D.D.のたわごと

現在ツイッターのまとめを上げてます

田宮版『白い巨塔』再放送と唐沢版 (3-完結)

2004-11-13 14:01:43 | テレビ等
月の最終週,カンテーレこと関西テレビで
月曜から日曜までぶっ続けで夕方前の時間帯に放送された
『白い巨塔』田宮二郎版の再放送について,

前回のエントリー
「昭和版(田宮版)『白い巨塔』再放送(1)」
「昭和版(田宮版)『白い巨塔』再放送(2)」
のつづきです。

ここまで,主な出演者陣について新旧比較をしてきましたが,
最後には,主人公・財前五郎とその妻杏子・愛人ケイ子について感想を書いてみたいと思います。

財前五郎
【昭和版】 田宮二郎 
【平成版】 唐沢寿明
  ※昭和42年,原作小説が一審勝訴で完結していた当時,
   初のテレビシリーズが佐藤慶主演,NET(現テレビ朝日)系で放映。
  ※平成2年,村上弘明主演のドラマスペシャル(前後編)がテレビ朝日系で放映。

 原作者・山崎豊子がその生き様をモデルにしたとも言われる田宮二郎,
その存在感はすさまじいものがあり,原作のもつ迫力,人間がもつ物欲・出世欲を
ギラギラと発し,魑魅魍魎の思惑が渦巻く怒濤のストーリー展開を体現するのは
圧倒的にこちらであります。

「医者の話に患者が口を挟むんじゃない!」
コワー! すごいリアル。
しかし,今は当然のことながら,昔でもこんなコワイお医者さん,
いたんだろうか?

というわけで,現実にいそうな医者(大学病院の教授)となると,
ルックスがかっこ良すぎますが,唐沢さん,本当によかった。

田宮版の存在があまりにも大きすぎて,最初に主演のオファーを受けた際に
「まだ若すぎる」と断り,今回の主演実現まで8年を要したという唐沢氏ですが,
当時40,それでもまだ若い感じはしましたかな……が,
現実の大学病院って,結構「30後半くらい?」って感じの腕利きの教授とかいますし,
前のエントリーでさんざん若すぎると悪態をついてきた競演陣に比べれば
もう,この重責を十二分にこなしたと思います。ベストだったと思います。

◆教授選が大詰め,決選投票に持ち込まれ,
対立候補の菊川教授(沢村一樹も若かったなぁ~。知的さは感じましたけど)を
辞退させようとボヤッキーとトンズラーの医局員2人組が
石川大学まで乗り込んだときのこと,
情報をつかんだ東教授が財前助教授を呼びだし,

「私は君のことを信じるけど,人がそれを信じるか…
 君の差し金で動いたと思うだろうね」

とネチネチ。これに対し財前,

「第一外科の助教授を排除して後任教授を外から入れようとすると
 医局員たちが東教授に対して不信感を抱いておりまして,
 いくらそんなことはないと静めようとしましても,
 私の力でおさめられますかどうか…」


と切り返す。

東 「これで君と私の人間関係も終わりだね」

視聴者(もうとっくに終わってるだろ!!)

で,唐沢版だと,財前が東の目の前で教授の椅子に座るんですよね。
(正確には,席を立ち上がった隙に入れ替わりに座り,東が振り向いてギョッ)

あれは原作になかったので,見ててガツンときました。
田宮版ですと,東教授が部屋を出た後,
「行ってしまったということは,この椅子には座っていいということだな」
など,自己言い訳のような独り言をいいながら座るんですね…。

  しかし,なんですな,
  当時のドラマって,心の中のセリフをいちいち音声にしないと
  視聴者にわかってもらえなかったのでしょうか?

  小説なら文字だけですから,すべてが言葉に変換されないといけない
  わけですが,ドラマなら映像がありますからね。

  さっきの「人間関係も終わりだね」のところでも,
  田宮版ですと財前のアップに「そんなものとっくに終わってるよ」
  という心の声が重なるんですよ。
  なくたって,視聴者はみんな心の中でツッコんでますって。


さすがに終盤になって五郎がガンに倒れ,
身内に囲まれながらも周りには病気を隠されて
一人もがきながら死に近づいていく命のドラマモードに入ってくると
田宮版のシリアスさは圧倒的なものがあり,
唐沢版が淡々としたものに感じられてしまうほどの印象があります。

ですが,唐沢財前の,助教授から教授に昇格したときの
鮮やかな雰囲気の変わり方
はほんとうに目が覚めるようなものがありましたし,
教授選のときなど,権力者に取り入ってはい上がろうとする様は,
田宮財前のような押しの強すぎるキャラだと微妙に無理があるかな
(強い者の力にすがるというイメージと合わない)という感じで
唐沢版の方が自然に見ていられました。


財前五郎の二面性…仕事の世界で強い男を見せ,
プライベートで弱い男の面を見せた相手が愛人の花森ケイ子
(クラブ『アラジン』のママ)。

これについては,ネット掲示板などでも賛否が大きく分かれましたね。
母性という点で【田宮版】太地喜和子
かわいらしさという点で【唐沢版】黒木瞳
といったところでしょうか。

私には,当時のメイクとかあの落ち着きぶりが
ちょっとピンとこないので,太地喜和子版ケイ子はちょっと得点対象外です。
男が安息を求めたくなる女性,と言われればそうなのかなという程度です。

黒木瞳のケイ子は,なんか序盤にいきなり話題に(というより好奇の対象)なり,
週刊誌などで,エロいシーンが注目とか(ありましたっけ?),
全然演技がうすっぺらくて軽い女になっているとか,なんか変な見方をしている
情報がやたら飛び交ってました。オジサン対象のメディア特有の現象なのかもしれませんね。

教授選などでも心から応援,なんてことは全くなくて
距離をとって傍観者ぶって「お手並み拝見」って態度をとるのですが,
男としては,こんなふうに半分いびられているような
応援のされかたのほうがある意味はりきれるかもしれません(相手による)。

その教授選,
五郎本人を帰らせて愛人とツーショットになる妻。というシーンがありました。
「大事な教授選が終わるまで夫に会わないでほしい」と言う杏子。
しかも、「教授選が終わったら夫を返す」とまで言ってのける。
これに対してケイ子も「女性問題で教授になれないような人は、しょせんそれまで……」
女がすごく強くなった,これが時代の流れなんでしょうか。

その妻・財前杏子,唐沢版若村麻由美が強烈でしたね~。
JACKSON5!じゃない,釈尊会!(以下自粛)
すごい主張の強いハデ妻でしたね~。
くれない会でもやり手ぶりを発揮して縦横無尽。
五郎はムコ養子なんですから,かみさんが力を握ってるのはある意味当然。

田宮版は,生田悦子
え?欽ちゃんファミリー?!(「よいOL」役で欽ドン出演) 言われてもピンとこないわ。
原作に忠実に,存在感のまるでないよき妻でした。

原作や田宮版になじんでいる人なんかは,
「妻と愛人,キャラ一緒やんか!」
と思わずツッコミたくなる違和感が感じられることでしょう。
僕も,あれなら愛人いらないじゃん(もしくは,
あのキャラじゃまるで妻と愛人があべこべじゃん)と思ったものです。

ですが,
うちのかみさんの話によりますと,
男って,なんでかよくわからないけれど,
妻と同じタイプの女を愛人にするんですって。

京都市のとあるゴルフ練習場のオーナー,
かかあ殿下で有名なのですが,愛人にも人前で罵倒されたりとか
されたい放題なんだとか。
「なんでまた,わざわざ愛人もってまであんな目にあって…」

人間って,不思議ですね。



◆すごく参考になるサイト→僕たちの好きな白い巨塔(講談社・週刊現代)


※このエントリーをお読みいただいて
 面白かったというかた→ここをクリック♪
 (人気ブログランキング)
 ※テレビ・ラジオ部門初登場29位!ありがとうございますm(_ _)m (^o^)ノ


 時間のむだだった→ここをクリック(ーへー) *gooブログトップに行きます
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« プロ野球 話題あれこれ(11/11) | トップ | しょもない日記(11/13)トド... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
4時間の「白い巨塔」 (満月(tukie))
2004-11-14 09:56:20
昭和と平成の間に、4時間の「白い巨塔」があった事を

ご存知なかたいらっしゃいます?



財前役には 村上弘明さん。内科医役は平田満さん、

東教授は二谷英明さん、その娘が紺野美沙子さん。

財前の義父役は 藤岡琢也さん。

大地喜和子さんの役は 池上希実子さん



その他、財前夫人には高橋ひとみさん、藤田敏哉さんとか

豪華キャストでしたが、皆さんの記憶には残っていないのでしょう。



平成の江口さんは、あまりにもいい役になってますね。

原作もそうでしょうが、平成時代にあんな医師がいたらいいなぁとおもいますね。



唐沢さんは熱演でした。内科医役は誰でもできるでしょう。

大地喜和子さんを早くうしなったことは、大きな損害でしたね。
返信する
里見(内科医)役こそ難役中の難役 (るん)
2005-02-23 00:35:26
あんな善人をリアリティをもって演じるのは大変な事じゃないでしょうか。誰でもできるなんてとんでもない。

財前のほうがまだ演じやすい役だと思います。

昭和版の山本學さんは江口さんの里見先生以上に善人の設定で演じられていたのですが、D.D.さんが言われているように圧倒的な存在感と説得力がありました。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

テレビ等」カテゴリの最新記事