発達障がい・こころのやまい

専門外ながら相談を受けることがあり、その際に読んだ本や集めた情報を書き留めました(本棚9)。

摂食障害に対するオランザピン治療の試み

2017-12-10 21:45:58 | 精神科医療
 薬の副作用を逆手にとって作用として使用した例をたまに見かけます。
 バイアグラも元々は副作用ですし、鼻水止め(抗ヒスタミン薬)の副作用としての眠気を逆手にとり睡眠導入薬として販売されているドリエル®もしかり。
 非定型抗精神病薬であるオランザピン(ジプレキサ®)は肥満の副作用で有名ですが、それを逆手にとって摂食障害の治療に応用したという研究報告を紹介します。

■ 摂食障害プログラム、オランザピンの使用は
ケアネット:2017/11/21
 顕著な障害や発育への影響に関連する摂食障害である回避性・制限性食物摂取症(ARFID)に対する薬理学的治療についての情報はほとんどない。米国・サウスカロライナ医科大学のTimothy D. Brewerton氏らは、ARFIDに対する薬物療法に関して臨床報告を行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2017年10月25日号の報告。
 オランザピンの補助的投与と摂食障害(ED)プログラム(在宅、部分的入院、集中外来ケア)で治療されたARFID患者9例について、レトロスペクティブチャートレビューを行った。
 主な結果は以下のとおり。

・オランザピン平均初回投与量は0.9+0.63mg/日、オランザピン平均最終投与量は2.8+1.47mg/日であった。
・オランザピン投与前後の体重増加(3.3±7.3lb対13.1±7.9lb[2.99±6.62lb SI対11.88±7.17lb SI])に、有意な差が認められた(対応t検定:p<0.04、t=-2.48)。
・オランザピンの補助的投与は、体重増加だけでなく、不安、抑うつ、認知機能の改善に有用であった。
・オランザピンの補助的投与を行った患者では、臨床全般印象評価尺度(CGI)スコアの改善が認められた。

 著者らは「ARFID患者に対する低用量オランザピン補助的投与は、食生活の改善や体重増加、および不安、抑うつ、認知機能の改善が期待できる。将来、ARFID患者を対象とした無作為化プラセボ対照試験が望まれる」としている。

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