小児アレルギー科医の視線

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水痘患者全員に抗ウイルス薬を使用すべきか?

2017年03月19日 16時36分23秒 | 感染症
 水痘には抗ウイルス薬であるアシクロビル(ACV)とバラシクロビルがあります。
 日本では習慣的に処方されますが、諸外国では事情が異なり、全員に処方する必要があるかどうか、以前から議論されてきました。
 その内容をうかがい知れるセミナー記事を紹介します。
 結論から言うと・・・水痘ワクチン定期接種化以降は水痘に罹っても軽症で済むようになるため、抗ウイルス薬の投与は必要なくなりそう、というもの。

■ 健常小児水痘に抗ウイルス薬を使用するべきか?
小児感染免疫 Vol.26 No4, 2014
・アシクロビル投与により免疫反応として水痘の高値賛成派阻害されない。
・米国では1993年に「12歳以下の健常小児水痘に対するルーチン投与はしない」と米国小児科学会が声明を出している。
・2005年の Cochran review でも、アシクロビル投与群はプラセボ投与群より有熱期間が1.1日短くなり、皮疹最大数が76こすくなくなるが、合併症の発症には有意差がなく、効果は限定的であるとの結論。

・水痘ワクチン接種後罹患では、水痘の診断自体が困難になると考えられるため、24時間以内にACVを投与できる可能性は少なくなり、さらに皮疹自体が減少するため、健常小児水痘に対するACVの優位性は失われる。重症化因子を有する小児以外は、抗ウイルス薬の投与は不要となるかもしれない。

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