
□作品オフィシャルサイト 『しゃべれども しゃべれども』
□監督 平山秀幸
□脚本 奥寺佐渡子
□原作 佐藤多佳子(「しゃべれども しゃべれども」新潮文庫刊)
□キャスト 国分太一、香里奈、森永悠希、八千草薫、伊東四朗、松重 豊
■鑑賞日 5月26日(土)
■劇場 チネチッタ
■cyazの満足度 ★★★★ (5★満点、☆は0.5)
<感想>
この映画を観る前の日に原作を読み終えた。
原作は1997年度“「本の雑誌」ベスト10”の第1位に輝いた佐藤多佳子の長編小説で、映画化されると聞いて読み始めた作品でした。
原作よりも明確に季節感と主人公たちの色合いをより濃く映画は表現されていた。 それはさすがに平山監督だと納得のゆく結果だった。
ここに登場する人物たち。 今昔亭三つ葉(国分太一)、十河五月(香里奈)、村林優(森永悠希)、湯河原太一(松重豊)。 そして三つ葉の師匠今昔亭小三文(伊東四朗)、三つ葉の祖母外山春子(八千草薫)。 それぞれが原作に持っている性格をいい意味でデフォルメされ、より立体的に作られているところは、原作を読んでいない方でもすぐには入れ込めるところだろう。
なによりも驚いたことに、この映画での主役は国分太一でも香里奈でも松重豊でもない。 原作と年も同じ村林優役を演じる森永悠希クンだ 原作の持つ村林優よりもコミカルで、大人びた嫌味もなく、まだまだ子役としてのキャリアは少ないのに、しっかりと的を得た演技をしているのには驚いた。 この年でこういうコミカルな、そして大切な“間”が出せることは、監督をはじめ共演者も驚いたことだろう。 関西弁はややイントネーションがあやしい気もしたのだが(笑)、あとで彼のプロフィールを見てみると、なんと彼は大阪出身(10年のうちどれだけ在阪だったかはわからないが)とのこと。
なかでも凄いのは、友人を集めて発表会をやるシーンで「まんじゅうこわい」を話すくだり。 それも彼は桂枝雀(映画の中でもビデオでも見ておけと三つ葉から言われるカットがあったが)の「まんじゅうこわい」をやってのけるのだ。 これは枝雀の落語を聞いた人しかわからないだろうが、森永悠希クンはまさに子供という幼さを除けば、まさしくそこには桂枝雀の「まんじゅうこわい」があったのだ。 実はこの映画のオーディションで、唯一彼だけが「まんじゅうこわい」を話してみせたそうだ。 平山監督はこの村林優は彼しかいないと言わしめたそうである。 彼の映画の中でのこの「まんじゅうこわい」に本気で笑ってしまった。
三つ葉演じる国分太一の落語もなかなか上手いとあのざこば師匠も言っていたそうな。 原作の三つ葉とは若干イメージは違うものの、そこはジャニーズでもお笑い系、無難にこの役をこなしていたようだ。
十河を演じる香里奈は、今までのイメージを払拭し、どちらかと言えば彼女が一番原作のイメージに近かったの知れない。 笑うと本当に可愛いしキレイなのに、このダークな十河に果敢にチャレンジしたことは、彼女にとっても大きな収穫になるだろう。 ラスト近くの笑顔は本当にキレイだった
湯河原を演じる松重豊も元プロ野球選手としては見てくれが貧相だったが、笑いのツボはしっかり押さえていた。
そしてやはり脇がしっかり締まっていた。 伊東四朗はもともとお笑いだから、この映画には向いていただろう。 落語家なのにどこかで「ニン」って言って欲しかったなぁ(笑) そして思ったよりおかしかったのは随所に三つ葉の所作や言動に茶々を入れる八千草薫だった。 彼女が原作ではそんなに前に出てこない三つ葉の祖母を、映画ではかなりスパイスを効かせて演じている。 それは作ったものでなくナチュラルに備わっているものなのだろうか。
久しぶりにニヤニヤしながら見終えた映画だった。 原作を読んでいなくても、落語に親しんでいなくても、十分楽しめる映画ですのでです
たしか以前も何かの映画でTBして頂いた
ような・・うろ覚えですみません!
自分のブログにも散々書きましたが「粋」な
作品でしたよね~。
村林君は私も素晴らしかったと思います。
上方落語もちょっと聴きたくなりました♪
>自分のブログにも散々書きましたが「粋」な作品でしたよね~。
原作よりも確かに“粋”でしたね^^
>村林君は私も素晴らしかったと思います。上方落語もちょっと聴きたくなりました♪
彼は最近の若手落語家より落語家らしかったですね(笑) 将来が楽しみです^^
超大作でなくても満足できる邦画って観た後のお得感がありますね。
国分君の三つ葉が大好きです。
なんだか見終わった後、元気が出てくる気がします。
制作費を膨大にかけた大作よりも、こういう映画を観たときのほうが、なんか得した気分になりますね。心地いい映画でした。
私も悠希クンが一番印象に残りました。落語も自分のものにしてやってたように思います。見事な俳優さん。
原作は読んでいないので参考になりました。早速読んで見ます!
映画ではなく原作ですが、
こちらからもTBさせていただきました。
私は落語はあまり詳しくないのですが、
枝雀師匠の「まんじゅうこわい」は
それほど他の方と違ってたんですね。
森永くんとやら、すごいなぁ。
映画も観に行けたら行きたいと思ってます^^
舞台挨拶でも大人の世界をわかってました(笑)
キャリアは0に等しいけどこれからが楽しみですね。
香里奈の演技はほとんど見たことないですけど、これはハマり役でしたねぇ。
観てる本数が少ないですけど、個人的には今年No.1です(爆)
>超大作でなくても満足できる邦画って観た後のお得感がありますね。
仰るとおりですね^^
同じ日にパイカリ観ましたが、映画としての面白さはコチラの方が上でした!
>落語のシーンでは、観客と一緒になってスクリーンに向ってくすくす笑ったりなんかして。登場人物すべてが愛おしい、楽しい映画でした。
自然に引き込まれてしまいましたね^^
>国分君の三つ葉が大好きです。なんだか見終わった後、元気が出てくる気がします
そうですね^^
誰しもこの映画の主人公たちのようなところがあるはずです。それを克服したときに新しい何かが見つかることでしょう^^ そこに共感を覚えたのではないでしょうか!