Pro house keeper

アメリカのローカルフードを中心に、世界各国の料理レシピを自宅で気軽につくる料理日誌。

ライ麦パン。

2009-08-25 08:30:59 | 料理
久しぶりにパン作り。
というのも身近な人に突然糖尿病発覚。こちらへ伺う時は、これからのおもたせはお菓子は基本的にN.G.と相成りました。

以前から疑いはあったものの医者から宣告されたのは今回が初めて。しかも目の方に症状が出てから強制的に診察となったため、かなり進行している可能性大。
とりあえずお決まりの食事療法からはじめることになり、禁酒はもちろんのこと、甘いものも基本的にご法度となりました。

今まで朝がパン食だったようで、これを継続するためにとりあえず激安食パンをやめて健康志向的ライ麦パンに転向。(ちょうど私が伺ったときに提案)ライ麦パンはGI値が低いため同じ食べるならこちらの方が少しでも血糖値をあげにくいのではないかという判断。健康的意味においても激安の添加物多量の某メーカーの激安パンよりはやめてこれからは少し質を重視した食事に変えていってほしいものです。

ということで、2回目に伺う今回は"ライ麦パン"を作ってみることにしました。
ライ麦パンを作るのは私自身初めてなので、クックパッドなどのレシピを見てみると基本的にはホームベーカリーでつくるレシピが多く、ライ麦が風味付け程度にしか入っていない感じ。食べやすさの面ではいいのかもしれませんが、初めてなのである程度ちゃんとしたライ麦パンを作ってみたくて、今回も御用達書を参考にすることに。

御用達書のパンを作るのは初めて。ライ麦パンの項はウンチクがかなり長い。レシピも長くて、かなり気合の入ったレシピになっていました。

ライ麦パンといえば"ドイツパン"というイメージがあったものの、アメリカの本である御用達書では"ユダヤ系パン"の位置づけで書かれていました。アメリカはユダヤ教徒がたくさんいるので、ユダヤ系の食材、食品など一般スーパーでよく売られていました。日本でもよく食べられているような"ベーグル"もユダヤ系食品の代表的なのもの。ライ麦パンもその一つらしく、ドイツパンとは少し趣きが違うようで日本で売られているライ麦パンとの違いも比較したくて作ってみることに。

御用達書に従って今回は"スポンジ法"で作ってみることにしました。
"スポンジ法"とは日本で言う"元種法"と同じようなもので、事前に水と少量の小麦粉、イーストを混ぜたものを一定時間発酵させてから、小麦粉と水をさらに加えて本番の生地を作る方法。
普通の直接イーストを加える方法でも作れるのですが、御用達書によれば、スポンジ法の方が発酵させる時間が長いために、副生成物ができやすく、これがライ麦パンの特徴でもある酸味と噛み応え、不均一なクラムを作りだすらしい。
焼き上がり後の保湿性もスポンジ法の方が高いようです。

また、直接法で作ると内部が均一なクモの巣状の気泡ができて、詰まったクラムになりやすく"スポンジ法"がご推奨でした。

御用達書の目指すライ麦パンは、日本で好まれるようなふわふわ、ふっくら白いパンではなく、少し酸味があり、噛み応えのあるわずかにしっとりとしたクラムと固くて薄いパリッとしたクラストをライ麦風味の利いたパンにしたいため、日本のパンレシピとは少し逆行したところもあるのが面白いところ。

まあ、ライ麦パンはドイツのものでも重くて酸味があるので、本格的なものは日本では普及しにくく、巷で売られているものはやはりライ麦風食パンといったものが多いですよね。アメリカ式の場合は最後にパストラミビーフをはさんでサンドイッチにするのが定番のようなので、これを作る際にパンがべたついてふにゃふにゃにならないことも重要な要素のようですが。。。

前日の晩、21時に製作開始。ボウルに強力粉、薄力粉、イースト、甜菜糖シロップ、水を加えて混ぜ合わせ、ラップをして室温で寝かせスポンジを製作。スポンジを寝かせている間にこちらも就寝。
御用達書では甘味料は蜂蜜となっていますが、糖尿病には蜂蜜はよくないようなので、甜菜糖に切り替えました。甜菜糖もいいとは言えないでしょうが、人工甘味料で発酵できるかどうかわからないので、とりあえず天然の液状甘味料としてつかってみました。

深夜2時、スポンジ発酵終了。スポンジは表面が泡でいっぱいになっていました。
できるだけ長く一晩寝かせる方が焼いた時に膨らみ、高さ、噛み応えがでるようですが、だんなさんの朝食用にも一部転用したいため5時間ほど寝かせて深夜に仕込みを開始することに。最低2.5時間は必要です。

別ボウルにライ麦粉、強力粉、薄力粉、塩、キャラウェイシードを加え混ぜ合わせておきます。

キャラウェイシードを加えるのがアメリンライ麦パンのポイント。キャラウェイの風味はライ麦の風味の一部と誤解するほど芳香の面で影響が大きいようです。入っていないと風味が物足りないようで、入れすぎると逆にライ麦の風味まで圧倒してしまうほど。

小麦粉は御用達書ではall-puraposeなので、いつものように強力粉と薄力粉をブレンドしていますが、今回はパンなので強力粉の割合を増やしました。小麦粉とライ麦粉の比率は8:7がよいようで、私のオリジナルブレンド的に言えば、強力粉:薄力粉:ライ麦粉=5:3:7程度になると思います。

スタンドミキサーにスポンジを入れ、別ボウルに合わせた粉類と油を加えてこね始めます。
油は少量加えることで生地をしっとりさせる効果があり、少量ですが入れた方がよいとのこと。

生地は固いので手捏ねよりスタンドミキサーの方がベスト。捏ね時間は普通のパンよりも短く5分だけ捏ねます。生地はベタついているもののまとまっていればO.K.です。よく見かけるレシピには捏ね時間を長めにとって、しっかりとこねることが要求されています。ライ麦は小麦粉に比べてグルテンの含有量がかなり低いため、捏ねてグルテンを成長させることが目的のようです。

しかし、御用達書の試作によれば、長時間(20分)捏ねたものより、最低時間の5分しか捏ねないものの方が焼きあがりは大きく膨れ、弾力性のある最もしっとりとした食感になるとのこと。捏ね時間を長くすれば、柔らかくふんわりしたパンになりるとのこと。お好みにもよりますが、アメリカンライ麦パンの食感のためには捏ね時間は掟破りの"5分間"で十分のようです。

べたついた生地ですが、手粉は入れずに手水でO.K.。水で手を濡らして生地を取り出し軽くこねてボール状にまとめて油を塗ったボウルに入れます。

ラップをして一次発酵へ。この日も熱帯夜だったので室温で1時間30分弱寝かせました。
通常だと生地がべたついているため手粉をつかって生地を扱いやすくするのですが、手粉を使うと焼き上がり後のパンがパサついてごわごわしてしまうらしい。餅と同様手水を使うと生地の移動は簡単にできます。さすがにまとめこねるときは少量手粉を使ってもいいかも。

午前4時、1次発酵終了。生地はほぼ二倍に膨らんでいました。
作業台に生地を取り出して軽く捏ね、お好みの大きさに分割し、それぞれをボール状に丸め直しました。

今回はボール状に3個、ローフ状に1個成形。

成形した生地を天板に載せて、その上から油を軽く塗ったラップを被せて二次発酵開始。

1時間ほど室温で発酵させて、一回り膨れればO.K.。
御用達書によれば、1次発酵はメモリの付いた大きな計量コンテナに入れれば2倍に膨れたかどうかがすぐにわかるため発酵状態の目安になるが、二次発酵の場合は成形後になるため、天板上での膨らみの見極めが難しくなるとのこと。型を使わずに作る場合はパン生地が高さだけでなく横方向に膨らみ始めたら二次発酵完了の目安にするらしい。
二次発酵が足りないと仕上がりの膨らみが悪いだけでなく、オーブン内でパン内側の生地が外側のできかけのクラストからあふれ出てきて"パンク"状態になるとのこと。また発酵オーバーでも膨らみは悪くなるので、横方向に生地が広がってきたらすぐにオーブンに入れて焼き始めます。

焼きに入る前にツヤを出すためのグレーズを塗っておきます。グレーズにも種類が色々とあるらしく、一般的には卵黄液を使っていますが、今回は牛乳と卵白を合わせたものになりました。焼き上がり後に塗る水溶きコーンスターチの手法もお勧めらしいのですが、ツヤだしではなく、白い膜のような仕上がりになるため、仕上がりが異なります。見た目のお好みというところですね。市販のもので粉っぽい外観が好きな方は後者にするといいかも。ロールパン風のツヤピカ系がお好みなら前者がお勧めです。

6時。オーブンに入れる前に卵白牛乳液を生地表面に塗って、切り込みを入れて210度に予熱したオーブンで20分ほど焼きました。

今回はプチパンと食パン系の2種類の形にしたので、プチパンは少し早めに焼きあがりました。
焼き上がりの目安はやはり温度計。直接パンに刺して90度になっていればO.K.。
オーブンから出して網の上で荒熱をとって完成。

出来立ては外側がかりっとしてクラムは柔らかく、思ったより酸味も感じず、弾力があってなかなか美味。今まで食べたライ麦パンとはまた違った食感でよくできていると思います。味もキャラウェイシードの香りがほんのりして、本格的パン屋で売られているものに近い味。想像以上にかなり食べやすいパンでした。

冷めてくると酸味が出てきて、クラムがもっちりして、ずっしり感となり食べ応えが出てきます。プチパンの方が外側がちょっとハードになり、柔らかさを求めるなら食パン的に成形して薄くスライスして食べるほうが万人向けですね。
お勧めは焼きたてはプチパン、冷めてからは食パン形といったところでしょうか。

ダンナさんの朝食用にプチパン、手土産用に食パン形としてなんとか間に合いました。
時間はかかるものの、意外に簡単に本格的なライ麦パンが作れたことは画期的。暑い時期にはちょっとモチベーションが必要なパン作りですが、久しぶりに新作のパンを作ってみて楽しかったです。

このライ麦パンを作ってみたい方はこちらを参考にしてください。↓
(注)以下のレシピは今回の試作により食べやすく作りやすいように一部材料や分量を自分なりにアレンジしています。
Cpicon ライ麦パン。 by PCWP



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