吃驚したよ。
アマゾンでリンクを貼ろうとしたらユーズドで、5980円
もしかして、貴重品?
私は夢の宝物殿、三島図書館で、借りたけどさ。
初版本だし、状態もすごく良いぞ。
のどから手が出るほど欲しい人もいるんだろうな~。
本書は、梨木香歩「ぐるりのこと」の中で引用されていて、梨木さんが眩暈感を覚えると書いていたので、とても興味がわきました。
眩暈がするというのは、鳥の視点で文章が描かれているからで、自分(人間)とは違う視点から物事が捉えられているからです。
著者略歴を見てみますと北大農学部卒となっています。
北大農学部=動物のお医者さん=動物の専門家という、まったくの先入観ではありますが、鳥類に関して、深い造詣の持ち主なのだと思います。
さて、私といえば、鳥といえば、スズメ、ツバメ、カラス、ハト、カワセミ、ヤマセミ、メジロなど、身近で見たことのあるようなものしかわからないです。
某国営放送で、時々珍しい鳥の生態とか特集しているのを見ると、そのときはホウホウと言いながら興味深く見るんだけど、すぐに忘れてしまう。
だから、本書に出てくる鳥たちの名前はスズメと鶴くらいしか分からなかったけど、名前の分からない鳥たちの生の物語には引き込まれました。
本書は5編の短編から成っています。
「主人公のいない場所」
こちらは、3~4ページくらいのショートショートが畳み掛けるようにして連なって、
ひとつの短編になっています。
もちろん鳥の視点で描かれたものも含まれますが、ほとんどは人間の物語。
突き詰めれば、自然界にある構成物質は、動物も植物も同じものからできているわけですね。
遺伝子の中に、または食物連鎖や、死と再生の間で、動物だった記憶がどこかに隠れているのではないか、そういう物語です。
24編のショーヨショートのなかで、「切り裂きフィッシャー」が一番眩暈感を覚えました。
オックンが遊んだトックンとは誰なのか。
「あぶないところだった」という言葉は、いつの彼が発したものなのか。
ここに気づいたとき、あちらとこちらの境界がぼやけ、どっちつかずな不安定さを感じました。
「渡鶴詩」
これは鶴の視点で書かれた鶴の渡りの物語。
それを見る、南側の兵士と北側の兵士。
彼らをみる鶴。
「雀遺文」
年老いた雀の雌が語る、恋の遍歴。
遺伝子の呼びかけによって、生殖行動をするわけですけど、そこに、恋という感情が入るならば、こんな感じなのかなぁ。
いや、恋という感情は、もしかしたら遺伝子からの呼びかけなのかしら。
人も動物も遺伝子に操られていることに変わりはないんですから。
「アズマヤの情事」
鳥の種類は私には分かりません。
どうやら、ジャングルに生きている、シーズンになると素敵なアズマヤを作って
雌にアピールする種類のようです。
若い雄鳥の気違い陽気のひとシーズンの物語。
雀の物語が雌の物語なら、こちらは雄の物語。
男というのは、やはりこういうものなのか。
「ジーンとともに」
これも鳥の種類分からず。
巻末の作者による補遺から、ニジドリというものではないかと思う。
この鳥が生まれてから死を迎えるまでを克明に生き生きと描いています。
ジーンというのは遺伝子のこと。
少し前だけど「不機嫌なジーン」という月9がありましたね。
なかなか、フェミの持つ問題点などをコミカルに描いた面白いドラマでありました。
それは、いいとして、このジーンと同じです。
ひとりで卵から孵り、ひとりで渡りをする鳥。
だからこそ、ジーンとの距離も近いのでしょう。
興味深いのは、卵を生む場所をきめるところ。
なるほど、このようにしてジーンに新しく書き込まれていくのか、と思いました。
ところで、このニジドリは大変珍しい鳥のようで、人前には姿を現さず、不思議なことに13年周期に一度姿が確認されるらしいです。
次に確認されるのは2008年だそうで、あと3年ですね。
確認されたというニュースを聞きたいものです。
人間も動物も、遺伝子に操られ、またはそこに新たに書き込み、生きているのです。
それは延々と繋がっていく記憶。
スケールの大きさを感じました。
月着陸船にTBさせてもらいました。
ジーンとともに
アマゾンでリンクを貼ろうとしたらユーズドで、5980円
もしかして、貴重品?
私は夢の宝物殿、三島図書館で、借りたけどさ。
初版本だし、状態もすごく良いぞ。
のどから手が出るほど欲しい人もいるんだろうな~。
本書は、梨木香歩「ぐるりのこと」の中で引用されていて、梨木さんが眩暈感を覚えると書いていたので、とても興味がわきました。
眩暈がするというのは、鳥の視点で文章が描かれているからで、自分(人間)とは違う視点から物事が捉えられているからです。
著者略歴を見てみますと北大農学部卒となっています。
北大農学部=動物のお医者さん=動物の専門家という、まったくの先入観ではありますが、鳥類に関して、深い造詣の持ち主なのだと思います。
さて、私といえば、鳥といえば、スズメ、ツバメ、カラス、ハト、カワセミ、ヤマセミ、メジロなど、身近で見たことのあるようなものしかわからないです。
某国営放送で、時々珍しい鳥の生態とか特集しているのを見ると、そのときはホウホウと言いながら興味深く見るんだけど、すぐに忘れてしまう。
だから、本書に出てくる鳥たちの名前はスズメと鶴くらいしか分からなかったけど、名前の分からない鳥たちの生の物語には引き込まれました。
本書は5編の短編から成っています。
「主人公のいない場所」
こちらは、3~4ページくらいのショートショートが畳み掛けるようにして連なって、
ひとつの短編になっています。
もちろん鳥の視点で描かれたものも含まれますが、ほとんどは人間の物語。
突き詰めれば、自然界にある構成物質は、動物も植物も同じものからできているわけですね。
遺伝子の中に、または食物連鎖や、死と再生の間で、動物だった記憶がどこかに隠れているのではないか、そういう物語です。
24編のショーヨショートのなかで、「切り裂きフィッシャー」が一番眩暈感を覚えました。
オックンが遊んだトックンとは誰なのか。
「あぶないところだった」という言葉は、いつの彼が発したものなのか。
ここに気づいたとき、あちらとこちらの境界がぼやけ、どっちつかずな不安定さを感じました。
「渡鶴詩」
これは鶴の視点で書かれた鶴の渡りの物語。
それを見る、南側の兵士と北側の兵士。
彼らをみる鶴。
「雀遺文」
年老いた雀の雌が語る、恋の遍歴。
遺伝子の呼びかけによって、生殖行動をするわけですけど、そこに、恋という感情が入るならば、こんな感じなのかなぁ。
いや、恋という感情は、もしかしたら遺伝子からの呼びかけなのかしら。
人も動物も遺伝子に操られていることに変わりはないんですから。
「アズマヤの情事」
鳥の種類は私には分かりません。
どうやら、ジャングルに生きている、シーズンになると素敵なアズマヤを作って
雌にアピールする種類のようです。
若い雄鳥の気違い陽気のひとシーズンの物語。
雀の物語が雌の物語なら、こちらは雄の物語。
男というのは、やはりこういうものなのか。
「ジーンとともに」
これも鳥の種類分からず。
巻末の作者による補遺から、ニジドリというものではないかと思う。
この鳥が生まれてから死を迎えるまでを克明に生き生きと描いています。
ジーンというのは遺伝子のこと。
少し前だけど「不機嫌なジーン」という月9がありましたね。
なかなか、フェミの持つ問題点などをコミカルに描いた面白いドラマでありました。
それは、いいとして、このジーンと同じです。
ひとりで卵から孵り、ひとりで渡りをする鳥。
だからこそ、ジーンとの距離も近いのでしょう。
興味深いのは、卵を生む場所をきめるところ。
なるほど、このようにしてジーンに新しく書き込まれていくのか、と思いました。
ところで、このニジドリは大変珍しい鳥のようで、人前には姿を現さず、不思議なことに13年周期に一度姿が確認されるらしいです。
次に確認されるのは2008年だそうで、あと3年ですね。
確認されたというニュースを聞きたいものです。
人間も動物も、遺伝子に操られ、またはそこに新たに書き込み、生きているのです。
それは延々と繋がっていく記憶。
スケールの大きさを感じました。
月着陸船にTBさせてもらいました。
ジーンとともに
トラックバックしないといけないみたいだったので、この記事にトラックバックさせていただきました。
無理に答えなくてもいいし、回さなくてもいいみたいです。
よい記事にできれば良いんですが・・・
私もアマゾンのユーズドのお値段に反応してしまいました。
梨木さん現象?それとも関係ないのでしょうか。
>人も動物も遺伝子に操られていることに変わりはないんですから。
そうですね。なにか人間上位に考えてしまいますが、おなじ地上の生物であり、人間も自然の連鎖のなかに組み込まれていることを忘れてはいけない気がします。
ほかの本のユーズドはそれなりの値段でしたよ。
naoさまは『北京海棠の街』を読まれたようですね。
これも『ぐるりのこと』に少し紹介されていましたっけ。
興味はあるんですが、戦争ものは今はちょっと遠慮したい、ということで、『夢の壁』を読んでみたいなぁと思ってます。
加藤さんの小説は、世界が独特で面白いですね。
遺伝子に操られているというのは、ブライアン・サイクス『イヴの七人の子供たち』『アダムの呪い』を読んでみるとその感覚がわかると思います。
こちらは、科学ノンフィクションなんですが、読みやすく面白いですよ。
ノンフィクションカテゴリーに感想が載ってますので、興味がありましたらそちらをご覧になってください。