格が存在する。行天に触発され、もう一人の多田が更生する物語でもある。まるで最初の一行から最後の一行までで一つのメッセージのようだった。ちょっとホメすぎた。それにしても瑛太と松田龍平はベストキャストですよね。
読了日:06月22日 著者:三浦 しをん

バードドッグとは、行方不明者の捜索人のこと。組長の跡目争いに絡んで行方不明となった暴力団幹部の捜索を依頼された八能。容疑者が絞られてくる中、それぞれの思惑が交差し事件は複雑な様相を呈してくる、なんちゃって。良く練られたストーリーで、最後に明かされる犯人の動機にも行方不明となった幹部の選択にも深い共感を覚える。ハードボイルドな展開ながら、合間に挟まれるコミカルな場面や八能の栞ちゃんへのこぼれそうな愛情が暗澹たる気持ちを軽くしてくれる。次回作も楽しみです。
読了日:06月22日 著者:木内 一裕

三島由紀夫は日記に、「尾籠な話で恐縮だが」と書いた・・という書き出しで始まるや否や「好きだー!」とのたまい、BL、オヤジにウン○ネタと腐女子全開であった。嫌いではない。「確たるオチがない。それこそが、やるせなくも愛おしき日常における真実の一面を突いているのであるなと、深く得心したのであった。」いいわー、こんだけ言葉を自由に操れたら楽しいだろうな。羨ましい限りでござるよ。娘にも読ませよう。「こんな夢を見た」はほとんど飛ばし読みだったけど、猫の話はよかったな。
読了日:06月12日 著者:三浦 しをん

一個450円のお弁当を朝9時から10時半まで注文を受け付けて12時までに6万食を5000ヵ所の契約先に届ける、しかも廃棄率は驚異の0.1%、と神業とも思えるビジネスモデルも種明かしをすれば地道な努力の積み重ねでした。三方よし、原価率とお米へのこだわり、人材の登用方法、過去の食中毒事件と、会社の理念と歴史を余すことなく披露しています。ときたま「ん?」と思う数字とか自慢話が顔をのぞかせますが、中小企業の社長さんが板についてて親しみが持てますね。2007年以降、食数の伸びが鈍化しているようなのが気になりました。
読了日:06月09日 著者:菅原 勇一郎

レストランや旅館の格付けを生業として、投資家からの依頼により覆面調査員が食品偽装や企業の内紛を白日の下に晒す。思ってたのとちょっと違った。星をつけるならちゃんと星で評価してほしいし、勧善懲悪ものならちゃんと悪者を懲らしめてほしい。流れ星ってのはなぁ・・・
読了日:06月08日 著者:原 宏一

ノリのいい一人ツッコミは健在でした。だけど、全体的に状況説明が冗長でテンポがいいとは言えなかった。火車先輩とはあのままお別れしておいた方がよかったのではなかろうか?なんてね。今後の展開に期待します。
読了日:06月07日 著者:竹林 七草

東京大学の大学院を舞台とした、愛なき植物の世界を愛しすぎる生物科学専攻の人々の物語。学究の徒が魅せられた学問の世界、実験の醍醐味、発見した時の無常の喜びから地へと堕ちる感覚、、フィクションとは思えないほどの臨場感で科学者の生態を描き出す。DNAを増幅させるPCRと電気泳動の実験は読んでて超楽しかった。これだけ真摯に実験に向き合っている人たちからすると実験ノートが5冊しかなかったSTAP細胞なんかホント腹たつんだろうな。この本を読んで科学を志す人が出てくるといいですね。2019年、日本植物学会賞特別賞受賞。
読了日:06月03日 著者:三浦 しをん

コメント
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