キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

気儘な湘南暮し ー散歩に読書、映画、酒、そして時々釣り-

目には桜庭に鶯肴鯛

2007年03月30日 | Weblog
今朝は湘南方面は雨でした。今は止みましたが昨日の生ぬるい陽気とは打って変わって締まっています。空気が雨で洗われたせいか盛んに啼いている鶯の声がひときわ冴え渡っています。桜で目を鶯で耳を楽しませてくれるこの季節、口を楽しませてくれる第一のものといったら何でしょうか、私にとっては「腐っても鯛」とまで言われるこの魚が旬を迎えた今、無敵の美味さを誇っているように思えます。


集英社文庫で最近に出た本に池内紀さんの「作家の生きかた」というのがあります。その中に吉田健一のことを書いた「飲み助」と題した小文があり、酒飲みでもありワイン業者でもある私としては惹きつけられる題です。引用が多いのですがほんの二三行でも吉田健一の文章と分かるところが吉田節の面目躍如たるところです。孫引きになりますが「教養が大概は文学的な教養を指すとすれば、それは先ず言葉だけで出来ている世界に自由に出入りし、そこに現実以上にはっきりした感覚を働かしている事でなければならない」(「仲間」)「酒を飲むと言っても、酒を飲むだけで酒を飲んだことになる訳ではない」(「飲む話」)こんな事が書かれています。“酔った世界に自由に出入りして、素面の世界に居る時以上にはっきりとした感覚を働かせている事”が酒を飲むということなんですねえ。池内さんの解説では、「この飲み助は類まれな美徳を備えていた。酒と酒の間を満たしていたものが、とびきりいきいきとした知的関心であった」と結んであります。という事は今までの私は酒を飲んだことにはならなくて、今後初めて酒を飲む態度が出来、いよいよ酒飲みになる可能性が出てきたということで、どんな悦楽が待ち受けているのか新しい世界に踏み込む不安と期待感でいっぱいです。まあ冗談ですが。

オールド・パーというスコッチは日本とブラジルだけで飲まれているブランドで、英国本国で発見する事が難しいスコッチといわれております。そのオールドパーが日本で流行った理由は健一の父茂が好んだためだと喧伝されておりますが、親子揃って飲み助だったのでしょうか、一度吉田茂の酒癖についても調べて見たいと思います。女癖のほうは調査済みで、末期の水を大磯の富士の見える部屋で愛人に看取られております。羨ましいですねえ。

私もこれからの余生を健一に習い酒に生きるか、茂に習い女性に生きるかボツボツ決めなければいけない年になってきております。但し後者を選択した場合は相手があることで、結果として孤独な老後を生きることになる危険が高い事を充分覚悟する必要がありそうです。してみると豊かな老後などは夢のまた夢で、少ない選択肢の中からせこい選択しかできないといういたって惨めなことになりそうです。

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