『悪人』
□作品オフィシャルサイト 「悪人」
□監督 李 相日
□脚本 李 相日、吉田修一
□原作 吉田修一
□キャスト 妻夫木 聡、深津絵里、樹木希林、柄本 明、岡田将生、宮崎美子
■鑑賞日 9月12日(日)
■劇場 チネチッタ
■cyazの満足度 ★★★(5★満点、☆は0.5)
<感想>
映画が終わってから、しばらく何も言葉にできなかった・・・。
それは、感動とかではなく、なんかむなしい喪失感が全身を覆ったからだ。
誰が「悪人」って、こんな映画(原作)を作った者が一番の悪人では・・・。
つまり『告白』あたりと比べると、何とも上っ面を舐めただけの作品に、妙な冠と過大評価がくっついてる感じ・・・。
深っちゃんには申し訳ないが、モントリオールで主演女優賞もらっても、この演技では日本人は騙されないなぁ・・・。
監督は感動をくれた『フラガール』の李 相日ですよね・・・。
脚本は原作者・吉田修一自身が参加して、監督との共同脚本ですよねぇ・・・。
原作は読んでいない。
しかし直近に読み終えたかみさん曰く、「人物像があまりにも薄っぺら」だと。
隣りで熱中していたかみさんを見ていたので、おそらくその意見は間違っていないと思う。
未読で、この映画が最初だとしても、犯人やその家族、或いはこの事件に関わる人々の
深層心理は描けていないような気がする。
妻夫木 聡は確かに今までの自らのカラーを消し去って、この清水祐一役に挑んでいることはよくわかったが、
無機質なのか、主人公の性格なのか、その真意が読めなくて入り込めない。
(もちろん、そういう人物像を描いているのだとしたら、それが正解なのかもしれないが。)
光代を演じる深っちゃんにしても、確かに初めて自らの殻を破る“キッカケ”となった恋愛だとはいえ、
その逃避行とその行き着く先がこんな風では何をやいわんやだ。
本質的な部分は置いておくとして、映画として話すことがあるとしたら、
主役の二人よりも脇を支える二人の役者にその凄さを見た気がする。
一人は犯人の祖母・房江役の樹木希林。
母親代わりに彼を育て、爺さんも彼でなければ言うことを聞かない。
それは当人たちからすれば、彼が殺人なんて犯すわけがないと思うところ。
自らも健康品商法に引っ掛かり、また犯人の祖母だと言うだけでマスコミから追っかけられる日々。
とあるバスの運転手(モロ師岡)の言葉が心に残る 「ばあさんが悪いんじゃない」と。
うちに秘めたものを表面では顔色一つ変えないその表情が半端じゃなかった。
そしてもう一人は娘を殺された父親・石橋佳男役の柄本 明。
娘を峠で降ろし、直接手をかけたわけではない増尾(岡田将生)に対しての、
復讐にかける執念と、葛藤する父親の本質的な姿を集約しているだろう短い言葉に託して去る姿はやはりこの人の凄いところ。
二人の演技には鳥肌が立った(決して館内が寒いからではない)。
ただただ、
最後に光代の首を締めた殺そうとした祐一は、「悪人」ではなく彼女に対する「愛情」だと信じたい。
あのままで保護され生き恥をさらすくらいなら、祐一は自らの手で消し去ろうと考えたんだと思いたい。
それが彼女に対する「悪人」を装った彼の彼女に対する目一杯の愛情だと。
もしそうじゃないとしたら、一度は自首しようとした祐一を引き止めた光代が「悪人」になってしまうだろう・・・。
>あのままで保護され生き恥をさらすくらいなら、祐一は自らの手で消し去ろうと考えたんだと
確かに、観ている瞬間は、(そうなのか??)と思いましたが、
あの前後の祐一の表情と「このままではいられない」というセリフから、
光代が被害者になるべく演じた行為に違いないと思っています。
なので、あの光代の最後の一言は報われない。
そういうラストも犯罪は報われないというメッセージだと受け止めました。
ワタシはこれ、「告白」よりは高い位置に来てます。
>>あのままで保護され生き恥をさらすくらいなら、祐一は自らの手で消し去ろうと考えたんだと
>確かに、観ている瞬間は、(そうなのか??)と思いましたが、あの前後の祐一の表情と「このままではいられない」というセリフから、光代が被害者になるべく演じた行為に違いないと思っています。
なるほど、深いですね~
>なので、あの光代の最後の一言は報われない。
確かに。
>そういうラストも犯罪は報われないというメッセージだと受け止めました。ワタシはこれ、「告白」よりは高い位置に来てます。
『告白』もこの映画もどちらかというと、女性目線のような気がします。
仮に僕が祐一の立場なら、やはり自首を辞めた時点から、
最後は“悪人”で終止符を打つべきだと考えると思います。
悪人の感想読ませて頂きました。私は原作から入りましたので、映画はすごく良くできていたと思いました。吉田さんの紡ぎ出す世界をそのまま映像にしているなあと。。
祐一の祖母も被害者の父も存在感あり良かったですね。
灯台での最後のシーン、祐一は大切な人を守ろうとしたに違いありませんね。引き離されていく時、ちゃんと祐一は彼女の手にもう一度触れようとしていました。
実は夫もこの原作を読んでいるのですが、感想を聞いたところ、女性と男性では受ける印象がだいぶ違う作品のような気がしました。吉田さんの書く作品は女性寄りだからかな?
樹木さん、柄本さん、各々、迫力でしたね。
凶器を振り上げた時は、「どないしよ~:焦」と本気でドキドキしました。
おばあちゃんは、お金返してもらえてたらいいなぁ☆と思ったり。。。
原作は、もっと人物像が深いんですね。面白そうなので、これから読んでみます。
qが、世の中で最も許せない事に
「殺人」があるのでとても厳しいかもしれない。実際「被害者」「被害者家族」も周囲にいるし・・・
事件の発端となった犯罪を愛の逃避行
犯罪加害者をちと美化
加害者と共に逃避行する光代に焦点
それも小児的な性愛。
寂しさを互いに埋め合わせる「自己愛」
出会い系で知りあって、あんなんなるか?!?!
というリアルさを描いていない
もっともっと「奥深い」バックボーンを描いて欲しかった
でも。これ出ている役者さん達が皆、素晴しかったよね
柄本明氏 良かった じーんと来た
樹木希林サンも凄い良かったし
こういう「役者魂」の集まっている作品ってパワーあるよね
>私は原作から入りましたので、映画はすごく良くできていたと思いました。吉田さんの紡ぎ出す世界をそのまま映像にしているなあと。。
そうでしたか^^
原作はこれから読むのでもう少し細かい心理描写が楽しめることでしょう!
>祐一の祖母も被害者の父も存在感あり良かったですね。
この二人の存在は大きいですね!
>灯台での最後のシーン、祐一は大切な人を守ろうとしたに違いありませんね。引き離されていく時、ちゃんと祐一は彼女の手にもう一度触れようとしていました。
そう考えると何だか救われる気がしたのも事実です。
>実は夫もこの原作を読んでいるのですが、感想を聞いたところ、女性と男性では受ける印象がだいぶ違う作品のような気がしました。吉田さんの書く作品は女性寄りだからかな?
深っちゃんが賞をもらって、どうしてもそちらを重点に、
みなさんご覧になったことでしょうネ^^
だから男性も女性よりの視点だったかも(笑)
>この映画、なんともいえない感情が、ず~んと心に鎮座しました。
僕も終わってからしばらく話が出来なかったですよ(笑)
>樹木さん、柄本さん、各々、迫力でしたね。
凶器を振り上げた時は、「どないしよ~:焦」と本気でドキドキしました。
そうでしたね^^
父親の心理としては理解できる範疇でした。
>おばあちゃんは、お金返してもらえてたらいいなぁ☆と思ったり。。。
あれも別な悪人に対する抵抗ですよね!
>原作は、もっと人物像が深いんですね。面白そうなので、これから読んでみます。
かみさんが映画を観る前に原作を読んでそう言ってました。
僕もこれから読むのですが(汗)?!
>実際「被害者」「被害者家族」も周囲にいるし・・・
そうなんですね・・・。
>出会い系で知りあって、あんなんなるか?!?!
というリアルさを描いていない もっともっと「奥深い」バックボーンを描いて欲しかった
そこは同感ですね~
すべてが薄かったような気が><
ま、そこはこれから原作を読んで埋めますけどね(笑)
>でも。これ出ている役者さん達が皆、素晴しかったよね
そう、良かったですね!
>柄本明氏 良かった じーんと来た 樹木希林サンも凄い良かったし こういう「役者魂」の集まっている作品ってパワーあるよね
やはり長く役者やっていること、それに二人は笑いのセンスがあるにも関わらずこういう役回りも見事にこなす。
さすがですね!
今の世の中って、個性が尊重される事が多いから、
“普通”の定義がよくわからなくなってきているけど、
この作品も観ているうちに誰が本当の意味での
“悪人”なのかよくわからなくなってくるんですよね・・・。
“善悪”というのは人の考え方や感じ取り方の違いによるものも
影響しているのかもしれないですね。
>“普通”の定義がよくわからなくなってきているけど、この作品も観ているうちに誰が本当の意味での“悪人”なのかよくわからなくなってくるんですよね・・・。
確かにそうですね!
仮に悪さをしている子供を叱ると、昔は感謝されたものが、
今は逆に悪人扱い(笑)
>“善悪”というのは人の考え方や感じ取り方の違いによるものも影響しているのかもしれないですね。
というか、“教育”でしょうかね(笑)