映画鑑賞

昔の名画から最近上映の映画まで、国内外を問わず幅広く楽しんでいます。別世界へ連れて行ってくれる作品が好み(本棚6)。

「おばあちゃんの家」

2012-07-07 06:52:17 | 手持ちの映画ビデオ・DVD
2003年、韓国映画
監督:イ・ジョンヒャン
出演:キム・ウルブン, ユ・スンホ, ミン・ギョンフン

~Amazonレビュー~
母親に連れられて、ソウルから田舎に住むおばあちゃんの家に来た少年サンウ。読み書きができないおばあちゃんとうまくコミュニケーションがとれず、また不自由な田舎の生活に苛立つサンウだったが、どんなワガママに振る舞っても怒らず、サンウのために一生懸命のおばあちゃんのやさしさに、彼も心を開いていく。
ゆったりとした田舎の時間、みんなが家族と言わんばかりの親切な田舎の人々、そして語らなくても十分に伝わるおばあちゃんの深い愛情が、心にジンワリ染みわたる。おばちゃんを演じたキム・ウルブンはじめ、サンウ以外のキャストはほとんど素人。役作りなしの自然なたたずまいが、この映画を成功に導いたといっても過言ではない。「亡くなったおばあちゃんの深い愛情に感謝する作品を撮りたかった」と言うイ・ジョンヒャン監督。おそらく見た人はみな自分のおばあちゃんを思い出してしまうのでは? 懐かしい思いがよみがえる、心温まる作品だ。


 隣国の韓国の映画ですが、映し出される里山の風景・情景・人々は昭和の日本と変わらず、違和感がないことに驚かされました。強いて言えば、まだ水道がなく井戸の生活で、家に木の他に石が使われていることが違うくらい。
 登場するおばあちゃんはホントに俳優さんなの?といぶかしむほど田舎の老女を完璧に演じています。しわだらけの顔にうつろなまなざし、腰は曲がり動作も緩慢・・・昔話からひょこっと抜け出してきたようなイメージ。
 都会育ちの現代っ子である主人公サンウはおばあちゃんの家に連れてこられた当初、田舎とその住人を毛嫌いしてバカにしていました。そんなサンウをおばあちゃんはただ受け入れるだけ。サンウから意地悪されてもどこ吹く風で飄々としています。一緒に時間を過ごしているうちに、サンウはおばあちゃんの無償の愛に徐々に気づき始め、ひとを大事にすることを学んでいくのでした。

 そこに現代失われつつある母性の原型を見たような気がしました。

 「あなたの将来のため」と言って現代の日本の母親(いや祖母までも)は子どもにいろいろ要求します。それができないと叱り、命令します。
 この行為は「今のあなたに私は満足していない、努力しないあなたを認めない」というメッセージとして子どもに伝わります。
 窮屈な生活、ストレスフルな日々は子どもから伸び伸びとした心を奪っていきます。自分に自信を持てなくなります。
 そして、自分のことはさておき、他人にいろいろ要求する行動を身につけてしまうのです。物事がうまく行かないのは、自分のせいではなく他人のせいと。
 遠い将来、体が不自由になった母親に対して「何でこれが出来ないの!」と叱り、命令する姿が見えてくるようです。

 日本にも、こんなおばあちゃんはいなくなりましたね。
 私の母も、自分のことはさておき、子どもと孫に勉強し努力することをひたすら要求し続ける過ちに未だに気づきません。
 もっとも、これは近代に急速に発展した国に共通する問題なのでしょう。
 日本、韓国、そして中国も例外ではないと思われます。
 不安を抱えた子どもたちはいずれ大人になります。他罰的な大人が多い社会は健全とは云えませんね。

★ 5点満点で4点

 「暴れ牛」の場面は、やらせ過ぎて呆れる他ありませんでした(笑)。中国のカンフー系映画でも低レベルのギャグが挿入されがちですが、やめてくれないかなあ。


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