「三毛猫の遺伝学」を読んだことで、俄然、ネコの毛並みに興味がわいた私。
さっそく関連本を図書館に予約しました。
が、予約した2冊とも貸し出し中でなかなか手元に届きません。
私以外にも、猫の毛並みについて調べている人がいるらしい。
相当なネコ好きだな(自分はどうなんだ)。
今回、図書館から借りたのは「ネコと遺伝学」と「ネコの毛並み」で、「三毛猫の遺伝学」を加えると、「三毛猫の遺伝学」→「ネコと遺伝学」→「ネコの毛並み」の順で難易度が高くなります。
「三毛猫の遺伝学」と「ネコと遺伝学」は、三毛猫の毛色を理解するためのものですが、「ネコと遺伝学」は「三毛猫の遺伝学」よりも詳しく、分子遺伝学ってこういうものなんだなということを垣間見せてくれます。
「ネコの毛並み」は、遺伝子記号について、より実践的に書かれていて、数多くの全国のネコの調査から、遺伝子頻度を割り出し、集団遺伝学へと及んでいきます。
自分の家のネコの毛並みくらいは遺伝子記号で表現したいというのが、私の最大の目的です。
イエネコはヤマネコから家畜化されたものですので、ヤマネコの毛色が基本となります(野生型表現型)。
この毛色はマッカレルタビー(サバトラ)と言われるもので、キジ猫として知られています。
ww o A- B- C- T- ii D- ss L-
はっきりと毛色に関わっているとわかっている遺伝子は9種あり、末尾にあるLは毛の長さをあらわしています。
Lが劣性遺伝子のホモ接合体llになると長毛になります。
ダッシュは、そこに大文字の優性遺伝子か、対立する劣性遺伝子か入りえることを意味しています。
w遺伝子座が優性のWに置き換わると、ほかの座にある表現型を抑えて白一色となります。
毛色を白くする遺伝子は、ほかにもS遺伝子(スポット)がありますが、不完全優性であるので、SSの優性のホモ接合体でも完全なシロネコにはならずに、どこかに柄が残りブチネコになります。
wwの場合にいろいろな毛色があらわれます。
あなたの飼っているネコの抜け毛を確かめてみましょう。
一本の毛が帯状の層に色分けされていませんか?
分かれていたらA遺伝子を持っているアグチパターンです。
aaの場合はノンアグチで、毛の先端からすべて黒一色になります。
Aaの場合は、優性のアグチパターンになります。
B遺伝子は、劣性bbでaaの場合にセピア色のハバナ種になります。
私自身、ハバナ種のネコを見たことが無いので、どんな色なのか良くわからないのですが、普段、道端などで見かけることはなさそうなので、別にいいでしょう。
C遺伝子座はccとなれば、アルビノになりますが、ネコではめったにみられません。
その代わり、チロシナーゼというメラニン合成の最初の反応ををつかさどる酵素が部分的に失われる変異があり、バーミーズのチョコレート色(これも見たことがない。ハバナ種とどう違うのかしら)や、シャムネコのカラーポイントの劣性遺伝子がC遺伝子座に置き換わります。
T遺伝子座は、縞模様を支配していて、3つの対立遺伝子があります。
優性の順にアビシニアン、マッカレルタビー、ブロッチドタビーです。
i遺伝子座が優性のIになると、毛色は銀色になり、シルバーネコになります。
D遺伝子座がddに置き換わると体毛のすべての色素成分が希釈されるので、タビーは灰色に、黒猫はブルーに、茶猫はクリーム色になります。
これらの遺伝子は常染色体上にありますが、o遺伝子はX染色体上にあります。
o遺伝子座がOになると、A遺伝子座を抑えて茶色になります。
毛色が茶色のネコは、オスであればOy、メスであればOOです。
Ooで(もちろんメス)ssなら二毛になり、S-であれば三毛になります。
オスの三毛ネコはいわゆる染色体異常で、非常に珍しいのです。
ひととおり書いてみましたが、もっと詳しく知りたいとおっしゃる方は、ぜひ本をお読みください。
では、我が家の猫たちを遺伝子記号で表してみましょう。
ベランダでセミをゲット
ティーはキジネコですが、胸とおなか、足に白い斑がありますので、基本の野生型のss遺伝子をS-に置き換えます。
ww o A- B- C- T- ii D- S- L-
ココはクロネコなので、ノンアグチ(aa)です。
胸の部分に白い斑があるのでSー、長毛なのでllです。
ww o aa B- C- ・ ・ D- S- ll
(・は、この遺伝子座位が抑えられることを意味します。
普通は表示されません。)
というのは間違いで、白斑遺伝子Sは足に強く現れるそうなのです。
ココのように胸だけに白い模様(ロケットというそうです)がある場合は、S遺伝子以外の白斑遺伝子の影響のようです。
そういうわけですので、修正した遺伝子記号は以下のようになります。
ww o aa B- C- D- ss ll
今年の年賀状です
モナは三毛猫なのでOo、ノンアグチなのでaa、斑ありなのでS-、長毛なのでllです。
タビーはありません。
ww Oo aa B- C- ii D- S- ll
ミカンは、茶ネコでしたのでO、タビーありなのでT-です。
ノンアグチaa遺伝子はユーメラニンにだけ作用します。
毛色を形成するのはメラニンです。
ユーメラニンは黒を基礎とした色素で、フォオメラニンは赤を基礎にした色素、すなわちオレンジです。
アグチ遺伝子はユーメラニンにだけ作用して毛色を単色(黒)にしますが、フォオメラニンには作用しないので、茶色のネコ、三毛猫の茶色の部分にはタビー模様があらわれます。
斑はありません。
ww O C- T- D- ss L-
参考のため、シロネコをあげておきます。
横浜の外人墓地付近のネコです。
PTAの研修旅行の際の写真です。
シロネコは優性Wのために他の遺伝子座の表現型がおさえられています。
W- L-
よく見かけるタイプの遺伝子記号はなんとなくわかるようになりましたが、実際はもっと細かい違いがあるようです。
やはり、回数をこなさないと見極めもできないようなので、精進あるのみです。
我が家のネコたちは、もともと誰かに拾われているノラネコなのですが、長毛ネコ人口(?)が50パーセントと高い割合です。
ネコというのは、飼われているといっても、綱につながれているわけではないので、去勢手術や避妊手術をしない限りは、いろいろな毛並みを実現させるわけです。
一回のお産で複数の雄ネコの子を産めるといことも、ひと役かっているでしょう。
我が家のネコたちもそうですが、家だけで飼う(外に出さない)ことや、手術の徹底が浸透してくると、なかなかネコを街中で観察する機会というのは少なくなってくるのではないかと思います。
まあ、そのほうがネコにとっても人間にとってもいいのかもしれませんが。
ネコと遺伝学 (新コロナシリーズ)
ネコの毛並み
さっそく関連本を図書館に予約しました。
が、予約した2冊とも貸し出し中でなかなか手元に届きません。
私以外にも、猫の毛並みについて調べている人がいるらしい。
相当なネコ好きだな(自分はどうなんだ)。
今回、図書館から借りたのは「ネコと遺伝学」と「ネコの毛並み」で、「三毛猫の遺伝学」を加えると、「三毛猫の遺伝学」→「ネコと遺伝学」→「ネコの毛並み」の順で難易度が高くなります。
「三毛猫の遺伝学」と「ネコと遺伝学」は、三毛猫の毛色を理解するためのものですが、「ネコと遺伝学」は「三毛猫の遺伝学」よりも詳しく、分子遺伝学ってこういうものなんだなということを垣間見せてくれます。
「ネコの毛並み」は、遺伝子記号について、より実践的に書かれていて、数多くの全国のネコの調査から、遺伝子頻度を割り出し、集団遺伝学へと及んでいきます。
自分の家のネコの毛並みくらいは遺伝子記号で表現したいというのが、私の最大の目的です。
イエネコはヤマネコから家畜化されたものですので、ヤマネコの毛色が基本となります(野生型表現型)。
この毛色はマッカレルタビー(サバトラ)と言われるもので、キジ猫として知られています。
ww o A- B- C- T- ii D- ss L-
はっきりと毛色に関わっているとわかっている遺伝子は9種あり、末尾にあるLは毛の長さをあらわしています。
Lが劣性遺伝子のホモ接合体llになると長毛になります。
ダッシュは、そこに大文字の優性遺伝子か、対立する劣性遺伝子か入りえることを意味しています。
w遺伝子座が優性のWに置き換わると、ほかの座にある表現型を抑えて白一色となります。
毛色を白くする遺伝子は、ほかにもS遺伝子(スポット)がありますが、不完全優性であるので、SSの優性のホモ接合体でも完全なシロネコにはならずに、どこかに柄が残りブチネコになります。
wwの場合にいろいろな毛色があらわれます。
あなたの飼っているネコの抜け毛を確かめてみましょう。
一本の毛が帯状の層に色分けされていませんか?
分かれていたらA遺伝子を持っているアグチパターンです。
aaの場合はノンアグチで、毛の先端からすべて黒一色になります。
Aaの場合は、優性のアグチパターンになります。
B遺伝子は、劣性bbでaaの場合にセピア色のハバナ種になります。
私自身、ハバナ種のネコを見たことが無いので、どんな色なのか良くわからないのですが、普段、道端などで見かけることはなさそうなので、別にいいでしょう。
C遺伝子座はccとなれば、アルビノになりますが、ネコではめったにみられません。
その代わり、チロシナーゼというメラニン合成の最初の反応ををつかさどる酵素が部分的に失われる変異があり、バーミーズのチョコレート色(これも見たことがない。ハバナ種とどう違うのかしら)や、シャムネコのカラーポイントの劣性遺伝子がC遺伝子座に置き換わります。
T遺伝子座は、縞模様を支配していて、3つの対立遺伝子があります。
優性の順にアビシニアン、マッカレルタビー、ブロッチドタビーです。
i遺伝子座が優性のIになると、毛色は銀色になり、シルバーネコになります。
D遺伝子座がddに置き換わると体毛のすべての色素成分が希釈されるので、タビーは灰色に、黒猫はブルーに、茶猫はクリーム色になります。
これらの遺伝子は常染色体上にありますが、o遺伝子はX染色体上にあります。
o遺伝子座がOになると、A遺伝子座を抑えて茶色になります。
毛色が茶色のネコは、オスであればOy、メスであればOOです。
Ooで(もちろんメス)ssなら二毛になり、S-であれば三毛になります。
オスの三毛ネコはいわゆる染色体異常で、非常に珍しいのです。
ひととおり書いてみましたが、もっと詳しく知りたいとおっしゃる方は、ぜひ本をお読みください。
では、我が家の猫たちを遺伝子記号で表してみましょう。
ベランダでセミをゲット
ティーはキジネコですが、胸とおなか、足に白い斑がありますので、基本の野生型のss遺伝子をS-に置き換えます。
ww o A- B- C- T- ii D- S- L-
ココはクロネコなので、ノンアグチ(aa)です。
胸の部分に白い斑があるのでSー、長毛なのでllです。
ww o aa B- C- ・ ・ D- S- ll
(・は、この遺伝子座位が抑えられることを意味します。
普通は表示されません。)
というのは間違いで、白斑遺伝子Sは足に強く現れるそうなのです。
ココのように胸だけに白い模様(ロケットというそうです)がある場合は、S遺伝子以外の白斑遺伝子の影響のようです。
そういうわけですので、修正した遺伝子記号は以下のようになります。
ww o aa B- C- D- ss ll
今年の年賀状です
モナは三毛猫なのでOo、ノンアグチなのでaa、斑ありなのでS-、長毛なのでllです。
タビーはありません。
ww Oo aa B- C- ii D- S- ll
ミカンは、茶ネコでしたのでO、タビーありなのでT-です。
ノンアグチaa遺伝子はユーメラニンにだけ作用します。
毛色を形成するのはメラニンです。
ユーメラニンは黒を基礎とした色素で、フォオメラニンは赤を基礎にした色素、すなわちオレンジです。
アグチ遺伝子はユーメラニンにだけ作用して毛色を単色(黒)にしますが、フォオメラニンには作用しないので、茶色のネコ、三毛猫の茶色の部分にはタビー模様があらわれます。
斑はありません。
ww O C- T- D- ss L-
参考のため、シロネコをあげておきます。
横浜の外人墓地付近のネコです。
PTAの研修旅行の際の写真です。
シロネコは優性Wのために他の遺伝子座の表現型がおさえられています。
W- L-
よく見かけるタイプの遺伝子記号はなんとなくわかるようになりましたが、実際はもっと細かい違いがあるようです。
やはり、回数をこなさないと見極めもできないようなので、精進あるのみです。
我が家のネコたちは、もともと誰かに拾われているノラネコなのですが、長毛ネコ人口(?)が50パーセントと高い割合です。
ネコというのは、飼われているといっても、綱につながれているわけではないので、去勢手術や避妊手術をしない限りは、いろいろな毛並みを実現させるわけです。
一回のお産で複数の雄ネコの子を産めるといことも、ひと役かっているでしょう。
我が家のネコたちもそうですが、家だけで飼う(外に出さない)ことや、手術の徹底が浸透してくると、なかなかネコを街中で観察する機会というのは少なくなってくるのではないかと思います。
まあ、そのほうがネコにとっても人間にとってもいいのかもしれませんが。
ネコと遺伝学 (新コロナシリーズ)
ネコの毛並み
いつまでも子猫のイメージでしたが、
自分が年をとると同じように大きく
なっていたんですね。
セミを捕らえて誇らしげな表情に見えます。
うちは残虐ですが、食べてしまうんですよ。
得意げに口にくわえて、ポイッとリビングに転がしてます。
ティーは狩りの名人で、前肢の後ろの筋肉がモリモリしてますが、じつは感じやすいネコでして、ストレスで結石ができちゃったりします。
モナを避妊手術のために病院へ連れて行こうとしたときの心配げなそぶりは痛々しかったです。
ところで、ジョニーさんとこのネコさんたちの毛色の遺伝子記号ですが、チップちゃんは野生型ですね。
ベリーちゃんは三毛猫でタビーあり、短毛なので
ww Oo A- B- C- T- ii D- S- L-
です。
2匹とも私のネコ手帳に記入させていただきます。
私のブログののらねこたちもこうやって分類すると面白そう。
でも何の役にもたたなさそうな気もしますね(笑)
興味のおもむくままにここまで来てしまいましたが、もうちょっと詳しくなりたいと思っています。
エピジェネティックの入門書も読みましたが、これはなかなか手ごわくて、理解できたとはいえません。
毛色の遺伝について冒頭で少し詳しく触れている「世界のネコたち」という写真集を図書館から借りましたが、写真のネコを見ては「かわいい~」と叫んでばかりです。
道は遠いな。
ややこしいけど、少しわかってくると面白いですよ。
1回読んだだけでは遺伝子記号が把握できず
でも、くろにゃんこさんがちゃんとやって
いるのでやらねばと少し悩んでいたのですが
やっていただいて感謝しています。
「ネコの毛並み」には、毛色タイプ別の表が載ってまして、それを見れば一目瞭然です。
また、ネコのカラー写真とともに、遺伝子記号の例が示されていて、自分が間違っていないかも確かめられます。
じつは、「世界のネコたち」を読んでみて、自分の認識が間違っていることに気がつきました。
まだまだわからないことも多いです。
精進、精進。
この感じで犬のがあったら是非読みたい!
検索してみたら、こちらのページが詳しく、分かりやすいようでしたので、参考にしてみてください。
http://www.starfleetdachs.com/html/study/color-1.htm
犬はネコよりもヒトとの歴史が古く、犬種もさまざまで、毛色ひとつとってもさまざまな呼び名があるようで、ネコよりも複雑なのかもしれません。
う~~ん
ダックスはいろんないろがあるんですね・・・こんらん
でボーダーで検索しましたがわかりませんでした
ボーダーは殆どが白黒パンダ色
で他はブルーホワイト、レッドホワイト、トライカラー、ブルーマール、レッドマール。
むぎは一番よくあるブラックホワイトパンダ色です
毛の長さとか毛色で性格が違うとかもあるので
(なんとなくレッドホワイトは気が優しい
短毛のボーダーは激しい・・とか)
やっぱ遺伝子でいろいろあるのでしょうが
あまりボーダーは検討されていないみたい・・・。
どうもありがとうございました
私がボーダーコリーで検索したところによると、このサイトが充実しているようです。
http://bordercollie-mate.com/FBCC/index.html
猫の場合も、猫種によって性格があるようですが、結局は個体差に左右されるようです。
うちの子たちは雑種なので、「世界のネコたち」のそれぞれの猫種の特徴と比べながら、あら、あなたはオリエンタルっぽいわねとか、あなたはメイン・クーンみたいねなどと、勝手に想像して楽しんでいました。