かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

宮崎最大の収穫は、「アルフォンス・ミュシャ」展でした。

2007-11-12 23:01:29 | CG
 無事出張週間を片付け、宮崎から帰還しました。最終日は時間に少し余裕があったので、前々からチェックしていた宮崎県立美術館に寄ってきました。そこで、アルフォンス・ミュシャ展が開催されていたのです。アール・ヌーヴォーの代表的画家として一世を風靡したミュシャは、芸術家というより職業画家、すなわち今で言うイラストレーターとして、後世に多大な影響を及ぼした絵描きさんです。名前を聞いたことがなくても、その絵を見れば、だれしも「ああ、この絵か」とうなずく、そんな感じの人で、私も恥ずかしながら名前はうろ覚えでしかなく、展示会の宣伝の絵を見て、初めて気づいた、と言う次第でした。
 そんな素人愛好家な私でしたが、やはり本物と言うのは人を感動させる何かがあります。実のところ、帰りの乗り物の時間待ちくらいの軽い気持ちで観に行ったのですが、そのまま帰るのが惜しくなるほど、その絵画群には魅了されました。
 ミュシャの絵はパステル調の色彩、それも現代の鮮やかな色合いに慣れた眼にはかなりおとなしめの、くすんだ印象さえ受ける色の具合なのですが、そのような色使いにも関わらず、そこに描かれた人物像(ほとんど全部が女性)が実に生き生きとして、小生意気に、コケティッシュに、魅力的に画面から浮き出ています。素人眼にも理解したのは、人物などの主要構成要素の輪郭の主線が他の線に比べて異様に太く、はっきりしていること。おかげで曖昧模糊としがちなパステル調の色彩が、見事に引き締まってはっきりと見えてきます。この描き方、何かに似ているな、と思っていましたら、そのままアニメ調の絵柄じゃないかと気づきました。そういえばアニメーター谷口守泰氏も「アールヌーボー調」とその画風を評されることがあるやに記憶しておりますが、今のアニメ絵の基本が今からおよそ100年ほど前に出来上がっていたのか、と改めて感動したのでした。
 それと、植物や宝飾品などが実に微細に描き込まれていることを、今回実物を目の前にして確認しました。これは、画集などの縮小されたコピーではなかなか気づかないかもしれません。それに背景の絵。人物の後光のように真円が描かれ、記号や文字が弧に沿うように配置されており、これについてもいろんな解説があるようですが、私には一種の曼荼羅に見えました。曼荼羅と言うと欧州では精神分析学のユングが有名ですが、時代的にはユングの方が少し若いため、ミュシャとなんらかの関係があったとは思えませんが、ミュシャ自身は日本の浮世絵に大きな影響を受けているとのことですので、曼荼羅などもひょっとしたら眼にしていたりするのかもしれません。
 で、結局滅多に買わないのですが、今回の美術展では画集を買って宮崎土産に持ち帰ってきました。これからじっくりこれを眺めて美術展の感動を思い出すとともに、お絵かきの参考にさせてもらおうと密かに考えていたりしております。

コメント (2)
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