1963

主に昭和の頃の思い出と旅行の備忘録
ときどき愚痴

最近読んだ本〜母親からの小包はなぜこんなにダサいのか〜

2024-09-22 14:53:00 | 読書
三千円の使いかたがヒットした原田ひ香氏の
「母親からの小包は何故こんなにダサいのか」を読んだ

母親から送られてくる荷物をテーマにした6話の短編集
それぞれの話の小包の中身は概ねこんな感じ
米、野菜、缶詰、レトルト食品、乾物や
温かいだけのダサい下着とか地元の銘菓
実家を離れて一人暮らしした人なら思いあたる物ばかりだと思う

緩衝材代わりに農協から貰ったタオルが入っているとかもリアリティがあった

第一話の主人公は小包を素直には喜ばない
地方から東京の大学に進学して自由を得て
親との関わりが面倒なのだ

しかしこの主人公の女子大生は
大学でなかなか友だちが出来ない
中高からのエスカレーター組はすでに仲間がいる
都会育ちのキラキラ女子大生に気後れして
自分と同じ地味な学生に勇気を出して声を掛けるが上手くいかない

ある日実家からの小包に入っていた
地元にしかないお菓子「かーさんケット」を教室で食べていたら
出身地が同じ学生がお菓子を懐かしがって
声を掛けてきた

鬱陶しく思う母からの小包がきっかけで
きっとこれから仲良くなっていくのだろう
希望がある明るい話だった

ちなみにこの「かーさんケット」は本当にあるお菓子らしい

その他、母親がいないOLが同棲相手への見栄のために
母親からと称してネット販売している農家に米や野菜を小包で送ってもらう話や
毎年女性名で父親あてに送られてくる小包の送り主を探す謎解きの話など
どれもサクッと読めた

ただ最終話だけはスッキリしない
ずっと母1人娘1人で暮らしてきたOL
自身が大阪に転勤になったタイミングで母が再婚し千葉に移住するが
再婚相手が気にくわず、母とも疎遠になる

母からの風邪をひいたとのLINEにも返信せず
義理父(母の再婚相手)から何度も着信した電話にやっと出るが
母親の容態が急変しICUにいるとの連絡
慌てて駆けつけるが間に合わず
死に目に会えなかった
悲しみは大いに理解するけど
霊安室やお通夜の席でも何故喪主が義理父なのか
何故向こうの子ども達が葬式を仕切るのか納得できず
ついには母親の葬儀をボイコットしてしまう

温厚な義理父もさすがに義理娘に意見するが彼女は全く反省していない
母を取られた寂しい気持ちがあるにしても
あまりに幼稚(ここまでくると中2病だね)

自宅に帰ると亡くなった母親からの小包が届いていた
入院する直前に送った小包の中身はいつもの食品等のほか
使いかけの風邪薬や熱冷ましのシートなどが入っており
娘はここでやっと母親の気持ちを理解し大泣きする(遅い!)

その後、義理父とも和解し連絡を取り合うようになる(遅い!!)

世の中には親からの虐待やお金の無心等で親と疎遠になったり絶縁する人もいるのだろう
それは仕方のない事だけど
彼女の場合は、お母さんを取られた、、である

疎遠の義理父から電話があった時点で
相当やばい何かだと思うのが普通でしょ

生き死にに関わる事は無視すると後々自分が苦しむ事になる
このお母さん、心残りだっだろうな


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