最近、暇さえあればコロリオフのバッハを聴いている。
Evgeni Koroliov、ロシア出身の、一般的には決してメジャーなピアニストとは言えまい。
だが、曲の構成全体に対する見通しの確かさ、紡ぎ出されるピアノの一音一音、高貴なそして失わない透明感、
聴く者をEvgeni Koroliovの世界に見事に誘う。
それは驚く程、ピアノの音がいい「TACET」の録音レベルの高さからくるものも大いに影響があるのだろう。
タチェット「TACET」1989年にドイツのシュトゥットガルトで創設された録音の優秀さで話題を呼んだマイナーレーベル、
録音の優秀性からオーディオ専門店が販売の中心にになり、かえって音楽的水準そのものの高さからファンの目をそらさせてしまい、
日本では1990年代後半にCD小売店向けの供給ルートがなくなるという皮肉な結果を産んでしまった、という。
コロリオフもその影響を受けてメジャーになれなかった、と言えるかもしれない。
フーガの技法を聴いて以来、コロリオフの虜になった私、平均律、ゴールドベルグ、フランス組曲、2020年録音のパルティータまで
マイナーレーベル故、取り寄せに時間がかかったがコロリオフのバッハ全て買ってしまった熱の入れよう。
もっともっと多くの人びとに聴かれ、注目さてていいピアニスト、
バッハの演奏といえば相変わらず第一に挙げられるグレン・グールド、もういい加減に、と思う。
https://www.tacet.de/main/seite1.php?language=en&filename=production.php&bestnr=00930