小児アレルギー科医の視線

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子どもの風邪予防にはビタミン?サプリ?

2017年09月04日 08時07分16秒 | 感染症
 子どもの風邪予防に関する記事を2つ紹介します。

 まずはビタミンD。
 残念ながら「無効」との評価。

■ 幼児へのビタミンDはかぜ予防に有用か?/JAMA
ケアネット:2017/07/31
 健康な1~5歳児に、毎日のビタミンDサプリメントを2,000IU投与しても、同400IUの投与と比較して、冬期の上気道感染症は減らないことが、カナダ・セント・マイケルズ病院のMary Aglipay氏らによる無作為化試験の結果、示された。これまでの疫学的研究で、血清25-ヒドロキシビタミンDの低値とウイルス性上気道感染症の高リスクとの関連を支持するデータが示されていたが、冬期のビタミンD補給が小児のリスクを軽減するかについては明らかになっていなかった。結果を踏まえて著者は「ウイルス性上気道感染症予防を目的とした、小児における日常的な高用量ビタミンD補給は支持されない」とまとめている。JAMA誌2017年7月18日号掲載の報告。
冬期の最低4ヵ月間、高用量(2,000IU) vs.標準用量(400IU)投与で評価
 検討は、オンタリオ州トロント市(北緯43度に位置)で、複数のプライマリケアが参加する研究ネットワーク「TARGet Kids!」に登録された1~5歳児を対象とし、2011年9月13日~2015年6月30日に行われた。
 研究グループは参加児703例を、2,000IU/日のビタミンDサプリメントを受ける群(高用量群349例)または同400IU/日を受ける群(標準用量群354例)に無作為に割り付けて追跡した。サプリメントの投与は保護者の管理の下、登録(9~11月)からフォローアップ(翌年4~5月)の間、冬期(9月~翌年5月)の最低4ヵ月間に行われた。
 主要アウトカムは、冬期の間に、保護者によって採取された鼻腔用スワブ検体によりラボで確認されたウイルス性上気道感染症例とした。副次アウトカムは、インフルエンザ感染症、非インフルエンザ感染症、保護者報告による上気道疾患、初回上気道感染症までの期間、試験終了時の血清25-ヒドロキシビタミンD値であった。
上気道感染症発症に有意差なし、初回発症までの期間も有意差みられず
 無作為化を受けた703例(平均年齢2.7歳、男児57.7%)のうち、試験を完遂したのは699例(99.4%)であった。
 小児1例当たりに確認された上気道感染症の報告数は、高用量群1.05回(95%信頼区間[CI]:0.91~1.19)、標準用量群1.03回(同:0.90~1.16)で、両群間に統計的有意差はみられなかった(発症率比[RR]:0.97、95%CI:0.80~1.16)。
 初回上気道感染症までの期間についても、統計的有意差は示されなかった。具体的な同期間は、高用量群は3.95ヵ月(95%CI:3.02~5.95)、標準用量群3.29ヵ月(同:2.66~4.14)。また、保護者報告による上気道疾患についても有意差はなかった(高用量群625件 vs.標準用量群600件、発症RR:1.01、95%CI:0.88~1.16)。
 試験終了時の血清25-ヒドロキシビタミンD値は、高用量群48.7ng/mL(95%CI:46.9~50.5)、標準用量群は36.8ng/mL(同:35.4~38.2)であった。

<原著論文>
・Aglipay M, et al. JAMA. 2017;318:245-254.


 次にサプリ。
 最近話題のプロバイオティクスの効果は如何に?

■ プロバイオティクスのサプリ、保育園児の感染予防には効果なし?
HealthDay News:2017/07/26
 1歳前後の保育園児にプロバイオティクスのサプリメントを使用しても、風邪や感染性胃腸炎といった感染症を予防する効果は認められなかったとする研究結果が「Pediatrics」7月3日オンライン版に掲載された。
 この研究は、コペンハーゲン大学(デンマーク)栄養・運動・スポーツ学のRikke Pilmann Laursen氏らが実施したもの。同国の保育園に通う健康な生後8~14カ月の子ども290人を対象として、そのうち144人を6カ月間にわたって1日1回パウダー状のプロバイオティクスを食事や飲み物に混ぜて摂取してもらう群(プロバイオティクス群)に、146人をプラセボを混ぜて摂取してもらう群(プラセボ群)にランダムに割り付けた。
 その結果、保育園を休んだ日数や風邪の症状、下痢、発熱、嘔吐などの発生頻度がプロバイオティクス群で減少することはなく、プロバイオティクス群とプラセボ群との間に差は認められなかった。また、プロバイオティクス使用による副作用の報告もなかった。
 これまでに報告されている研究では、プロバイオティクスによる感染性胃腸炎の予防効果が示されているにもかかわらず、今回は同様の結果が得られなかった。この点について、同研究の論文に関する論評の著者の1人である米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)小児科学のMichael Cabana氏は、「今回の研究の対象となった子どものほぼ半数で研究期間中も母乳育児が続けられており、全般的に健康状態が良好であったため、プロバイオティクスによる効果が現れにくかったのではないか」と考察。母乳に含まれるヒトミルクオリゴ糖は乳児の消化管に固有の細菌の成長を促進するため、母乳は腸内細菌の健康的なバランスを保つ最良の方法かもしれないとしている。
 また、今回の研究ではプロバイオティクスの副作用は認められず、安全であることは示されたが、同氏は「プロバイオティクスにはさまざまな製品があるため、もし試したいなら、まずは小児科医に相談し、適切な菌株を含み厳格な臨床試験で評価された製品を選ぶとよい」と助言している。

<原著論文>
・Laursen RP, et al. Pediatrics. 2017 Jul 3.


 プロバイオティクスも子どもの風邪予防に効果がなかったと。
 ただ、上記を読んでも「プロバイオティクス」の具体的内容が不明ですね。
 
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