小児アレルギー科医の視線

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炭水化物の多量摂取は死亡リスクの上昇と関係している

2017年09月09日 06時41分13秒 | 医療問題
 生活習慣病の原因となる高脂血症。
 素人感覚では「脂肪をたくさん摂取すれば高脂血症になる」と考えがちですが、さにあらず。
 「炭水化物をたくさん食べると高脂血症になる」のです。
 高脂血症対策として控えるべきは油・脂ではなく、炭水化物(米・小麦などの穀物、甘いもの)だったのです。

 この論理が裏付けされた研究報告を紹介します。
 なんとLancet!

■ PURE研究:炭水化物の多量摂取は死亡リスクの上昇と関係している
Univadis Medical News:2017.09.04
 大規模な国際研究では、脂肪の多量摂取は死亡率の上昇と関係していないことが分かった。
 治験医師らは、脂肪ではなく炭水化物が死亡リスクの上昇と関係しているというPURE研究の結果に鑑みて、食事ガイドラインの修正を提案している。
 この前向きコホート研究は、7地域18カ国の心血管疾患のない35~70歳の135000人以上を対象に行われた。研究結果は欧州心臓病学会(ESC)の総会で発表され、同時に『 The Lancet 』にも発表された。
 検証済み食物頻度アンケートを用いて研究対象者の食事の摂取量を記録し、対象者は栄養素(炭水化物、脂肪、タンパク質)によるエネルギー摂取量の割合(%)に基づいて、栄養素摂取の五分位に分類された。
 研究の結果、炭水化物の摂取量がより多いことは全死亡リスクがより高いことと関係していることが分かった。また、炭水化物の摂取量が最も多い人は、摂取量が最も少ない人と比べて、比例的にリスクが28%高かった。ただし、心血管疾患リスクまたは心血管疾患による死亡については、差は観察されなかった。逆に、総脂肪と各種脂肪の摂取は全死亡リスクがより低いことと関係しており、飽和脂肪の摂取量がより多いことは脳卒中のリスクがより低いことと関係していた。これらの研究結果を踏まえ、世界の食事ガイドラインを再検討するべきであると著者らは述べた。

<原著>
Dehghan M, Mente A, Xhang X, et al; on behalf of the Prospective Urban Rural Epidemiology (PURE) study investigators. Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study. The Lancet, published online 29 August 2017. doi: 10.1016/S0140-6736(17)32252-3.


 私自身、炭水化物制限食を始めてから2年が経過しました。
 肉類にともなう油の摂取量は多い傾向がありますが、血液検査では中性脂肪・コレステロールともに正常範囲です。
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