小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

「君が僕の息子について教えてくれたこと」by NHK

2016年01月16日 07時29分34秒 | 小児医療
 2014年8月、NHKで放送したドキュメンタリーです。
 言葉を話すことができない自閉症者の東田直樹君が、キーボードという道具を使うことで表現するスキルを得た物語。
 現代科学技術がブラックボックスを開けてくれたのです。

■ 君が僕の息子について教えてくれたこと
 いま、日本の無名の若者が書いた1冊の本が、世界20カ国以上で翻訳され、ベストセラーになっています。タイトルは「The Reason I Jump」(日本題:「自閉症の僕が跳びはねる理由」)。著者は、執筆当時13歳だった東田直樹さん。この本は、自閉症である東田さんが、自分の心の内をつづったエッセイです。
 自閉症者自らが語る画期的な本ですが、日本で7年前に出版された時はほとんど話題になりませんでした。それがなぜいまになって、イギリスやアメリカでベストセラーとなったのでしょうか?
 それには、アイルランド在住の作家デイヴィッド・ミッチェル氏による英訳が大きな働きをしています。
 自身も自閉症の息子がいるミッチェル氏は、東田さんの本を読んだ時、息子が自分に語りかけているように感じたといいます。なぜ床に頭を打ちつけるのか、なぜ奇声を発するのか・・・。息子の気持ちがわからず、コミュニケーションをあきらめていたミッチェル氏は、この本を読んで希望の灯を感じることができました。そしてミッチェル氏の訳により、この本は、同じように自閉症の子どもを持つ、世界中の多くの家族を救っているのです。
 この春、ミッチェル氏は来日し、東田さんと感動の対面をはたしました。
 日本の若者と外国人作家の出会いから生まれた、希望の物語をお届けします。


 言葉を発することができない彼がキーボードで文章を入力している姿を見て「奇跡だ!」と思いました。

 彼は自閉症者にも健常人と同じ豊かな感性が存在していることを証明してくれました。
 そして、自閉症者がどんなことで困っているのか、周囲の人にどんな風にして欲しいのか、今まで知りたくても分からなかった謎も氷解しました。
 自閉症者を抱え、悩める日々を送る家族に道しるべを与えてくれたのです。
 すべての自閉症者に共通するのかどうか分かりませんが、貴重な、そして素晴らしい記録だと思いました。
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