Watch paper 2020年

時計知識、技術

『多くの課題task2』

2020-05-08 14:31:13 | コラム 小論文
今日は課題Task2 機械式(自動巻き)腕時計の話である

機械式腕時計〔現在は自動巻である)の分解、洗浄、組立て、注油、調整及び測定を行い、指定された要求精度範囲内におさめる …このシンプル内容を満足させることが試験というわけである。

機械式をするのであれば、時刻に関する基礎知識、歩度測定器等の使い方、年差、月差、日差や姿勢差の調整方法、ねじの種類、特徴及び用途、ねじ用語の意味、ほぞ、軸受、カム、レバー及びばねの種類等が理解できていれば乗りきれる。

てんぷを製作してムーブメントを組み立てる。歩度などの時間精度を調整。てんぷを組み立て、ひげぜんまいの長さ調整(時間合わせ)をする。

様々な勉強方法が与えられている。時間が無いのならノートを読み返す、実際の作業を繰り返す、真似る、聞く。
「情報や知識を知恵に変換する力」を見極め、地道に身につけ、長期的に実力を築き、身につけるのである。

初めての試験であるならば、今ある限られた情報だけで試験の本質や全体像・解決策をイメージし、現時点で最も妥当だと思える作業効率を導き出す。

例えば今あなたの前にcellが存在していると仮定しよう。

「物理的な個体としてのcell」は「概念」として捉え直せば「話す物」となる。更には「cell=話すもの」だけでなく「cell=情報を見るもの」「cell=送受信するもの」「cell=遊ぶもの」など「個体としてのcell」から多様な「概念」を抜き出すことが可能になる。これは、別の言い方をすれば「cell」の可能性を脳内だけで大きく広げたことと同じだ。実際使いこなせているcellなら容易にこのcellは「携帯電話」であると推測する思考になりうる。

方法は1つではない、何らかの形でcellについてネット等で調べる。知りたいからだ。
時計でなく、機械式時計という物の内部を知りたいから勉強するのである。

これは機械式腕時計の課題の話である。

最後まで見ていただき、ありがとうございました!
次回予定『あ行 多くの課題その3(1~4に分けて短く掲載)』
登場語録…時計、部品製作、巻き芯、


『多くの課題 Task1』

2020-05-07 16:29:53 | コラム 小論文
今日は課題その1 クオーツ腕時計編の話である。

上記のような機種が渡される。

シンプルである。

流れは…クォーツ腕時計が新品で目の前に配られる。制限時間内に分解し不具合箇所が無いようにピンセットで組み立てる。

至ってシンプルである。

作動するのに必要なエネルギーは電池から供給されるという基本構造からして電子回路用部品の種類、性質及び用途について概略の知識は必須である。

ピンセットに全てを託すのであるからしっかり練習する。ヤスリの練習も必要である。






電池の種類「SR」、「LR」「S」「L」、「R」の違いが区別できればもう電池交換は安心である。

巻真を測って新しく丈詰、時間精度の測定、電池寿命を算出、カレンダー機能や時刻を合わせ…用紙に記入するのは、単なる計算問題。消費電流値、コイル抵抗値、電池寿命値、消費電流値…このシンプル内容を満足させることが試験というわけである。


日々時計に意識を向けて…時計だけに限らず、自分自身を1年かけて組み立てる思考力は必要である。

9項目だけ挙げておく(これは日常的にも役に立てるように書き変えた)

1.完成図を見て、「時計の展開の順序」を繰り返し作業し次の段階「理解と納得」へ進む思考を作ること。     

2.分解・洗浄・組立て・注油を覚え次の段階「手順を減らし効率をあげる」に進めること
   
3.専門用語が理解できるかを確認して次の段階「位置感覚をつかむ」に進めること

4.機構を理解し次の段階「根拠、前提、主張」に進めること
            
5.実技をもとに、時間配分を理解し次の段階「数字で説明できる定量データで配分を確認」に進めること

6.1年間で修理箇所をつかみ次の段階「故障頻度データ収集」に進めること

7.目的を意識して次の段階「何のための時計修理か」に進めること

8.体系的に部品の役目を理解し次の段階「組み立て漏れを防ぎ、掘り下げて考えること」に進めること

9.検証する場合は、周囲の人の助けを借り「筋道の妥当性」を見極める。



数時間の試験に耐える…。
巻真の丈詰は会場の中でヤスリの音が響く…
交換支給された長めの巻真を丈詰し作成したものを最後に差し込み…完成である。
2級はクォーツのみ、1級はクォーツと機械式をどう時間で提出するのである。


用紙1枚と完成した時計を提出するだけのクオーツ腕時計編の話である。

最後まで見ていただき、ありがとうございました!

次回予定『あ行 多くの課題その2(1~4に分けて短く掲載)』
登場語録…時計、試験される事、機械式


『おしどり』setting lever

2020-05-06 17:43:09 | コラム 小論文
今日は、時計の「おしどり」の話である。



パーツの名称でおしどりの鴛鴦(えんおう)とは関係ないが型は軽く3〜40種類と鳥分類目のようである。


setting leverというだけあって歯車ではなくレバー式据え板で、3時側のリューズを引き出すとスイッチのようにカチカチ動く様子が電池側から見れる。



このおしどり先端が2cmほど中心方向に刺さっている巻き芯を引き出せないように引っ掻けている。

巻き芯とは中心軸は複雑な面取り構成に
『setting lever jumper裏押さえ』
『setting leverオシドリ』『setting wheel小鉄車』はセットで据えられている棒状の部品である。

ある日、数分遅れを合わせよう…
3時側リューズをカチカチ…過剰に引き出すことで急に…
「リューズが棒状と一緒にすっぽり抜けてしまったまま」という現象…
…戻す…戻るわけない
「おしどり」折れたか曲がったという事だ…
…もう簡単には戻らない。
真っ直ぐさせれば良いが斜めに偶然刺さってしまった…
しかも回せてしまう…
ガリガリ…ガリ…あ

自動巻時計の場合に起こりやすい事例である。

頻繁に時刻操作やカレンダー操作を行うので、クォーツ時計と比べると不良を起こす可能性が高いのである。

3時側に出ているリューズの操作も雑にすると、破損などで不良を起こす。

試験でも重要な手順である事で挙げられている。「オシドリを押してリューズごと引き出す」事から分解が開始される。ネジタイプの「おしどり」の場合、ネジを回しながらリューズを抜けるギリギリ位置を見極めドライバーを止めて緩く閉めておく。

基礎知識をつけることで視覚的にも脳が判断できるようになる部品と言える。

これは時計の「おしどり」の話である。

最後まで見ていただき、ありがとうございました!

次回予定『あ行 多くの課題その1(1~4に分けて短く掲載)』
登場語録…時計、国家試験で重要度される作業、クォーツ編


表輪列(おもてりんれつ)

2020-05-05 18:35:24 | コラム 小論文
今日は、時計の表輪列(おもてりんれつ)の話である。

 家庭内では携帯電話が常識となった今日でも、一歩外に出ると意外に時計台は残っている。


コンビニエンスストア、映画館、駅などには大きく置いてあるが、携帯電話と同じ重要度想いで接することができる人は多くないのではないか。

なぜか? 

公衆という広範囲向けであり、表示のわかりやすさが有りながらも常時要らない、時計は時間以外からのメッセージ性が弱い。
時計:「……」(無言)時計台をみる人:「こんな時間か……」

 時計台のメッセージ性はやはり時刻のみであり、鯉のぼりのようなお祝いのメッセージは込められていない。



表輪列…中の地板をはさんで裏蓋側に設けられた香箱車、2番車、3番車、4番車で構成される輪列である。


ゼンマイの動力を増速させて脱進調速機へと伝える働きをする7つに分けられた部品である。
香箱車(1番ぜんまいを納めた丸いケース)・2番車(分)・3番車・4番車・がんぎ車(5番)・アンクル(6番)・てんぷ(7番)と機械式駆動の根幹をなす。

逆回転を組み合わせ交互に右回りをする2番目4番目が時計台の「1~12」を2針が指しているのである。



回る物にはエネルギーが生まれ、月の満ち欠けが1年間に12回、12の干支、12星座、1年は12ヶ月、1日は24時間(=12時間×2)で午前、午後それぞれ12時間、1時間は60分(12×5)、1分は60秒(12×5)といった具合で、12がベースになって定められている。

これを伝える歯車達は、一枚の円盤の外周部に歯形が設けられ、抵抗を減らしたり、歯車の歯面を磨いたり、番車同士の中心感距離の設計値からのズレを少なくなるように、また歯形が設計図通りできるようにズレが極力少なくなるように加工されて、永遠的に12を刻む…

これは表輪列(おもてりんれつ)の話である。

“歴史を調べる“を習慣にしてみてはいかかでしょうか?
最後まで見ていただき、ありがとうございました!

次回予定『あ行 おしどりという部品』
登場語録…時計、おしどり、リューズ、時刻を合わせる、鴛鴦(えんおう)





自動である事が日常

2020-05-04 10:56:05 | コラム 小論文
今日は、オートマチックすなわち自動巻き時計の話である。

手巻き腕時計を動かすぜんまい

自動とは
「自動…車」
「放置しても動く」 そんなイメージである。

手巻きムーブメントの活躍の次に、自動巻きムーブメントの場が増えた。

彫金やエナメル彩を施された外観を楽しむ事が出来るなら、より時間を知る実用的なツールといえる。

現在位置づけはどうか。

寝ている時も腕時計を外さないという人以外は、外している時間も長く、習慣的に同じ場所に置くという方も多い。

時計は文字盤を上にして平らに寝かせて置くのが良い。携帯もそうである。

パソコンからも離して磁気帯しないように休ませておきたい。

こういった長期放置する時計に対応するのに、昔より温度補正は1800年から改良を重ねている。ハリソンのバイメタル金属、水銀補正テンプ、微少補正テンプ、と小さなひげぜんまい部品の金属の歴史があるが、精度以外で機械式の基本駆動機構構成は200年変化していないという。

週間…車に置き換えてみる。、月に1度(特に夏場は)は燃料を継ぎ足して劣化を防燃料価格の変動リスクを考えると、こまめに給油する方が得する(損する確率が低い)ように思えるが、実際にはそんな単純なモノではない。こまめに給油するということは、その分、給油に行くために燃料を消費することにもなる。

この完成された構成を打ち破ったのはスプリングドライブかもしれない。

最大約8日間(約192時間)の連続駆動の耐久性がある。通常は手巻き3日である。

機械式時計、クオーツ式時計の両者の良いところを取り入れたハイブリッド型エンジンを搭載したスプリングドライブは「電池もモーターも使用しないクオーツ式時計」でもあるといえる。


例えば自転車のライトはタイヤを回す力を利用して発光しする。また、タイヤの回転振動で発電する技術も既にある。
振動を利用した摩擦発電機 車のタイヤ

スプリングドライブはぜんまいのほどける力で発電するのである。


これは自動巻き時計の話である。

最後まで見ていただき、ありがとうございました!

次回予定『あ行 表輪列』
登場語録…時計、