小児アレルギー科医の視線

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アトピー性皮膚炎のスキンケア指導のポイント(佐々木りか子Dr.)

2019年03月09日 16時23分30秒 | アトピー性皮膚炎
 当院では乳児アトピー性皮膚炎に対して積極的治療を行っています。
 その基礎は「スキンケア」。
 最近発行された小児科系医学雑誌にアトピー性皮膚炎の特集を見つけたので、知識をアップデートすべく早速購入して読んでみました。

「小児科」2019年2月号(Vol.60 No.2)特集「クリニックで診る小児アトピー性皮膚炎のプライマリ・ケア」より
2. スキンケア指導のポイント(佐々木りか子Dr.)

 保湿剤について囲皮と通りのことが記述されており、あまり目新しい記述はありませんでした。
 特徴と言えば、紫外線対策も項目に入れているところでしょうか。

<メモ>
・スキンケアは外用薬を使用しないで皮膚を手入れすることである。アトピー性皮膚炎にとっては、スキンケアは治療の補助というよりその一端を担う重要な方法といえる。スキンケアは通常、①清潔、②保湿、③紫外線防御の3つに大別される。

・ベビー用スキンケア製品は、弱酸性、無香料、無着色、アルコールフリー、パラベンフリー、無添加など、不必要な成分を可能な限り除いた設計になっている。

・石けんとは、植物油(パーム油、ヤシ油、大豆油など)や動物油(牛脂、豚脂など)を原料とし、それらを苛性ソーダで鹸化したもので、脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩の総称である。したがって、石けんという化合物はアルカリ性である。石けんを使用した後の皮膚には、水道水中の金属イオンと脂肪酸が結合した、金属石けん(石けんカス)が残留する。

・皮膚の表面のpHが弱酸性であることの意義;
1.角層のバリア機能や水分保持機能の維持
2.皮膚の病原菌を増加させない(正常細菌叢の維持)

・ベビー用洗浄剤にはアルカリ性、中性、弱酸性の製品がある。市場に出ているベビー用ボディーシャンプーの半数は石けんを主成分としている。アルカリ性や中性の製品は、泡立ちがよくしつこい皮脂汚れには洗浄力を発揮するが、皮脂を取り過ぎる点や皮膚への刺激性があることを考えると、やはり乳幼児には弱酸性の洗浄剤を選択するのがよい。

※ 弱酸性のベビー用ボディーシャンプーを検索してみました;
キューピー 全身ベビーソープ(泡タイプ) ポンプ400mL 560円
キュレル 泡ボディウォッシュ ポンプ 480ml 1250円
ママ&キッズ ベビー全身シャンプー フレイチェ 460ml 1512円
ピジョン 全身泡ソープ しっとり 本体 500ml 980円(?)
・あわぴよ 全身泡シャンプー 本体500ml 579円


・正しい洗い方;弱酸性の洗浄剤をよく泡立ててから皮膚におき、手でそっと皮膚表面を撫でるように洗う。戸外遊びの機会が増える1歳以降は手だけでは汚れが落としきれない場合があるので、柔らかい綿タオルを用いてそっと洗う。

・保湿の三要素と保湿剤
1.天然保湿因子:NMF(アミノ酸、尿素、乳酸、塩基類)→ ヘパリン類似物質(NMFの一種であるヒアルロン酸に類似)
2.角質細胞間脂質:セラミド、コレステロール → セラミド含有保湿剤(市販) 
3.皮脂膜:トリグリセリド、スクワレン → 白色ワセリン

※ NMF(natural moisturizing factor)は、角化細胞(ケラチノサイト)が分化する過程でフィラグリンなどのたんぱく質から作り出される。
※ 角質細胞間脂質:角化細胞が分化する過程で作られ、スフィンゴ脂質(セラミドなど)、コレステロール、コレステロール・エステル、遊離脂肪酸などで構成される。

・サンスクリーン剤は、午前10時から午後2時くらいまでの、紫外線照射量が多い時間帯に、衣類から出ている部位に補助方法として使用する。SPF(sun protection factor)は15-20くらいで十分で、取れたら塗り替えることが大切である。発汗量の多い乳幼児は2時間以上は持たないと考えた方がよい。

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